187:よく分からないがとにかく凄い
カミューはわし達に向かい複数のフレイムボムを放った。そのフレイムボムに対してわしは台車で相殺した。続けざまヘディーは爆裂魔法でカミューを攻撃したが、カミューの魔法によるバリアで防がれた。爆裂魔法を防がれたヘディーは怒りながら周囲の人にも攻撃するように文句を言った。文句を言っている間、カミューからのフレイムボムによる追撃があったがわしが相殺した。相殺されることが分かっていたカミューは立て続けにアイスエイジを放ち大きな氷の塊で攻撃をしてきた。それに対し、スコルピは炎を纏わせた竹刀の様なものを振りかざし灼熱の炎の斬撃でアイスエイジを打ち砕き、カミューをそのまま攻撃した。その灼熱の炎の斬撃もカミューの魔法によるバリアで防がれた。
カミューのバリアに防がれると同時に高速でカミューに近づいていたキャンサーはクールな表情で術式穴流滅と呟き、魔法のバリアに触れ魔法のバリアを破壊した。魔法のバリアが破壊されると同時にヘディーの爆裂魔法がカミューに放たれた。その爆裂魔法をカミューはリフレクトという光のバリアで反射させた。カミューに反射させられた爆裂魔法は術者のヘディーに襲いかかったが、ヘディーはより派手な爆発魔法を放ち、カミューに反射させられた爆裂魔法を打ち消した。ヘディーが自身の魔法の処理をしていた間、カミューは指から複数の小さな炎を出して近くにいたキャンサーを攻撃した。キャンサーは無表情で術式穴流千手とささやき、背中から透明な手を複数出現させた。そしてカミューが放った複数の小さな炎はキャンサーのその複数の透明な手に触れ消滅した。カミューは少し驚いた表情をしながらキャンサーにアブソリュートゼロを放った。猛烈な吹雪が吹き荒れキャンサーを襲おうとしたが、スコルピの灼熱の炎の斬撃で猛烈な吹雪をかき消した。猛烈な吹雪がやむと、カミューはくねくねと変な動きをしていた。そして雷の魔法でわし達を一斉に攻撃した。わし達はそれを回避した。
「あーた!どういうことよ!!こんなに魔法を連発して!しかも威力が高い魔法ばかりじゃない!あーた普通じゃないわ!ヴァルゴですらこんなの無理よ!!」
ヘディーが信じられないという表情で叫んだ。
「フフフ。この程度の魔法の連発で驚かれていたら困りますよ。私はこの100倍は魔法を使えますよ。」
「カミューがさぁー!どんだけ魔法を使えてもよぉ!ゴリ押しして斬るのみだからさぁー!!」
そう言ったスコルピがカミューを攻撃した。しかし全てカミューに防がれた。
「賢さに欠ける者は、常に無謀な勇気を示しますね。まるで野に放たれた野獣のようだ。本当に愚かですね。先ほどのように使い捨てのバリアでスコルピの攻撃を防ぐことによって、スコルピの特性である連続で攻撃が当たると威力が上がるというのは完全に看破されているのですよ。なのでそれは無価値の攻撃なのですよ。」
「スコルピ。君は少し冷静になった方がいいよ。俺の考えもカミューの言う通りだと思うからさ。何故カミューが魔法を連発出来るか、その謎を解明しないことには俺の攻撃もみんなの攻撃も通じないし、俺とみんなの体力や精神力が無くなるだけじゃないかな。」
「お兄さんはさぁー!完全にプッチんしてんだよ!そのプッチんはお兄さんの中でさぁーどんどん大きくなってんだよ!」
「キャンサー、しょうがないわよ。ヴァルゴもそうだけど、スコルピもあたし達が言ってどうこうならない奴なのよ。好きにしてもらいましょ。冷静なあたし達でどうするか作戦を立てましょ。」
(確かにそうじゃな。わし達の今の攻撃じゃバリアで防がれるし、跳ね返されるし、ジリ貧じゃな。それに強力な魔法も放ってくる。こちらに火力があればゴリ押しも出来そうじゃが。)
「フフフ。難しそうな顔で色々考えているようですが、無駄ですよ。あなた達の知力では一生答えに辿り着かないですよ。と言っても、もう間もなくあなた達は全員死にますが。フフフ。疑問を持ったまま死ぬのも可哀想ですし、どうして私が魔法を連発出来るか説明してあげましょう。説明したところであなた達にはどうしようもないですし。フフフ。」
スコルピの攻撃をバリアで防ぎながら余裕の表情でカミューは言った。さらに続けざまにカミューは説明を始めた。
「私の魔法はあなた達のエネルギーによって使えているのです。ここまで言えば知力が低いあなた達でも分かりますよね。フフフ。まだ難しそうな顔をしてこちらを見ていますね。あなた達のエネルギーを吸収して私のエネルギーにしているということですよ。これで分かりましたよね?」
「何じゃと!?エネルギーを吸収とはどういうことじゃ!?いつ吸収したというのじゃ?わしはピンピンじゃぞい!」
「きっとさっき俺らが踊らされていた時でしょうね。体から力が抜けていく感覚がしました。」
「さすがだね。キャンサー。その通りだよ。もちろんそれ以外の方法でもエネルギーを吸収していますけどね。フフフ。例えば浴場や病院など数を挙げればきりが無いですね。」
(あー!あれかー!!あの色々な出来事があったあそこか!!ってこの世界の概念では魔法やスキルを使うためのエネルギーの数値は無かったんじゃ・・・。)
「アーチから聞いたんじゃが、疲れたら魔法やスキルを出来なくなるし使い放題ではないはずじゃよ。」
「そうよ!だからあたしも驚いてるのよ。」
「フフフ。確かに一般常識ではそうですよね。しかし、疲れたら使用出来なくなるというのは曖昧な表現だと思いませんか?魔王様と出会ってこう言われたのです。体内に備蓄されているエネルギーは使えば無くなる、使わなければまた溜まる。まるでコップの水のようだと。さらに魔王様はこう続けました。魔法やスキルに目覚めた時はそのコップは小さいが、魔法やスキルを使うことによって大きくなる。しかし、魔法やスキルは生活や行動で常に使うからそのコップが満タンに溜まることが無いと。私も最初は半信半疑でしたが、エネルギーを吸収し続けることによって常識では考えることが出来ない程の魔法が使用出来ることが出来ました。そうです!魔王様の言うことが証明されたわけです。フフフ。さすが魔王様です。」
「そんなまさか。あーたが言ってることが本当なら世界の常識を変えるわよ!!」
(なんとなく言っていることが分かったが、これじゃあ力の差が分かっただけで対策が出来るわけでは無いなぁ。どうするべきか・・・。)
「困惑した表情をしているということは私とあなた達の力の差を理解したようですね。それでは次の一撃で終わりにしましょう。フフフ。今までの攻撃は昔のよしみということで無意識のうちに加減していたのかもしれませんね。」
カミューはスコルピの攻撃を全て防ぎながら微笑み、何も無い空間からピンク色の液体が入った小さな小瓶を取り出し飲み干した。
いつもありがとうございます。
次で決着予定です。