琴箭の功を得、月塊、本懐を成就すること
「ぐあああッッ!」
麒麟の顔が苦痛に歪んだ。とっさに月の手をふりほどいたものの、苦心の蹴りはたしかにその実体をとらえたのだ。
足をふり抜いた月塊は、勢いそのままに回転と両腕の力で身軽に体勢を持ち直すと、すかさず体当たりをしかける。麒麟は傷めた右脚側の横腹を衝かれる格好となった。
また入る!
しかし、その予感はまさしく肩透かしに終わった。
思いもかけぬ負傷に棒立ちとなってしまった麒麟だったが、月が突っ込んでくるのと同時、巧く後脚を抜く。
呼び込まれるかたちとなった月塊は、蹴り出しの力が目一杯こめたられた後蹴りを喰い、今度は左へと吹き飛ばされた。
一方の麒麟もいったん間をあけるように後方へと退いた。
「ッ······くそ」
く、ぬかった。奴がもっと疲弊していなければ、右脚をもがれていた······!
麒麟は腿でもちあげたまま、ぶらりとさがった右前脚をみつめる。
気を落ち着けると、活をいれた。と、その傷から玉が湧き、痛手をおぎなうかりそめの甲冑と化した。
「だが、やはり決め手にはならぬ。汝の疲弊は極まれり。もはや術をなすことも叶うまい」
ドォン······!
麒麟の指摘をうらづけるかのような間で、月塊が放り出していた戟が、もとの大岩へと姿を戻した。
「終局だ」
駄目だ。このままじゃホントに月塊は敗ける···! そうなれば、私もまたあの冷たい玉に逆戻りだ。
琴箭は胸中の焦燥感に必死で抗う。
私達の願いが潰えてしまう!
「······もう、こうするしかない···!」
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とりあえずのひと区切りまであとすこし。お付き合いいただければ幸いです




