86 賢者の罠
「サリヤ!俺の背に乗れ!」
「アクロスさん、なにを!」
「岩の扉が開かないんだったら、ここを登るしかないだろ」
ギルは岩の山を見上げた。
山を構成する岩は、鋭角に尖ってとても登れそうにない。
「アクロスさん、危険です!」
「だが、他に手はないだろう」
「そっ、それは・・・」
「アクロス!お願い!」
「よし、任せろ!」
サリヤがアクロスの背中に乗ろうとした時、
ガガガガー、
石を引きずる音とともに、岩の洞窟の扉が開いた。
「開いた!」
サリヤはすぐに杖を光らせ、洞窟の中へ入った。
ギルとアクロスも続く。
サリヤが洞窟の出口を出た時、小さくアレンの背中が見えた。
「アレン!」
サリヤはアレンに駆け寄った。
その姿を間近で見たサリヤは、思わず絶句した。
皮の鎧に無数の傷が刻まれていた。
胸の傷は深く、額から流れる血がポタッポタッっと音を立てて、座り込んだアレンの手の甲に落ちている。
アレンは青白い顔で、うつむいたままだった。
「サリヤか・・・」
アレンは緑の光に包まれた。
遅れてやってきたギルとアクロスは、アレンの変わり果てた姿に言葉を失う。
「アッ、アレン・・・生きている、のか?」
「・・・ああ、なんとかな」
「お前、一体誰と戦っていたんだ」
「・・・じっちゃんだよ・・・俺がずっと探してた・・・」
「アッ、アレン・・・今、なんて言ったの、」
「俺のじっちゃんだ」
カラン、
サリヤの手から、クレセント・カルマンが落ちた。
「・・・嘘でしょ、」
「急に勝手にいなくなってさ・・・会えたと思ったら、怖い顔して・・・俺の前に立ってたよ」
「アッ、アレン・・・」
「探してた・・・そう、ずっと探してたんだ・・・なのに・・・やっと会えたと思ったら、じっちゃんは俺の敵になってた・・・・・・笑えるだろ、サリヤ、」
サリヤは返事が出来なかった。
理解が追い付いていない。
サリヤの頭の中は、パニック状態だった。
「・・・本当に・・・本当に、アレンのおじいさん・・・なの?」
アレンは夜空を見上げた。
いつの間にか二つの月は姿を消し、たくさんの星々が瞬く夜空になっていた。
「俺も最初は疑ったよ・・・けど、間違いない・・・本物のじっちゃんだった」
サリヤは、両手で口を押えた。
我慢しても、我慢しても、涙がどんどんあふれてきた。
こんな酷いことがあっていいのだろうか・・・
墓でしか、母親に会えず、
育ての親のおじいさんとは、敵同士になるなんて・・・
こんな酷い話しが、あっていいのか・・・
サリヤはアレンを抱きしめた。
もう抱きしめるしか、サリヤには出来なかった。
「アレン、悲しみを分けて・・・あの、船のときみたいに・・・」
「サリヤ・・・俺は・・・俺は、この手で、」
「ダメ!何も言わないで!」
「・・・」
「アレン・・・あたし達はなにがあっても、アレンの味方だよ・・・それだけは、忘れないで・・・」
「サリヤ・・・」
ギルはアレンに近寄ろうとしたが、アクロスに腕をつかまれた。
ギルがアクロスを見ると、アクロスは顔を横に振った。
「二人だけにしておこう」
「・・・そうですね、」
ギルとアクロスは反転し、岩の洞窟へ戻った。
ギルが立ち止まり、後ろを振り返ると、サリヤはアレンを抱きしめたまま身動きしなかった。
(・・・アレンさん、)
アクロスは、ギルの背中を叩き、
「俺達は二人が戻るまで、岩の扉で待つことにしょう」
ギルは頷いた。
夜明けを告げる小鳥達の鳴き声が聞こえた。
ギルが目を覚ますと、神の島にオレンジ色の朝日が差し込んでいた。
「うーん、」
大きく背伸びをして後ろを見ると、アクロスは岩山を背に腕組みをして寝ている。
(あんなゴツゴツした岩でよく寝れるな・・・)
アレンとサリヤは、まだ戻っていないようだった。
一瞬様子を見に行こうかと思ったが、アクロスの言葉を思い出してギルは待つことにした。
(そうだ、賢者様が言ってた五大極性魔法でも見ておこう)
ギルは地面に置いていた天空の古文書を手にとり、上に積もっている砂埃を息で吹き飛ばした。
そして、賢者が書き込んだというページを探した。
「あ、あった、これだ、」
そこには、本の文字の上から賢者が文字を書いていた。
焦って書いたのか、字の感じは殴り書きのようだった。
