110:まる裸
「と、という事はあれじゃな!あれが、あれが・・・。」
「・・・。こ、この人・・・す・・・ごい事・・・考えてる。その通りだけど・・・。」
わしが思わず言った言葉に小さな声でゴンゾウは答えた。
(わしが頭の中でゴンゾウを裸にして想像していた事がバレたのか!?神眼って言っていたし、考えている事がバレるのか・・・。あっ、そういえば自己紹介していないのにわしの名前を知っていたなぁ。完全にバレている。)
「ゴンゾウ様、源五郎さんは何を考えていたんですか?」
「い、言えない・・・。」
「源五郎!まさか?」
「そ、そう!アーチの言う通りそのまさかじゃ!!アーチもこんな可愛い服を着たら似合いそうと思っていたんじゃ!アーチは世界で一番可愛いからなぁ。」
「源五郎!そんな事考えてたんだねぇー。」
アーチはまんざらでもない様子で答えた。
(よし。なんとかごまかせたぞ!考えている事がまる分かりじゃから気をつけないと。ゴンゾウ恐るべし・・・。)
「ゴンゾウは考えている事が分かる能力があるんじゃな!」
「・・・。ぼ、ぼくこの人と話したくない。」
(わし嫌われたぁー!!それもそうじゃな。さっきから思ってる事と言っている事が違うし、ゴンゾウ恐るべしとか言ってたからなぁ。実際はピュアで真面目なタイプなんじゃろうなぁ。)
「源五郎はよぉぉ!!いいやつだからよぉぉ!仲良くしてやってくれよぉぉぉ!!!」
「・・・。ヴァルゴが言うなら分かった。そ、それに・・・。」
(ヴァルゴ!ヴァルゴって最高なやつじゃな。お金は出してくれるし、いいやつじゃし。感謝感激ぞい!!それにゴンゾウもピュアでいい子じゃな。)
「色々申し訳ないなぁ。ゴンゾウ仲良くしましょうぞ。」
「・・・。う、うん。」
「さっそくよぉぉ!!例のアレよろしくよぉぉ!頼むぜぇぇ!もう神眼で分かってるだろぉぉ!!」
「うん。マールくんの武器を作ればいいんだね。」
「作るってゴンゾウが作るって事なのか?」
「そうだぜぇぇえぇ!ゴンゾウはよぉぉ!!こう見えてもよぉ!!神に選ばれた職人選手権連続金賞受賞のよぉぉ鍛冶師なんだぜぇぇぇ!!世界最高峰の鍛冶師なんだぜぇぇぇ!!」
「えっ、えっ、僕の武器、ゴンゾウ様に直接作ってもらえるんですか。」
「だからよぉぉ!ここに来たんだぜぇぇ!!!」
マールは泣きながら喜んでいた。
(そんな凄腕の職人だったなんてびっくりじゃぞ。マールは憧れのゴンゾウに武器を作ってもらえて嬉しいじゃろうなぁ。)
「マールくんのジョブは吟遊詩人なんだね。弓術もあるから・・・。うん。分かった。大丈夫。出来る。」
(神眼すごいなぁ。考えている事だけじゃなく、名前もジョブもスキルも分かるのか。)
「お金はよぉぉぉ!俺が払うからよぉぉ!!」
「お金は大丈夫。その代わりにブルードラゴンの素材を取って来てほしい。」
「ブルードラゴン!?Sランクの冒険者が数人いないと倒せないあのブルードラゴンですか?」
「さすがマールじゃねぇかよぉ。その通りだぜぇぇぇ!!俺はSランクだしよぉぉ!それに源五郎もよぉ!いれば大丈夫だと思うぜぇぇ!!」
(ヴァルゴはSランク冒険者だったのか。)
「それじゃあよぉぉ!明日南東にあるデスマウンテンに行ってよぉ!ブルードラゴンの素材取ってきてやんよぉぉ!!」
「うん。マールくんの武器は明日の朝には出来上がるから先に取りに来て・・・。」
(マールの武器にブルードラゴンの素材を使うわけじゃないんじゃな・・・。)
「ついでにそこのアーチくんの武器も作ってあげる。」
「えっ、いいの?」
「う、うん。アーチくんはヒーラーだから回復効果をあげる武器かな。うん。分かった。それも明日の朝には出来上がる。」
「やったぁ!嬉しい!!」
(アーチの嬉しそうな顔を見ているとほっこりしますなぁ。次はわしの武器かなぁ。)
「げ、げんごろうの武器は作らない。というか必要ない。」
「そういえばわしは武器を出現させる事が出来るんじゃった。」
「ヴァルゴは・・・。本当にいいの?僕が武器を作らなくて?」
「いいんだぜぇぇ!これ以上よぉぉ!強くなったらよぉぉ!世の中よぉぉ!敵がいなくなってよぉぉ!!!面白くなくなっちゃうからよぉぉぉ!!」
ヴァルゴの言葉を聞いたゴンゾウは悲しい顔をした後、少し笑った。
「そんじゃあよぉ!明日また来るぜぇぇ!!ゴンゾウいつもありがとうな!!」
わし達はゴンゾウに挨拶をして建物の外に出た。外に出ると日が暮れかけていた。
「ヴァルゴさん、僕、感激です。本当にありがとうございます!」
「どんな武器が出来るか楽しみだねー!!」
アーチもマールもとても喜んでいた。
「そんじゃよぉぉ!宿が空いているか確認した後によぉ。飯食べるぜぇぇ!!」
(ご飯楽しみじゃな!!オロッパの名物は何じゃろ。ヴァルゴが行きたい店があるって行ってたし、期待大じゃな。)