微大尽、童女らにこてんぱんにされること
ごめんなさい。遅れました。
正直、しばらく本筋とはあまり関係ない流れがつづきます。とばしてしまってもあまり支障はありません。
お付き合いいただけるなら、もちろん嬉しいです。
桟橋にぶつかるようにして、舟はややあらい接岸をした。
船頭がきゅうに泳ぎを披露したくなったおかげでいっとき行方にまよった舟は、おなじく河の漢をなのる男の、「厚意」によって無事目的の岸へと流れついた。
桟橋にはあの船頭の仲間かとおもわれる男がひとりいた。が、下船する童女と驢馬、そして妙にうちひしがれている見知らぬ男ふたりだけをみては、ただ唖然と見送るしかなかった。
男も、お定まりの文句を口にすることもなくだまって西のほうへと歩き去る。
「さて、わたしたちはどうする?」
「おい、驢馬にじゃなく、こっちむいてきけ」
長江にでるまでにすでに半日、ここまででさらに時がかかっていた。陽が没するまでにはまだあるが、そろそろ今夜のことも考えねばならぬ時刻だ。
江を越えたいま、さしあたっての目標は広陵、ということになるか。しかしそこへ着くまでには、まだ二日ほどは歩かなければならない。
このままさっき男がきえた方へむかえば、あるいは渡し守たちの小屋のようなものがあるかもしれぬが、間違いなく復讐をうけ面倒なことになるので、こちらの案はないものとする。
ということは、そういうことになる。
「うーん、しょうがないわね。野宿覚悟でこのまま広陵にむかう? 途中、泊まれそうなところがあったらお願いしてみるってことで」
だが残念なことに、そんな奇特な家にいきあうこともなく日が暮れ、その日は野宿とあいなった。
翌日、またお昼を少しすぎた頃。
「ねえ〜、今夜こそは、どこか屋根のあるとこで休みましょうよ〜」
琴箭はもう今夜の心配をしはじめた。
はじめての野宿は、それはそれで楽しくもあったが、やはり自分は壁と屋根のうちに籠もっていたい性分なのだと思い知らされもしたのだ。
槽は枕として、きゅうに動くこともなく申し分ない。でも、これからずっと彼女によりそって布一枚にくるまって寝るのだと考えると、すこしためらわれた。
驢馬くさくなりそうなのだ。彼女には絶対いえないが。
「······しゃあねえなぁ。じゃちっと先にいって、様子みてくらぁ」
いうがはやいか、月塊は駆け出して、あっというま間にみえなくなった。
「ほんと、アイツに乗ったほうが絶対はやいわね······」
また道草をくいはじめた槽のうえで、琴箭はぼそりとつぶやいた。
そう待つこともなく、月塊は土煙をあげて帰ってきた。
進路からすこし西へずれることになるが、まあまあおおきな里があり、そこに宿をかしてくれる屋敷があるらしい。
「ま、そのくらいならいっか。明日は広陵につくだろうし」
じゃあそこへ向けて出発。琴箭はトンと、槽の腹を小突いて、すすめの合図をだす。
明日もつづきを更新いたします。