(賢者様、これじゃ本の字が読めないじゃないですか・・・)
苦笑しながらも、ギルは賢者の文字を目で追った。
<<そもそも、魔法とは危険なものである。術者が持つ魔力が尽きても、魔法が発動可能であることは、あまり知られていない>>
(ええー!?、魔法力が無くなっても発動できる?・・・嘘だろ・・・知らなかった・・・)
<<魔力が尽きたときに魔法が行使できないのは、魔法が定義されているが故である>>
(魔法の定義・・・経典のことかな・・・)
<<定義された魔法は、そのスペルを詠唱することで発動するが(ちなみに無詠唱は詠唱の省略で、理論上は詠唱していないわけではない)、詠唱するスペルは定義されたものでなければならない。
定義された魔法は、魔法が持つ危険性が故に、魔力が尽きると術者を失神させるという、後処理が必ず内包されている>>
(なるほど!魔法力を使い切ると気を失うのはそのためか・・・でも、魔法が持つ危険性ってなんだろ・・・)
<<つまり定義された魔法を使う以上、魔力が尽きれば失神し魔法を行使できなくなる。
ここで提起されるのは、定義されていない魔法を使うとどうなるのか、ということだが、
通常であれば、定義された魔法と何ら変わるところはない。
だが、魔力が尽きた場合の後処理が定義されていない魔法には無く、不足している魔力分は、術者の生命エネルギーを魔力に変換して発動されてしまう>>
(生命エネルギー・・・つまり、自分の命を削って魔法を発動させる、ということか・・・確かに危険だな、これは)
<<更に危険なのは、定義された魔法は発動時に魔力量が測定され、必要量に満たない場合は発動そのものが取り消されるが、定義されていない魔法にはこの制御が無い。
定義されていない魔法は、術者の知らない間に術者の生命エネルギーを消費するため、年齢の割に老けている術者がいれば、定義されていない魔法を使っている可能性が高い。
このことは魔法を管理する組織の中でも、大きな問題であったため、現存する魔法のほとんどは定義された魔法となっている。
しかし、効果範囲や攻撃力が極端に大きい魔法は、世界に破滅を招く恐れから禁忌魔法と位置付けられ、定義から除外された。>>
(こういう経緯で禁忌魔法が存在するわけか・・・)
<<だが、危険であればある程、それを追い求めるのもひとつの真理。
高位術者の中には、あえて禁忌魔法を使う術者も存在したようだ。
わしが偶然発見した五大極性魔法は、禁忌魔法の中でも王の位の魔法。唯一無二の存在だ。
(余談だが、この五大極性魔法というのは正式な名称ではない。この魔法には正式な名称はなく、誰かが発動した魔法を見てそう呼んだものが名称になったようだ)
この魔法の恐ろしい点は、世界を震撼させるその破壊力だけではない。
扱った術者に不可避の死をもたらす破滅の魔法であることだ。
それは、この魔法が要求する魔力量が甚大であることに他ならない。
高位術者の魔力量を持ってしても、その要求には届かず、結果一度の詠唱で術者の全ての生命エネルギーが変換されて発動されるという、
まさに自らの命と引き換えにする死の魔法だということだ>>
(なるほど・・・だから賢者様は使うなと言ったわけか・・・)
<<五大極性魔法とは、地、水、雷、風、火の五元素を全て混ぜ合わせ発動させる魔法である>>
「なっ、なんだってー!」
思わずギルが叫んだ。
その声に、アクロスはビクっとなった。
「どうした!」
アクロスの右手は、反射的に斧を握っている。
「あ、すみません。起こしてしまいましたね」
アクロスは、ギルの持っている本を見た。
「それは最後の古文書、」
「ええ、この中に賢者様の書き込みがあるのですが、それがトンデモない内容だったので、思わず叫んじゃいました。アハハ」
「トンデモない内容?」
「究極魔法のことなんですが、この世界の五大元素を全て混ぜるって書いてあるんですよ」
「元素を混ぜる、それがヤバイことなのか?」
「アクロスさん、魔法は常にひとつの元素でしかありません。火なら火、風なら風です」
「言われてみれば、そうだな・・・」
「混ぜるということは、おそらく異なる元素をくっつけることだと思いますが、」
「くっつけると、どうなる?」
