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188:インフェルノフレア

「カミューは何を飲んだんじゃ?」


「あれは魔法増強薬よ!あたしも飲んだことあるわ!あれを飲むと魔法の威力が上がって凄いのよ!ってカミューがそれを飲んだら大変なことになるわよ!!」


「フフフ。もう手遅れですよ。それでは永遠の眠りを。インフェルノフレア!」


カミューがそう言うと、まるで太陽のような大き過ぎる炎の球体が出現した。その炎の球体がわし達にゆっくりと迫ってきた。


「あーた達!まずいわよ!!あたし達の全力の攻撃でどうにかしないと消し炭になるわ!」


「そんなことはさぁー!言われなくても見れば分かるだろぉ!!」


苛立ちながらスコルピは竹刀の様なものに青い冷気を纏わせながら言った。


「世界中で俺を待っている美女がいるので、まだ死ぬわけにはいきませんね。術式穴流究極奥義千手蓮華。」


クールな表情でキャンサーはそう言い、背中から透明な手を複数出現させた。その透明な手から紫色の波動弾が炎の球体に放たれた。


「あたしが美麗のヘディーと言われるのは容姿だけじゃないのよ。あたしの一世一代の華火を味わうが良いわ!全てを染め尽くすのよ天弓虹華火!!」


ヘディーは舞を踊るように両手を挙げて叫んだ。そして様々な色彩の爆発が起こった。その爆発は炎の球体に近づくにつれてより大きな爆発になった。


「俺達もやるぜ!エアスラッシュ!!」


「アイスストーン!!」


「フンヌッ!!!」


紅き閃光スターディザイア達は剣を振りかざし、空気の斬撃を飛ばしたり、氷魔法を放ったり、地面にある石を投げていた。


(紅き閃光スターディザイアも攻撃しておるんじゃな。って全然攻撃が届いていないぞ。七英雄の攻撃は凄そうじゃが。それだけであの魔法を打ち破れるか不安じゃからな。わしも何かするとしよう。台車じゃな。それに蝋燭と電気もするとしよう。)


わしは複数の台車を飛ばし、蝋燭の炎を放ち、手から電気を出して炎の球体を攻撃した。


「僕も頑張る!!フォトンレイ!!!」


それぞれの攻撃が炎の球体に当たったが、少し炎の球体の大きさが変わっただけで効果が無かった。


「嘘でしょ!あたしの全力の攻撃よ!!」


ヘディーが絶望の表情で叫んだ。


「まだ諦めるのはさぁー早いと思うぜ!何故ならよぉ!お兄さんがまだ攻撃してないからよぉ!!」


スコルピが青い冷気を纏わせた竹刀の様なものを振りかざした。竹刀の様なものから放たれた青い斬撃は炎の球体を真っ二つに切り裂いた。そして炎の球体は消滅した。


得意気な表情でスコルピはわし達を見た。そしてわし達は声を出し喜んだ。


「あとはカミューだけね。さすがのカミューもあんな大魔法を使ったら何も出来ないはずよ!」


「そうだな!そんじゃあ、お兄さんがさぁー!最後の一撃でカミューをさよならしてやるよ!」


「フフフ。先ほどの魔法・・・一発だけだと誰が言いましたか?私は何発でも出来るんですよ。それに私のスキルを封じた人が隙を見て今攻撃したようですが、このようにバリアで防ぐことも可能です。」


カミューはバリアを展開しながらマウリの攻撃を防ぎ笑顔で言った。マウリは攻撃を防がれ驚きながら後退した。


「嘘でしょ!あたしはもう攻撃出来ねぇわよ!」


「俺もです。スコルピ、君は攻撃をあと何回出来ますか?」


「あと一回が限度だぜぇ・・・。」


「俺達はまだまだ余裕だぜ!!!」


紅き閃光スターディザイアの金髪リーダーがそう言ったが全員に無視された。


「アーチも無理そうじゃし・・・。そういえばマウリはどうなんじゃ?」


「自分は無理っすよ!今の防がれた攻撃に結構体力使ったっす。それにスキルを封じた時にも体力使ったんでもう何も出来ないっす!あと、カミューを倒した後は骸骨の敵も倒さないと駄目なんっすよ!」


「そうじゃった。まだ敵はいたんじゃった。・・・。どうやら余力のあるのはわしだけの様じゃな。わしに任せてくれ。わしが何とか頑張るとしよう。わしが無理そうなら逃げてくれ。」


わしの発言を聞いたアーチは今にも泣きそうな顔でわしを見ていた。


「それでは最後の挨拶も終わったようですし、今度こそ永遠の眠りを。インフェルノフレア。」


カミューが笑いながらそう言うと、2度目のまるで太陽のような大き過ぎる炎の球体がわし達に放たれた。


(わしに任せてくれとは言ったものの・・・。わしが出来ることは台車、鞭、蝋燭、縄、電気、ビンタか・・・。あの炎の球体を触ってビンタで跳ね返す・・・。どう考えても手から先にお陀仏じゃな。縄は燃えそうじゃし、とりあえずありったけの台車を放ちながら、鞭や蝋燭じゃな。)


