183:美しき薔薇
「あたしは踊らないわよ。あたしは・・・って踊ってる!体動かないじゃないのよ!」
「フフフ。ヘディーは上手に踊りますね。さすがですね。それに日頃クールなキャンサーも踊りが上手じゃないですか。フフフ。」
派手なスパンコールドレスのヘディーは必死に抵抗しようとしているようだが、強制的に手足を動かされ踊っていた。ヘディーから離れたところで銀髪白衣イケメンも静かに踊っていた。
(せっかく強力な仲間が助っ人に来たのに、踊ってしまったなぁ。)
わしがそう思っていると、派手なスパンコールドレスのヘディーが叫び始めた。
「あーた!あたしを舐めんじゃないわよ!!」
そしてスパンコールヘディーは踊り続けながら目の前を爆発させた。
(あの爆発はあのオカマの仕業じゃな!危ないオカマじゃ。アーチも近くにいるのに。危なすぎるぞ!)
わしは縄を出現させ、スパンコールヘディーにカウボーイスタイルで縄をかけた。
そして爆発の危害が及ばないように遠くへ投げようとした。
「あーた!何するのよ!源五郎ちゃん!!」
スパンコールヘディーは叫びながらわしを見て言った。そして何か閃いた顔をしてわしにウィンクをした。
「あーた!そういうことね!そのままカミューに投げつけなさい!!」
わしはスパンコールヘディーが言うことを理解出来なかったが、言われるがままにカミューのいる方向に吹き飛ばした。
「あたしと源五郎ちゃんの合せ技よ!!源五郎ちゃん、縄を解くんじゃないわよ!!」
スパンコールヘディーはわしの縄で縛られたまま踊りのタイミングに合わせ爆発させ続けた。爆発と共にスパンコールドレスをキラキラさせながら回転する姿はまるで夜空に浮かぶ花火のようじゃった。
(わぁ。なんか綺麗じゃな。アーチもその景色に見とれているなぁ。)
「あーた!カミュー!逝きなさい!!!あたしは踊らされるより、あたしの意思で踊るのが好きなのよ!!受け身じゃないわ!攻め好きなのよ!!」
「フフフ。私は踊らされるのも自らの意思で踊るのも好きですよ。お金になるなら。アイスエイジ!!」
カミューは不敵な笑みを浮かべ、大きな氷の塊をヘディーに向けて放った。
ヘディーはその大きな氷の塊に当たる寸前のところで大きな氷の塊を爆発させた。
「あーた!なんで魔法使えるのよ!!踊らせるスキルといい、植物魔法も使えないはずじゃない!あーたどうなってるのよ!!あーたはただの錬金術師でしょ!」
「フフフ。口数の多い女性は嫌われますよ。それではさようなら、ヘディー。アブソリュートゼロ。」
カミューは笑顔でそう言うと、猛烈な吹雪が吹き荒れた。
「源五郎ちゃん!縄を、あっ、ダメだわ。あたし間に合わないわ。それなら抵抗するのみよ!!豪華に咲くのよ煉獄華火!!!」
スパンコールヘディーは悲しげな表情でそう言った。そして、先ほどより激しいマグマのような爆発を起こした。しかし、マグマのような爆発は吹雪でかき消され、カミューが起こした猛烈な吹雪にスパンコールヘディーは巻き込まれた。
吹雪に巻き込まれるスパンコールヘディーを見てまずいと思ったわしは勢いよく縄を引き寄せた。しかし、縄は動かずスパンコールヘディーを引き寄せられなかった。
「大丈夫か?ヘディー氏!!!」
しかしスパンコールヘディーの声はしなかった。そして猛烈な吹雪が止むと氷漬けになったスパンコールヘディーが地面に落ちていた。
「フフフ。美しい姿のまま死ねて良かったですね。」
氷漬けになったスパンコールヘディーを見たカミューは笑いながら言った。