「異なる元素は互いに反発します。くっつけることなんて基本的には出来ません。もし出来たとしても、すぐに反発し、その反発エネルギーだけでも相当な力を持っているはずです」
「つまり、その究極魔法は異なる元素を無理にくっつけるというわけか、」
「ええ。それも五つの元素全てくっつけるとなると、大爆発どころの話しじゃないですよ」
「お前のよく使う爆発の魔法はどうなんだ?爆発するんだから、違う元素を混ぜてるんじゃないのか?」
「あれは、地の元素です」
「地なのか、」
「ええ。地には爆発の元となるものが含まれていて、それを使っています」
「なるほど、」
「この究極魔法の爆発するエネルギー量は、足し算じゃなく掛け算で計算されるので、5つもの元素となると・・・」
「よくわからんが、凄いことになるというのは理解できたよ」
「この世界を破滅させるっていうのも、絵空事じゃないな、これは・・・」
「なにっ、世界の破滅・・・」
本を見てつぶやくギルに、アクロスは思わず息を飲んだ。
ギルは、本に目を戻した。
賢者の書き込みの続きには、五大極性魔法の詠唱文が書いてあった。
(これは詠唱というより、呼びかけというか宣言のような感じだな・・・ま、使わないから関係ないか・・・)
ギルは、パタンと本を閉じた。
「あ、でも心配しないでください、アクロスさん。この魔法は誰にも使えませんよ」
「使えない?なぜだ、」
「使った本人が死ぬからです」
ギルはにっこり微笑んだ。
太陽がオレンジから黄色に変わり、森からその姿を全て見せた頃に、岩の洞窟から足音が聞こえてきた。
ギルは座っていた石の上に本を置き、岩の扉の前で待ち構えた。
「ギル、待たせたな」
「アレンさん・・・」
ギルは、ボロボロの赤い鎧を着たアレンにしがみついた。
「アクロス、お前にも心配かけたな」
「もういいのか?」
「ああ、すっかり元気さ」
「そんな赤い目で言われても、信じられないけどな」
「気にすんな、大丈夫だぜ」
サリヤは、アレンを見て微笑んだ。
「ところでアレン。お前のおじいさんの遺体はどうしたんだ。昨日お前を見たとき、遺体らしきものは無かったようだが、埋めたのか?」
アレンは、少しうつむいた。
「消えたんだよ」
「消えた?」
「ああ。息を引き取った後、じっちゃんの身体は光の粒になって空へ舞い上がっていった・・・」
「なんだと、」
「アレンさん、もしかしておじいさんは、神・・・ですか」
「自分で神だって言ってたな」
「ギルそれは?」
「地上に降りた神は、寿命を終えると光の粒子になって、天空へ戻るって聞いたことがあります」
「それは、天でまた蘇るってことか?」
「そこまでは分かりませんが。でも、もし蘇ったとしても、身体をもつことは出来ないんじゃないでしょうか」
「精神体ってことか、」
「ええ、」
アレンは、ギルとアクロスを両手で抱え込んだ。
「お前ら、そんな小難しい話しをしてんじゃねえよ」
「おいおい、お前のおじいさんの話しだぞ」
「それよりも、これを見ろよ」
アレンが懐から取り出したものは、薄い水色に光るガラス玉だった。
「あー!それは・・・ドッ、ドッ、ドッ、ドラゴンオーブ!」
「こいつがそうか!」
「これが、俺達がめちゃくちゃ苦労して、手にいれようとしてたもんだぜ」
「アッ、アレンさん!ちょっと、ちょっとだけ、ちょっとだけ触ってもいいですか!」
「おう、もちろんだ」
アレンは、ギルにドラゴンオーブを手渡した。
ギルは、大事そうに両手で受け取った。
受け取る手が震えている。
「こっ、これが・・・これが本物の・・・・・・」
ギルの両目から、涙があふれた。
そして、鼻から鼻水も。
「おっ、おい、ギル・・・ここで泣くんじゃねえよ、」
「だって、だって、バァレンさん・・・僕達、ごの玉のだめに・・・どでだけ苦労しでぎだが・・・・・・」
「わっ、わかってんだよ・・・そんなことは・・・」
アレンはクルリと背を向けた。
「あれー?アレンも泣いてる?」
「サッ、サリヤ、茶化すんじゃねえよ、」
薄く青く光るドラゴンオーブは、ギルからアクロスへ、
アクロスからサリヤへ、
そして、サリヤからアレンへ渡された。
アレンは、遠くの森から登る太陽にドラゴンオーブをかざして見た。
ドラゴンオーブは、陽の光を受けてキラキラと煌めいた。
「おおー。まじで中の黒い影が竜の形に見えるなー、」
