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109:神眼のゴンゾウ

「ここによぉぉ!ゴンゾウがいるぜぇぇ!!」


ヴァルゴに連れて行かれた建物は3階くらいの高さがあるビルだった。ビルの入り口には可愛い女の子の絵が書かれた160cmくらいの等身大パネルのようなものが建てられており、その横には大きな熊の置物があった。


(なんじゃろ。ここは。入り口の横の女の子の絵はまるで魔法少女じゃな。フリフリの服に魔法ステッキっぽいものをもっておる。その横の熊はどんな意味なんだろう。よくよく見ると熊部長と名札がついておる。)


「とうとうゴンゾウ様に会えるんですね。僕、嬉しいです。」


マールが目を輝かせながら興奮して呟いた。


「そんじゃよぉぉ!行くぜぇぇ!!!」


自動ドアの中に入るとややふくよかな黒髪の中年男性がいた。


「ゴンゾウに会いに来たんだけどよぉぉ!!今日もいつもの場所にいるんだろぉぉ!入るぜぇぇ!!」


ヴァルゴは中年男性に話しかけた。


「ヴァルゴ様、毎回オファーも無く来られては困ります。ゴンゾウ様はとても忙しい方なのです。ゴンゾウ様にいつも怒られている私の身にもなってください。」


「ゴンゾウに怒られるってご褒美じゃねぇかよぉ!!良かったじゃねぇかよぉ!!」


(ゴンゾウって人に怒られるのがご褒美って活を入れられてパワーアップでもするのかなぁ。)


「・・・。ヴァルゴ様ですからね。ヴァルゴ様ですからね。それでは受付名簿に記入をしてゴンゾウ様の所に向かってください。」


「いつもそんなの書いてねぇからよぉぉ!書かなくていいだろぉぉ!!」


「ヴァルゴいいのか?そこの人がだいぶ困っているようじゃが。」


「いつもこうだからよぉぉ!いいんだぜぇぇぇ!!!」


(良くない気がするんじゃが。どんな目的でここに来たかも分からないしヴァルゴに任せるとしよう。)


受付の中年男性を無視してエレベーターで3階に向かった。エレベーターが3階につくと大きな部屋がありそこに一人の女の子がいた。


「ゴンゾウ来てやったぜぇぇぇ!!!」


「あっ・・・。」


ヴァルゴがそう言うとピンクのツインテールでフリフリの服を着ていた女の子は驚いた表情で小さな声をあげヴァルゴを見た。


(看板で見た女の子と一緒の人じゃなぁ。まさかゴンゾウが女の子とはなぁ。)


「ヴァルゴ・・・今日はなんで来たの?」


ゴンゾウがギリギリわし達に聞こえるくらいの音の大きさでヴァルゴに聞いた。


「ゴンゾウはよぉぉ!声が小さすぎてよぉぉ!!いつも何って言っているか全然聞こえねぇぜぇぇ!!」


(確かにそうじゃが。ヴァルゴの声が大きすぎるのも問題な気が・・・。というか騒ぐなって言って当人がやはり一番騒いでいるなぁ。)


「あ、あの。握手いいですか?」


マールは興奮して話しかけた。するとゴンゾウは首を横に振った。


「マール駄目じゃねぇかよぉぉ!ゴンゾウは人見知りさんだからよぉぉ!!仲良くなってからよぉぉ!握手してもらわねぇぇとぉ!!」


マールは悲しそうな顔をしていたが、ヴァルゴの話を聞いて希望に満ちた目をしていた。


(マールよ。そんなゴンゾウと握手したいのかぁ。というかマールはゴンゾウの姿を知っていたんじゃな。わしは未だにゴンゾウが女の子の姿でびっくりじゃ。ゴンゾウというからあんな姿やこんな姿を想像していたのに。)


「ヴァルゴ・・・要件。」


「そんなのお前のよぉぉ!神眼で見れば分かるじゃねぇかよぉぉ!!」


「確かに・・・ヴァルゴの言う通り・・・。うん。分かった。そこに座って。」


ゴンゾウに言われてわし達は椅子に座った。


「み、みなさ・・・ん。は、はじめ・・・まして。ドラゴ・・・トのフェリス・・・ゾーラ・・・です。」


「全然よぉぉ!聞こえねぇぜぇぇ!!最大限によぉぉ!!人見知りさんになってるじゃねぇかよぉぉぉ!!代わりに紹介してやるぜぇぇ!!!こいつはゴンゾウだぜぇぇ!!」


「ち、違うよぉ。ぼ、ぼくはドラゴニュートのフェリスゾーラです。」


「ゴンゾウって本当の名前じゃないのか!?それにドラゴニュートって何じゃ?」


「ドラゴニュートとは龍人です。ゴンゾウ様はドラゴニュートの末裔です。ドラゴニュートの方の頭をよく見ると素敵な角が生えています。龍の力を使う際はその角がさらに大きくなり溜め込んだパワーを一気に放出します。もちろん翼もあります。もともとドラゴニュートと他の種族は争っていたのですが、ゴンゾウ様が現れたおかげで争いは無くなったそうです!さすが冒険者の憧れゴンゾウ様です。」


(マールよ。どうしたんじゃ。そんな早口で説明をし始めて。それにしてもゴンゾウは龍人なのか。強そうじゃ。というか何故ゴンゾウなんじゃろ。)


「ゴ、ゴンゾウって言われているのは・・・ぼ、ぼくが初めてヴァルゴに自己紹介した時・・・聞き間違いでお前はゴンゾウだ・・・って・・・言われて・・・そこからゴンゾウに・・・。ゴンゾウ可愛くない・・・。」


(原因はヴァルゴか。こんな可愛い子にゴンゾウとは酷い話じゃ!!)


「げ、げんごろうありがとう。可愛い子って思ってくれて。」


「源五郎!ゴンゾウにそんな事思ってたの?」


わしの腕をつねりながらアーチが言った。


「アーチ、勘違いじゃ!ヴァルゴのせいで女の子なのにゴンゾウという名前になって酷い話じゃと思ったんじゃ!」


「そうなんだ。確かに女の子なのにゴンゾウは酷いね。」


「そうじゃろ。そうじゃろ!!」


「お前らよぉぉぉ!!何言ってんだぁぁ!ゴンゾウは男だぜぇぇぇ!!」


「そうですよ。ゴンゾウ様は男性です。」


「ぼ、ぼく・・・男の子なんです・・・。」


「「えーーーー!!!」」


わしとアーチは驚いて叫んだ。

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