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160:本当に?

わしとラージャは記憶喪失に関する本、呪いに関する本を読み漁っていた。


(なにやら色々書いておるが、脳に損傷を与えた場合や感染症、心的要因で記憶喪失になるって元いた世界と変わらないなぁ。損傷の場合や心的要因の場合は脳に再び同様の損傷や心的要因を与えると記憶喪失が治るとも書いてあるが、損傷でも心的要因でもないしなぁ。万が一、損傷の場合アーチを殴ることなんて出来ないぞ。感染症の場合はどのような感染症か調べて薬や光魔法を使用すると書いておるが、これはすぐに出来ることじゃなさそうじゃな。次の本じゃ。)


わしは記憶喪失に関する本を次々と読んでいった。


「これじゃ!!」


思わずわしは声を出してしまった。この本に記載されている内容がわしが求めていたアーチの記憶喪失の原因に近い内容だった。


「源五郎さん、急に声を出してどうかしたんですか?」


「とうとう見つけたのじゃ!!ラージャよ。この本のここを読んでくれ。」


魔法によって起こる記憶喪失。

この世には対象者の記憶を操作する魔法が存在する。この魔法は忘却魔法といわれ闇魔法を使用する者の中でも極稀に使用することが出来るといわれている。また、忘却魔法を解除する為には術者が対象者を解除をするか術者が死亡することにより忘却魔法が解除される。

高度な忘却魔法は相手の記憶を改ざん、修正することも可能である。


「他にもスキルや寄生虫により記憶喪失が起こる可能性もあるようなんじゃが、この闇魔法でアーチは記憶喪失になったんじゃないかとわしは思うんじゃが。ラージャはどう思うかのう?」


「そうですね。十分に可能性があると思います。闇魔法といえば俺が調べていた呪いの本にも気になる内容がありました。源五郎さん見てください。」


「そうか!そうか!十分に可能性があるか。そっちの呪いの本も見るとしよう。」


呪いとは魔法、スキル、呪物、儀式によって相手に対しての身体的災い。主に怪我や病気。場合によっては死に繋がる致命傷。精神的災い。主に心的外傷が起きる状態異常である。また、不運が起こりやすくなる場合もある。呪いにかかった者は呪いをかけた当事者が死ぬか高度な光魔法や祝福によって状態異常が解除される。しかし高度な呪いの場合は、呪いが解除されない場合や呪いをかけた当事者が死んだ後も継続する永続呪いが存在する。頁132参照。


呪いが解除されると呪いをかけた当事者に呪い返しがされる場合がある。

頁36参照。


魔法での呪い。魔法での呪いは誰でも出来ることではない。極稀に存在する闇魔法を使用出来る者だけが魔法で呪いを行うことが出来る。


スキルでの呪い。スキルでの呪いは、当事者が呪いに対する耐性が無いと呪いをかけようとする当事者にも災いが降り注ぐ諸刃の剣となっている。呪いに対する耐性が無い者がそのスキルを使用し無惨なことになった事例はいくつも確認されている。また、例外は無いとされている。頁45参照。


呪物での呪い。怨念や憎悪などネガティブな感情が様々な物体に集合し呪物が生まれる。呪物での呪いは当事者が呪われてしまうので失敗しやすいとされている。また、呪物を探す方が困難である。過去に呪物を使用した者は見るも無惨な死を遂げている。頁52参照。


儀式での呪い。儀式での呪いは呪いを行う為に必要な物を集め行う。また、集団で行われる場合もある。儀式での呪いはリスクが少ないとされているが、必要な物を集めるのが困難といわれている。頁54参照。

間違った儀式により、悪魔が召喚されたという事例もある。頁55参照。


わしはラージャに言われ呪いに関する本の文章を読んだ。


「これって・・・。」


「そうです。俺の父の件もアーチさんの件も闇魔法で起こったことなんですよ。」


「そうみたいじゃな。でも記憶喪失も呪いも闇魔法を使った者を見つけてどうにかするしかないみたいじゃな。それにラージャの父上の呪いはアーチが光魔法で解除したのに呪いが解けなかったからなぁ。だいぶ高度な闇魔法なんじゃな。闇魔法は誰でも使えるのか?」


「いいえ。闇魔法も光魔法と同じで使える人は少ないです。ただ、心当たりがあります。」


「それは誰じゃ?」


「それは・・・それを知ってしまうと源五郎さんにも何かあるかもしれないです。」


「アーチの記憶が復活するなら何があっても大丈夫じゃ。闇魔法が使える心当たりがある人は誰なんじゃ?」


わしがラージャに質問した瞬間、書物庫の扉が開いた。


「俺っすよ。」


開いた扉の前にいたマウリがそう言った。


「いいのか。マウリ。源五郎さんに疑われるんじゃないか?」


「先輩いいんっすよ。俺は闇魔法を使えるっすよ。俺だけが使えるわけじゃないっすけどね。」


「まさかマウリがアーチの、ラージャの・・・。」


「源五郎さん、マウリはそんなことをする人じゃないです。俺が責任を持ちます。それにマウリが闇魔法で俺の父を呪い殺している場合、俺が真っ先にマウリを殺しています。」


「そうっすよ。自分はそんなことしないっすよ。先輩には借りもあるんで。借りが無くてもしないっすけど。そもそも俺は呪いや記憶操作が出来ない闇魔法使いっすから。」


「そうなのか。信じていいんじゃな。」


「もちろんっす。」


「もちろんだ。」


「分かったぞ。ラージャもマウリもそんなハッキリと言い切るなら信じるとしよう。そういえばマウリは他にも闇魔法が使える人を知っているみたいなニュアンスを言っていたが他に使える人を知っているのか?」


「知ってるっすよ。魔王っす。」


「マウリ!!それを言ったら源五郎さんに何かあるかもしれないぞ!」


「あっ、そうっすね。源五郎さん申し訳ないっす。でも魔王が黒魔法を使った証拠もないんで分かんないっすけど。」


「わしが魔王から狙われるかもしれないということか?黒魔法を使えるのが魔王と知っただけで狙われるのか?」


「そうっす。魔王が黒魔法を使えることを知っただけで何人か死んでるっすね。」


「源五郎さん。そういうことです。」


「それはたまたまじゃないのか?」


「いいえ。たまたまじゃないっす。」


わしは魔王に命を狙われる身となった。


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