「綺麗ねー」
「ああ、綺麗だ」
4人は空に掲げた薄いブルーのドラゴンオーブを、いつまでも見ていた。
「で、だっ」
「ん、どうしたアクロス?」
アレンは、ドラゴンオーブを懐にしまった。
「皆気付いていると思うが、」
「ん?気付くって、」
アクロスは地面に座った。
サリヤ、ギルも座る。遅れてアレンも座った。
4人はいつもの円陣を組んだ。
「ギルは気付いているよな?」
「ええ、もちろんですよ。ただ今は空気を読んでクチにしてないだけです」
アクロスは頷いた。
「サリヤは、どうだ?」
「もちろん気付いてるわ。でも、どうしようも無いことだから言わないだけよ」
アクロスは、大きく頷いた。
「で、アレンはどうなんだ?」
「えっ?」
「どうなんだ?」
サリヤとギルは、アレンの顔を見た。
「もっ、もちろん・・・もちの、ろんだよ」
「ほー、じゃ何に気付いてるのか、言ってもらおうか」
アクロスは、不敵な笑みを浮かべている。
「おっ、お前ら、俺を疑ってるな・・・」
「アレン、目が泳いでるわよ」
「なっ、何言ってんだよサリヤ。俺の目はいつも泳いでんだよ」
「何バカなこと言ってんのよ。さっさと白状したらどう?『実はわかってないですー』って」
サリヤは、バカにした目でアレンを見ている。
(なんなんだよ、こいつら・・・気付くって、一体何にだよ・・・)
その時、アレンは岩の上に古文書が置いてあるのが目に入った。
ゴホンとひとつ咳払いをして、
「答えは、あの本に書いてあるぜ」
3人はアレンが指さす方を見た。
「天空の古文書に、ですか?」
「そうさ」
ギルは立ち上がり、古文書を取ってきた。
「この本には、おそらく天空のことについて書かれているだけだと思いますが、」
「全部読んだのか?」
「あ、いえ、まだですけど、」
「じゃあ、書いてないと言い切れないな」
アクロスは、小さなため息をついて、
「アレン、答えがわからないからって、適当なこと言ってもダメだぞ」
「ほんと、往生際が悪いんだから」
「サリヤ、お前なにげに酷いこと言ってるぞ」
「だって本当のことだもん」
ギルは肩をすくめて苦笑いした。
「さっ、最後のページだよ、」
「えっ?」
「ほら、いつも何も書かれてない白紙のページがあっただろ。きっ、きっとそこに答えが書いてあんだよ」
「まさか、」
「いいから、ギル見てみろって」
ギルは大きく息を吐きながら、古文書の最後のページを開けた。
そこには地図と文字が既に浮き出ていた。
「あ、もう浮き出ていますよ」
「あんた、まさか何も浮き出てなかったら、『書いてるはずだけど、浮き出てないからわかんないよな』って、言うつもりだったんじゃ、」
「アレン、さすがにそれは俺も怒るぞ」
「まっ、待てよ。ギルよく見てみろって。何か書いてないか?いつもと違う何か、」
「そんなの、あるわけない・・・」
そう言いながらギルがよく見ると、ページの隅が黒く汚れている。
「ん?これは・・・」
「ほっ、ほら!やっぱ何か書いてあるんだ!」
サリヤとアクロスは、ギルの持つを本を覗き込んだ。
「これは汚れか?」
「いえ、極端に小さいですが、これは古代文字ですね」
アレンはアクロス達に背中を向けて、小さくガッツポーズ。
「なんて書いてあるの?」
「えっと、『ソーテラと叫べ』と書いてあります」
「ソーテラ?なんだそれは。ギル、聞いたことあるか?」
「いえ、今初めて聞きました。なんでしょうか、」
背中を向けたアレンは、荒い鼻息で腕組みをしながら一人で頷いていた。
そして、チラッとサリヤを見て、
「サリヤ、俺は持ってる男だろ?」
「まだわかんないわよ。ただのイタズラ書きかもね」
アレンは、ギルから古文書を奪い取った。
「アレンさん何を、」
「ギル、叫ぶんだ」
「えっ、僕がですか?」
「そーとも。お前が最初に文字を読んだからな」
「古代文字読めるの僕だけだから、最初もなにも、」
「いいから、叫ぶんだよ」
アレンはニンマリしながらも、ギルに早くしろと目で合図した。
「わっ、わかりましたよ・・・ソッ、ソーテラ・・・」
「ちっさ、声ちっさ」
「ギル、サリヤにチェックされてちゃお終いだぜ」
「どーいう意味よ、」
「叫ぶってあんだから、もっとでけえ声で、」
ギルは立ち上がり、すーっと大きく息を吸った!