わしは100台を超える台車を出現させて炎の球体に放った。しかし、その台車は炎の球体に飲み込まれた。すかさず鞭で炎の球体に攻撃したが、何も変化が無かった。蝋燭の火でも攻撃したが炎の球体に飲み込まれただけじゃった。電気も全く意味が無かった。


(絶望じゃ。何をやっても無理じゃ。)


「源五郎はさぁー!まださぁー諦めるのはさぁー早いだろ!」


スコルピが竹刀の様なものから放たれた青い斬撃で炎の球体を攻撃したが、炎の球体に斬撃は吸収され今度は何も起きなかった。


「どうやらさぁー。お兄さんはさぁー。さっき喜んだからさぁーパワー不足だったみたいだぜ。」


スコルピは怒りのボルテージが下がっていたようで攻撃力も下がっていた。


(完全に詰んだなぁ。台車も駄目、鞭も蝋燭も電気も駄目。蝋燭の蝋で壁を作ってもあれを防ぐことは難しいじゃろうな。せめて文字化けしている他のスキル豆が使えたらいいんじゃが。)


わしはスキルボードを確認するも文字化けしたままじゃった。


(わしの後ろにはアーチもおるし、わしはどうなってもいいからアーチだけは・・・。)


「アーチよ。出来る限り遠くに逃げるんじゃ。」


「い、嫌だよ。僕、源五郎と一緒にいる。」


「そんなこと言わないで。頼むから逃げるんじゃ。」


「嫌だ。僕、源五郎と・・・源五郎と・・・。」


紅き閃光スターディザイアが逃げている中、アーチは泣きながら言った。


(アーチだけでも守りたいけど、わしじゃ無理じゃ・・・。わしは本当に不甲斐ない・・・。わしに力があれば・・・。)


[・・・。力が欲しいんだね。今回ばかりは本当に駄目そうだから僕が直接君に力を貸すよ。君に死なれたら僕も困るからね。あいつを倒してもらわないと。]


(何じゃこれは!頭に直接声が・・・。誰じゃ!?力って何じゃ?)


わしの脳内に可愛い声で謎の人物が直接話しかけてきた。そして、わしの体が光りだした。


(うわっ。今度は光りだしたんじゃが。)


[これでスキルが解放されたよ。次に両手を前にしてウォーターキュアと唱えて。]


(キュアって回復ということか。どういうことじゃ!?他に出来ることが無いから今は脳内の声に従うしか方法は無いな。)


「ウォーターキュア!!」


わしがそう言うと手から濁流の様な大量の水が放出され炎の球体をかき消した。


(わぁー!これは何じゃ!凄すぎるじゃろ!あの何をしても駄目じゃったカミューの魔法が一瞬で!?)


「次は敵を意識して囚われし監獄(ナイトメアプリズン)と唱えて。」


(誰だか分からないが、かしこまりじゃ!)


囚われし監獄(ナイトメアプリズン)


わしはカミューに意識を向け、そう叫んだ。すると一瞬でカミューが複数のパーツによる鉄の塊に覆われた。その数秒後、断末魔と共に鉄の塊の隙間から血が流れた。そして鉄の塊が消えると誰が見ても死んでいると分かるモザイクが必要な程にボロボロになったカミューがいた。


(ひぇー!どういうことじゃ!?さっきのあれは何じゃ!どうやってカミューが死んだんじゃ?)


[あの人の肉体は鉄の塊で覆われた瞬間に内部で串刺しになったんだよ。でもこの方法での攻撃はもう二度と使えないよ。一度きりなんだ。]


(何じゃ。この恐ろしいスキルは。というかお前は誰なんじゃ?どうして直接脳内に話しかけてきてるんじゃ?)


[まだ無理だけど、すぐに会えるよ。いつでも近くにいるよ。]


わしの脳内に直接話しかけていた謎の人物がそう言うと、わしの体の光が収まった。


「源五郎ー!!!」


アーチが泣きながらわしに抱きついてきた。


「何とかやりましたぞ!」


わしはアーチの頭を撫でながら言った。


「源五郎!やるじゃねぇかよー!お兄さん感動しちゃったよ!!」


「源五郎さんはやる人だと思ってたっすけど、まさかこれ程とは思わなかったっす!」


スコルピとマウリは喜びながらわしに近づいてきた。その時、ヘディーの悲鳴が聞こえた。


「あーた。・・・。なんでよ!」


ヘディーの腹部がキャンサーの手により貫かれていた。

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