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【完結】月琴伝  作者: 雲野 蜻蛉
殷秋史
33/403

琴箭の功を得、月塊、本懐を成就すること②


 琴箭はゆっくりと、木簡を削るためにもってきていた小刀をとりあげ、深呼吸した。

 こんな戯言、通じるとはおもえない。けどもう待ってても好機はこないんだ。


「まって! 麒麟様!」

 さけぶと、スッと小刀を自分の喉に押しあてる。

「もう月塊をくるしめないで! でないと······私は喉を突きます!」


 なにをいいだすのか。麒麟は愚か者をみる目つきをこちらへむけた。

「幼稚な。そんな虚言を私がとりあうと思うのか」


 月塊が這いつくばりながらも、また身を起こすのを視界の端でとらえながら、麒麟は冷徹につげた。

「···いいの? 私の魂が必要なんでしょ?」

「汝に固執する必要などない。済めばまたつぎを探すまで」

 だよね、わかってる。けど······

 琴箭は麒麟の言を思い返す。



『我が身にもかえるだけの悲願があるということだ』



 あんな口ぶり。麒麟だってずっと、たぶん私たちよりも長い間想いを抱えてきたはず。まったく気にならないわけがない!

「ホントにいいのかな? ホントに? 目の前に積年の大願成就があるんだよ? むざむざ見逃すってわけ?」

「······悪童が。(さか)しいぞ」


 ──(おっしゃ)るとおりだぜ。

 月塊はハッと息をはきだすと、痛みで言うことをきかない全身に鞭うってたて膝をつく。

 まったくアイツは。最初っからずっとああだ。小娘のくせに腹算用がきいて、悪賢くて。心底タチが悪い。(おれたち)をナメくさってる。


「······でも、ま。それだけに分かりやすい······か」


行き詰まったからって、そんな可愛げのある真似するわきゃない。なにか企んでやがるな。



「どうしたことだ、これは!」

 誰のものでもない声がだしぬけにし、生まれつつあった緊張をはらった。三者はおどろいて視線をむける。

「周朱硯······?」


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