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158:よし行くぞ!

王都に雨が降りしきるなか、様々な場所で異変が起きていた。

とある山ではスタンビートでモンスターがあふれ、

とある海では激しい雷雨で荒れ狂い

とある森では気が狂った王が暴れ始めた。

そしてとある暗い穴の底では地面が割れ、そこから光を求めるように大量の草花が咲いた。

-----------------------------------------


(アーチは旅をしていた事を覚えていたが、わしの存在が完全に消えていたなぁ・・・。アーチが前向きにわしとの旅を継続してくれる事を祈るしかないが、やはり不安じゃな。

どうしてこんな事になったんじゃろう・・・。)


マウリと別れたわしは部屋に戻りベッドに座った。そしてため息をつきながらそう思った。

そしてわしは何も考えずに窓の外をしばらく眺めていた。


しばらくしてわしは立ち上がりこう思った。


(よし。このまま何もしないで時間が過ぎるのは性に合わない。アーチの記憶を取り戻すために出来ることをしよう。大きい城じゃから書物庫があるじゃろ。そこで記憶喪失に関する本があるかもしれない。元いた世界では脳に損傷を与えた場合や感染症、それから心的要因で記憶喪失になるとは聞いた事があるが、どれもアーチに当てはまらなそうじゃからなぁ。レミオで散歩していただけじゃし、ストレスなど感じている素振りも無かったし。わしに対しても好意的じゃったから万が一、わしに嫌悪を抱いているのも考えにくい。この世界特有の記憶喪失じゃろう。この世界の事はこの世界で調べるしかないなぁ。それじゃあ行くとするか。)


わしはマウリを探す為に城の中を徘徊した。


(いつもすぐに見つかるんじゃが、城の人間に聞いてもマウリを見かけていないと言っていたしなぁ。書物庫に入りたいと言ったんじゃが、許可が出せないと言っていたし。とりあえずマウリを見つけるしかないな。ラージャの所にでもいるのかなぁ。)


わしはマウリを探すためにラージャの部屋の前に来た。そしてラージャの部屋をノックした。するとラージャが扉を開けた。


「げ、源五郎さん。」


「マウリを探しているんじゃが、どこにおるか知っているか?というかラージャ。顔色悪いなぁ。大丈夫か?」


「俺のせいでと思うと寝れなくて・・・。」


「ラージャのせいじゃないと思うぞ。ラージャの父上にこんな事をした相手が悪いと思うぞ。」


「それでも俺は・・・。」


「おーそうじゃ。書物庫に行きたかったんじゃがマウリじゃなくてもラージャの許可でもOKじゃな。王様じゃからなぁ。一緒に書物庫に行かないか?それでラージャの父上がどうしてこうなったのか分かるかもしれないし。それに部屋にいるよりいいと思うぞ。どうじゃ?」


「でも・・・。」


「わしも色々あって色々考えたんじゃが、前向きに考えて行動する事にしたんじゃ。ラージャも前向きに考えましょうぞ。それに一緒に過ごしたら気も紛れるかもしれませんぞ。」


「でも・・・。」


「しょうがないなぁ。一緒に行きますぞ。王様がいたら書物庫に出入りして大丈夫じゃろ。」


「げ、源五郎さん。」


わしはラージャの手を取り強引に書物庫に向かった。


(勢いでラージャを連れて歩いておるが書物庫はどこじゃろ。)


「げ、源五郎さん。今、書物庫を通り過ぎました。」


「本当か!?うっかりじゃ。」


わしは書物庫の扉を開いた。書物庫には無数の本棚、本があった。


「すごい数の本じゃな。」


「これは父が集めた本です。王とは知識が必要だとよく言っていました・・・。」


悲しい顔をしながらラージャが言った。


「思い出させてしまって申し訳ないなぁ。」


「・・・いいんです。」


「わしは記憶喪失に関する本を読みたいんじゃがどこか分かるか?あと、呪いに関しての本も読みたいなぁ。呪いの本は一緒に見ましょうぞ。」


「実は俺、書物庫にあまり来た事が無くて・・・。」


「じゃあ一緒に探しましょうぞ。この数の本の中から探すのは大変そうじゃ。気合を入れて探すとしよう。ラージャも手伝ってくれるか?」


「俺がどうせ嫌だと言っても一緒に探させる気ですよね。」


「バレたか。王様なのに申し訳ないなぁ。」


「源五郎さん、本当に申し訳ないと思っていますか?」


「もちろん思っておるぞ。」


わし達は少し笑いながら話した。そして無数の本棚から目的の本を一緒に探し始めた。

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