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【完結】月琴伝  作者: 雲野 蜻蛉
殷秋史
35/403

琴箭の功を得、月塊、本懐を成就すること④


「まったく、どいつもこいつもこのようなものを······」


 朱硯は手にもった巻物を、まるで薪をみるような目でみ、床にほうり投げる。

「いま必要なのは書ではない、兵だ! そのための財と糧だ! 乱世がすぐそこまで迫っているというに、なにを悠長な。こんなものでは何も護れはせぬ!」


「······が、かり、ね」

 足下からした小さな声に、朱硯はギロリと眼を怒らせた。

「···なに?」


 琴箭は痛みに顔をあおくしながらも、涙いっぱいになった眼で、朱硯を睨みあげる。


「きっと立派なかただって、おも、たのに······書を、かろんじるな、て。やっぱ、り」

「······」

「···父上が、い、てた······書を、害す、ひとはみな、滅ぶ。貴方、な、か、始皇、帝と比す気にもなら、な、けど、ねっ」

「···小娘がぁあ。この私に講釈をたれるかッ!」


「──おい···てめェ! それ以上やりやがったら!」


 たまらず月塊が一歩ふみ出すと、朱硯はするどくそれも制した。


「貴様もだ! うごくな! 人の世にまぎれこんだ異物が! 俺の大義の邪魔はさせん!」


 そう一気にまくしたてると、朱硯はさすがに頭に血がのぼったものとみえ、フ──と大きく呼吸し、気を落ち着かせる。


 冷静さをとりもどした朱硯は、あらためて麒麟にむかった。剣を床におちた殷秋史にむける。


「お主がそこまで夢中になるのなら、始めからこうしておけばよかったわ。さあ! さっさとその凶賊を片付けてしまえ!」

怒りをあらわにし、こちらを睨みつける麒麟に、朱硯は威をもって命じた。


「······できぬのか? ならば······こうだ!」


 片手で柄をもちあげ、逆さにかまえた刃先をまっすぐ書に突きだした。



つづきを明日正午、更新いたします。

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