【番外編】兄弟の日常2
太陽が沈みかけて空が赤く染まり始めた頃。
「お兄ちゃん!部屋にこもって何してるの?」
「わぁ、アーチか!お兄ちゃんの部屋に入る時はノックするように言ってるだろ!」
「何回もノックしたよ!それよりお兄ちゃん今日は部屋にずっといるけど何してたの?」
ベッドに座っている兄に後ろから抱きつく弟。
「こら!抱きつくんじゃない!!」
「えっ、お兄ちゃん!僕が抱きつくの嫌なの?」
「い、嫌じゃないけど。アーチが抱きつくと色々大変だろ!」
「ねぇねぇ、お兄ちゃん色々大変って何??」
兄を後ろから覗き込むように見る弟。
「と、とにかくお兄ちゃんが大変なんだよ!!」
焦りながら言う兄。
「で、お兄ちゃんは結局何をしてたの?」
「お兄ちゃんはなぁ。今日は一日アーチの事を考えていた。そしたらこんな時間になってた。」
「えっー何それ!?僕の事を考えてたの?この前も僕の事考えてたらこんな時間になったって言ってたよね。僕のどんな事を考えてたの?」
「アーチは純粋で素直でまっすぐだから、悪い人間に騙されちゃうんじゃないかとか
アーチは料理が上手くて身の回りの事も出来るスーパーな弟だから悪い人間に利用されるんじゃないかとか。とにかくお兄ちゃんは色々と心配してアーチの事を考えてたんだよ。」
「お兄ちゃん考え過ぎだよ!僕は大丈夫!こう見えて人を見る目はあるんだよ!」
「そうだよね!アーチはしっかりしてるから人を見る目もあるよね。でも・・・。」
「でも?でも何???」
「ううん。何でもないよ!それより何か用事があって部屋に来たんじゃないの?」
「あっ、忘れてた。もうすぐご飯出来るから、ご飯出来る前に村の浴場に行ってきたら?」
「アーチの手料理!?今日のメニューは何かな??」
「今日は村長さんからもらったホッソイニーで作った炒めものだよ!お兄ちゃんホッソイニーも好きだもんね!」
「お兄ちゃんはホッソイニーもアーチも好きだぞ!!」
「何それ!いいから早く浴場に行かないとご飯抜きだよー。」
弟は笑いながら、兄を急かす。
「わかった。行くよ!今日はアーチも一緒に浴場へ行こうよ!」
「僕は行かないよ!料理も完成させなきゃだし、クリーンの魔法使えるし。
お兄ちゃんはクリーンじゃキレイになった気がしないっていつも言ってるじゃん。
あと、浴場好きでしょ。」
「お兄ちゃんと一緒にお風呂で洗いっこも楽しいぞー!!数年前までは一緒に洗いっこしてたのに。お兄ちゃん寂しいぞー。」
「早く行ってこないと本当にご飯抜きにしちゃんだから。」
顔を真っ赤にしながら弟はさらに兄を急かす。
「わかった。それじゃあ今日も一人で行ってきます。」
寂しそうに家を出る兄。
「お兄ちゃん。しょうがないなぁ。今日は一緒に浴場行くよー。」
後ろから弟が兄に話しかける。
「ア、アーチ。お兄ちゃんは嬉しいぞ!じゃあ洗いっこするぞー!!」
「洗いっこは嫌だよぉーお兄ちゃん。」
こうして兄弟の夜が更けていく。