「ソーテラーー!」
・・・
「何も起こらないぞ」
3人はまた酸の海が割れるのかと、湖をじっと見ていたが何も起こらない。
「ちょっとアレン!やっぱり、あんた持ってないじゃない!」
「あわてんなよ、サリヤ。次はアクロス、お前だ」
「自慢じゃないが、俺の声がこの中で一番でかいと思うぞ」
「よし、思い切りやってくれ」
「フフフ、」
アクロスは、大きく息を吸った!
分厚い胸板が、更に大きく膨れ上がる!
「ソーテラァーーァァァァー!」
思わず3人は耳を押えて塞ぎ込んだ。
「アクロス!どんだけでけえんだよ、お前の声は!」
「耳が壊れたかと思ったわ、」
「鼓膜破れたかも・・・」
しかし、何も起こらない。
「うーむ、やっぱ違ったのか、」
顎を手で撫でているアレンを、3人は睨んだ。
「まだアレンが残ってるよな?」
「そうですよ。僕にやれって言ったんだから、アレンさんも叫ばないと、」
「そうよアレン。そもそもあんたが最後のページを見ろって言ったんだからね。責任とって」
「せっ、責任って・・・それにサリヤ、お前だってまだ、」
「いいから、叫べ!」(3人同時)
「わっ、わかった、わかったよ。叫べばいいんだろ、叫べば、」
イヤイヤ感が全身からにじみ出ていたが、3人の睨む顔にアレンは渋々立ち上がった。
ひとつ咳払いをして、大きく息を吸った!
「ソーテラァー-!」
ソーテラァー、ソーテラァー、ソーテラァー
「ちょ、ちょっと。どうしてアレンの時だけエコーがつくのよ」
「サリヤ、それは俺が持って、」
ドドドドー
「うわぁ、」
神の島が揺れた!
その時、上空の雲が巨大な渦を巻き始めた!
「アレン!これは!」
アクロスは思わずアッシュ・ノワールを取りに走った!
アレンは真剣な眼差しで、上空を見上げている。
「こっ、これはヤベえ・・・」
「なっ、なに!何が起こったの!」
「サリヤ、ギル!お前らも戦闘態勢を取れ!」
「どうしたんですか!アレンさん!」
「空からとんでもない闘気を感じる!」
「ええーっ!」
「アレン、あんたまさか魔物を召喚しちゃったの!」
「くそっ!これもクソ賢者の罠だったのか!」
「そっ、そんな・・・せっかくドラゴンオーブを手に入れたというのに・・・」
「いいから、早くしろ!」
サリヤとギルは杖を取り、握りしめた!
「アレン!ここは狭い上に逃げ場がないぞ!」
「周りは酸の海か・・・くそったれめ、」
ギャワン!
空から獣のような、大きな鳴き声が聞こえた!
4人は一斉に上空を見上げた。
そして見えてきたその姿に、ギルは思わず呟いた。
「あっ、あれは・・・まっ、まさか・・・ドッ、ドラゴン・・・」
「なっ、なに!」




