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【完結】月琴伝  作者: 雲野 蜻蛉
太平要術論
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琴箭、夢にて啓示をうけること

三國志の魅力のひとつとして、時代のうつりかわりとともに、新たな英雄、豪傑が登場してくるということがあると、私はおもいます。

それは親子だったり、兄弟だったり、師匠と弟子だったり、役柄だったりと様々。

ようするになにがいいたいのかというと、このお話も、前章よりちょっぴり年をへています。

ということは、人である琴箭もすこしだけ成長しているということであります。


 あたり一面が火の手につつまれ、矢が天をおおう。

 身につけた黄の布が地に落ち踏みにじられ、民衆は逃げまどい、凶刃からおのが身をかばう。

 あまりの凄絶な光景に、蔡琴箭(さいきんせん)はみておられず顔をそむけた。

 だがどちらに目をむけようとも、逃れることはできない。人は累々と僻野にたおれ、馬の駆けるをほしいままにしている。

 どこからともなく声がきこえた。


『琰よ、琴箭よ、我が声に耳をかたむけよ』


「誰なの!」琴箭は直感的に天をあおぎ、声をはりあげる。

「どうして私にこんな···」


『きけ、かしこき童よ。このままいけば、かの光景は避けえぬものとなろう。お主はその流れを断たねばならぬ』


「······私、が?」

『太平要術をとりもどし、我がもとへ······』

「太平要術? それ書なの? いったい誰から!」


『冀州、鉅鹿(きょろく)郡、養春山、太賢良師。我発するは南華老仙なり───』

 プツリ。


 実際には鳴らなかっただろう音がきこえ、琴箭の意識は一瞬のち、また闇に落ちていった。



 鳥の声がきこえる。うっすらと目をあけると、すでに陽はさしこみはじめていた。

「ん···なんで? 寝過ごしちゃった?」

 瞼をこすりこすり、むっくりと床のうえに起き上がる。ふわぁっと欠伸をひとつ。

 と、部屋の隅につんだ巻物のやまが目にはいった。

 一瞬ののち、

「······~~~~っ」

頭にやっと血のまわった琴箭は、耳まで真っ赤にした顔を両の手でおおった。



読んでくださりまして、まことにありがとうございました。また、投稿させていただきます。よろしくお願いします。


今回、時はすこしだけ進み、琴箭嬢ちゃんも、ちょびっとだけ大人に近づきました。

前章で「三國志感薄めなので、リベンジしたい」なんていったせいなのですが···

なにぶんこのお話、時代的にすこしはやいため、いわゆる三國志っぽいイベントを──となると、どうしても時間をすすめるしかありませんでした。

このままいくと、琴箭もどんどん大人になってしまうかもしれません(笑)


とても短いです。ので、明日も投稿させていただきます。

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