月塊、窮地にたつこと②
勝ったと思ったあのときは──
琴箭はとってかえすと、のっかった瓦礫をどけて、机にむかった。
麒麟に触れたのは戟の刃先だけで、月塊自身はさわってない。あの印が効果を発揮したのは、アイツが必殺の瞬間にはなった拳が命中したときだけだ。
木屑まみれになったのこりの墨に筆をつける。
それはもう相手にもバレてる······だって麒麟は月の戟を恐れることなく受けているもの。注意をむけたのは拳が入りそうになったその瞬間。
あまった木簡のうえに、はじめてあったあの日、記憶にやきついた円陣が完璧に再現された。いまだけではない。培ったもの憶えのよさは、いくどとなく彼女を助けてくれる。
この印に触れないと、アイツは剛力をだせないの······
その瞳が、礫やら木片やらの散乱する殿中の床にゆっくりとうつろった。
「ちょっと案山子を増やしたからって得意がってんじゃねえ」
口こそ威勢がよいものの、たち上がった月塊の足元はおぼつかず、両目をおおっている。
一方、麒麟の足下からは、翠色の霧が、じわりとたちのぼりはじめていた。
「······」
「お前に当てられないんなら」月がなんとか瞼をうち開く。
「こうすりゃいいんだろ!」
だんっと地を踏みしめ円陣を描き、それを足の裏でサッと払う。まるで氷のうえを往くように、光の印は麒麟の目前まで一瞬で滑りついた。
「おらァッ!」
一足跳びに陣へと追いついた月が拳を叩きこむ。
そこにかかった恐るべき力は何倍にも増幅され、屠られた地面から大量の土石が麒麟を襲う──はずだった。
こんなにもお休みがつづいている······
ということで、ほんの少しだけ早回しで投稿させていただいております。
ワガママですいません。




