96:2日目のカレー
「おはよう。源五郎!朝だね。」
「おはよう。アーチ。朝じゃな。」
アーチは源五郎に抱きついた状態で目を覚ました。
(結局わしは全然寝る事が出来なかったなぁ。アーチの体温。アーチの心音。アーチの寝息。全てがアウト!!!こんなんで寝るなんて無理じゃ!!紳士的に朝を迎えられた事が奇跡。神様がわしの事を見ているなら褒めて欲しいぞい!!)
「もう行かないとダメだよね?」
「そうじゃな。もう全員食堂に集まっておるはずじゃからなぁ。」
わしとアーチが抱きつきながら話をしているとドアをノックする音が聞こえた。
「入ります。皆さん食堂に集まっていますよ・・・。」
ラビがわし達を見て固まっていた。
「これは、あれじゃ!呪いじゃ!抱きつかないとダメな呪いなんじゃ!」
「それは大変な呪いですね。凄腕の解呪師を紹介しましょうか?」
「大丈夫ですぞ。これはあと少しで呪いが解けるんじゃ!」
「そうなんですね。それでは皆さん食堂に集まっていますのでお早めにお越しください。」
「かしこまりぞ!」
ラビはそそくさと部屋から出ていった。
「源五郎。呪いって無理があるよ!」
「でもラビは信じていたじゃろ。」
「どう考えても信じたフリだよ。でも、源五郎に抱きつかなきゃだから呪われているかもしれない。」
(アーチ可愛すぎじゃ!わしも呪われちゃいそうじゃ!!というか呪われているのかも!?)
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わしとアーチが食堂につくとみんな集まっていた。
「2人はいつも遅いだろぉぉ!!今度からよぉぉ!俺が起こしに行ってやんよぉぉ!!」
「待たせて申し訳ないなぁ。ヴァルゴよ。それは大丈夫じゃ。今度から早く起きるとしよう。」
「それでは全員集まったところでお食事をお持ちします。」
(もしやと思ったけど、カレーで確定じゃな。)
「わーい!カレーだぁ!嬉しい!!」
(カレーで喜ぶアーチは無邪気でかわいいなぁ。)
「カレー最高だろぉぉ!!」
(カレーで喜ぶヴァルゴは見たくないなぁ・・・。)
わし達はカレーを食べ終え、ラビが地上まで送ってくれるという事で王様やかぐやに挨拶をしてお城をあとにした。知らずのうちに王様とヴァルゴの距離が縮まったように感じた。
また、王様の表情や雰囲気が柔らかくなったように感じた。
海の月の出入り口に近づくとシャルロットが待っていた。シャルロットと再会したアーチはシャルロットに抱きついてとても喜んでいた。
ラビにトランスラグーンの魔法をかけてもらい、人魚姿になったわし達は海を泳ぎ地上に戻った。上裸パラダイスもこれでおしまいかと泳ぎながら考えていたらとても悲しい気持ちになった。
「皆さん色々とありがとうございました。また海の月にお越しになりたい場合はこちらの道具で私をお呼びください。」
ラビがそう言って鈴をわし達に渡した。
「この道具をこの浜辺で鳴らすと私がお迎えに参ります。あとこれはかぐや様からヴァルゴ様に差し上げるように言われた物です。」
ラビがヴァルゴに四角い箱を渡した。
「この箱は日の当たらないところで開けてください。」
「かしこまり!!」
「それでは皆さんまた会いましょう。」
そう言ってラビは海の月に戻っていった。
「皆さんはこの後どうする予定ですか?」
「わし達は北に向かって旅をしておるんじゃ。アタルはどうする予定じゃ?」
「私はヘカダットでゆっくりしてから適当に次の依頼主のところに行きます。」
「そうなんじゃな。アタルともお別れか。」
「寂しくなるね。」
「またよぉぉ!どこかでよぉぉ!会おうぜぇ!」
「そうですね。皆さんありがとうございます。それでは良い旅を。」
そう言ってアタルはヘカダットの街中に向かった。
「よーし!それじゃあ旅の再開じゃ!!というかマールよ。元気が無いみたいじゃが。」
「深夜にヴァルゴさんには話をしたのですが、お二人にも伝えたい事があります。」
これで第二章終了でございます。いつも読んで頂きありがとうございますぞい!!