168:ツインズ
「ふふふ。それにしても死んだ人間の為に泣き続けるなんて愚かな行動だね。そう思うよね?サン。」
「僕もそう思うよ。マム。あっ、思い出した。マムの玩具と一緒に王都に攻めようとした時、僕このままだと死んじゃうって急に騒いでたよね。」
「ふふふ。それは本当に面白かった。確か未来が分かるんだっけ。あまりにもうるさいから未来が分からないような洗脳を重ねがけしたんだよね。あと、全然街を破壊しないからドラゴニュートの本能が強まる洗脳もしたけど、結局簡単に死んじゃって。笑えるね。サン。」
(紫も茶色もさっきから何を言ってるんじゃ。もう我慢の限界じゃ!!こいつらは死刑じゃ!!)
紫と茶色ツインズの話が聞こえ、わしは怒りのあまり震えていた。そしてわしはツインズに鞭打ちをしようとした瞬間、死んだはずの鉄壁のマロが起き上がった。
「ようやっと僕のとっておきの毒が効いたみたいだね。」
茶髪ツインズサンが笑顔でそう言った。
鉄壁のマロの体は光を失った眼で大きく口を開けわし達を向いた。
(どういうことじゃ!生きておったのか?いや、これは明らかに死んでいるなぁ。奴ら何かしたな!?)
「ふふふ。僕のとっておきの毒はすごいでしょ。死んだ人間を思いのまま操ることが出来るんだよ。そのツンツン頭より僕の毒の方が凄いんだから!」
「でもサンの毒は失敗しちゃったじゃん。そこの光魔法を使える人間を殺すはずだったのに生きてるじゃん。」
「僕の毒は凄いんだから今生きててもすぐに死ぬよ。それに死なないようならここで殺しちゃえばいいんだよ。」
(茶色がアーチを殺そうとしていた・・・!?)
「どういう事じゃ!?アーチを殺そうとしていたのか?」
「光魔法の人間ってアーチっていうんだね。そうだよ。先輩から王都にいる光魔法の人間を殺せって言われてマムが洗脳した人間に僕の毒を持たせたの。確かドナツに仕込んで食べさせたって聞いたけど、なんで生きてるのかな。即死の毒なのに。」
「まさか・・・アーチがおかしくなったのはお主のせいか!!アーチをこんな目にあわせて・・・アーチまで!!!わしは許さんぞ!!!」
「お兄さん・・・。ゴンゾウの指輪は関係無かったんだね・・・。」
ゴンゾウが死んでから泣き続けているアーチが小さく呟いた。
「けしからん!茶色も紫も許さんぞ!本気のわしの一撃をくらうんじゃ!」
わしは蝋燭を出して火を灯した。そしてその火に思いっきり息を吹きかけた。
「これがわしの怒りじゃ!バーニングキャンドル!!」
蝋燭の火はツインズとその後ろのモンスターに業火となり襲いかかった。
しかし、鉄壁のマロがネクタイでわしの業火を防ぎきった。
(わしの本気の一撃が・・・。完全にマロの存在を忘れていたぞ。あのネクタイはどうなっておるんじゃ。)
「本気の一撃ってそんなもんなの?僕の新しい玩具が全部防ぎきちゃうよ。」
茶色ツインズが笑いながら言った。
「そうだよ。こんな攻撃は無意味だよ。でもちょっと危ないかもね。そう思わない?サン。」
「僕は全然平気だと思うけどね。だって僕の毒は死んだ人間を僕の都合の良いように操ることが出来るんだよ。この玩具が壊れたら次の玩具を作ればいいよ。例えばそこの泣いてる人間とか。面白そうだと思わない?マム。」
「そうだったね。サンの玩具は無限に作れるね。僕が玩具を作るのは時間がかかっちゃうけど僕も玩具を作ろうかな。どれにしようかな。」
(毒で死んだ人間を操る!?毒だけでそんなこと出来るのか!?紫も茶色も人の命をなんだと思っている!!!しょうがない。鉄壁のマロをどうにかして、しばいてやるぞ!!)