151:さらば城塞都市オロッパ4
「というわけだ。」
ラージャの話を聞いたわしはラージャに色々聞く事にした。
「城壁が破壊されてサイクロプスという巨人のモンスターが大量に襲ってきたんじゃな。」
「ああ。そうだ。」
「オロッパの街はサイクロプスに攻撃されてこんな有り様になってしまったんじゃな。」
「サイクロプスのせいではあるが、スコルピさんが破壊して歩いていたという報告の方が多いです。」
「スコルピ氏・・・。」
わしはスコルピを見ながら呟いた。
「お兄さんはさぁー。サイクロプスを倒してただけなんだよ。分かってくれるよな。」
「・・・。それはそうとサイクロプスの死体が無いんじゃが。」
「それは俺もおかしいと思うのですが、倒したあとサイクロプスの死体がまるごと消えていたんです。」
「巨人のモンスターというからにはかなり大きいんじゃろ。」
「はい。マウリにも調査させましたが完全に消えていたと言っていました。」
「不思議な事もあるもんじゃな。そういえばゴンゾウは何故ラージャを狙ったんじゃ?」
「それは俺たちも分からないです。ただ、ゴンゾウについて分かる事は今回の壁を破壊してサイクロプスを誘導した犯人という事。それからサイクロプスが街に入った混乱に乗じて闘技大会の優勝賞品の賢者の石を盗んだという事です。賢者の石は厳重に保管されていたのですが、ゴンゾウが持ち出す姿が投影魔法で分かりました。壁の破壊もそうです。」
「賢者の石とは何なんじゃ?」
「あらゆる病を回復する事が出来る奇跡の石と言われています。俺たちが一般人に紛れて闘技大会に参加しようとした理由もそれです。」
「ラージャは王様として有名じゃから一般人に紛れて参加しようとしてもすぐにバレるじゃろ。」
「自分も先輩に言ったんっすけど、絶対にバレないと言って話を聞かなくて。」
「一般人達に紛れて普通に過ごしていたらバレないもんなんですよ。」
(王様コールされていたのに・・・。無謀じゃな。)
「王様なんじゃから賢者の石をもらえば良かったのでは。」
「それは平等じゃないって先輩が言い出して・・・。」
「マウリは大変そうじゃな。」
「そうなんっすよ。源五郎さん今度飯屋で話を聞いてもらえますか?」
「いいぞー!!」
「源五郎!僕も飯屋に行くー!!」
「アーチも一緒に行こうな!」
「うん!!」
「盛り上がってるところ申し訳ないのですが、スコルピさんはあの後ゴンゾウと会ったのですか?」
「ゴンゾウを探してたんだけどよぉーいなくて、オロッパの街を一周したときにゴンゾウに襲われている源五郎くんとアーチくんを見つけて一緒にここに来たんだぜ。」
「そうなんですね。」
「ラージャ氏は賢者の石で病を治そうとしていたのか?」
「そうなんです。」
「それならアーチが光魔法を使えるから治せるかもしれないぞ。」
「うん!僕回復出来るよ!」
「まさかアーチさんが光魔法を使えるとは。それじゃあ是非、城に来てください。」
「うん!わかった!!」
「でもアーチさんはお母さんを探していたはずでは。」
「大丈夫!ひと助けした方がお母さんも喜ぶはずだし。大丈夫!」
「それじゃあわしとアーチはラージャ氏のお城に行くとしよう。」
「お兄さんはさぁーゴンゾウを探しに行くぜ。」
「俺様の報酬はどうなってんだ?」
「完全に忘れていました。紅き閃光スターディザイアの皆さんもお城にお越し下さい。」
「やったぜ!これで一生遊んで暮らせる!!」
「ふふふ。若い男を侍らかして過ごせます。ブラッドも肉食べ放題ですよ。」
「肉食べ放題!!」
「それじゃあ転移石があるので一気に行きましょう。」
(高級品の転移石を持ってるのか。さすが王族じゃな。)
喜ぶ紅き閃光スターディザイアの3人の奥にオロッパの人々が見えた。
わしは群衆から離れた所に一人佇む人を発見した。
(間違いない。アンダーノースのおじさんじゃな。また睨んでるんじゃな。完全に孤立しておる。元気そうで何よりじゃ。)
わし達はスコルピに挨拶を済ませて、転移石でラージャの城に向かった。