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激流の中で  作者: 清水京太郎
第1章 武闘大会
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06 秘密の部屋

大臣オッドは、玉座の間へ向かって走っていた。

扉の前に到着したオッドは、肩で息をしながら衛兵に言った。


 「王に急ぎ申し上げたき義がある。取次げ」


少しして、扉は開かれた。

玉座と、そこから真っすぐに伸びている赤い絨毯がオッドの視界に入った。

玉座には、ウォルタ王がいた。


絨毯の上を歩き、王の近くまで来るとオッドは上目遣いに王を見た。

王は何かを察知したようで、


 「皆の者、しばし外せ」


オッドを残し、部屋にいた者達を外に出した。

最後の一人が扉を閉めたのを見ると、オッドは二、三歩進み、小さな声で囁いた。

その声は、近くにいても聞き取れないくらいの小さな声だった。


 「ふむ、それは間違いないか」


 「間違いございません。コロセウムの貴賓席から、しかと確認しました」


 「ふむ、そうか。やはりそうであったか」


ウォルタ王は、満足そうな表情を見せた。


 「いかが致しましょうか」


 「放っておけ。どういう結果になろうとも、わが王国は安泰だ。そうであろう?」


 「御意」


それだけ会話して、オッドは玉座の間を後にした。

オッドが出ていくのを見て、部屋にいた者達は中に入った。


しばらくして、ウォルタ王は玉座から立ち上がった。


玉座の間を出て階段を上り、長い廊下を歩いて狭い階段をいくつか上り、そしてある部屋の扉の前に立った。

そこは、王だけが入れる部屋だった。


王は、扉を開けた。


目の前には、大きなベッドの中で美しい少女が眠っていた。


 「1000年か・・・まったく、ご苦労なことだ」


息もせず目を閉じた少女は、表情を変えることも口も開くことも無かった。


王は、少し開いてたカーテンを閉じた。

わずかに差し込んでいた太陽の明かりが無くなり、部屋は薄暗くなった。


 「おまえの努力が実るのか、無駄に終わるのか。俺はゆっくり楽しませてもらおう」



  ◇◇◇



 「死ね、ガキが!」


試合開始早々、ラウルスは持っていたバトルアックスを振りかざして、突っ込んできた。

その時、異変は起こった。


 (えっ!?)


アレンが見たものは、全力で突っ込んでくるラウルスだったが、

その速さ、は歩いているような速度だった。

身体は前傾になり、走っている姿そのものだったが、見た目は走っているように見えるのに、近づいてくる速度はゆっくり歩く程度の速さだった。


アレンは、試しに飛んでくる物を避けるように、自分の身体を横に傾けすぐ元に戻したが、普通の速さで動けた。

相変わらずラウルスは、ゆっくりと近づいてきていた。


 (なんだこれは、どうなってる?)


ラウルスは、ようやくアレンの前まで来たが、わずかな距離をかなりの時間かかっていた。

近づいてきたラウルスは、物凄い形相で斧を振り下ろそうとしていた。

その速度もゆっくりであった。

アレンは、サっと移動してラウルスの背後に回った。

斧が空を切った瞬間、ラウルスは元の速度で動きだした。


 「消えやがった!」


ラウルスは後ろに気配を感じ、振り向くとアレンが立っていた。


 「貴様、いつの間に!」


 「おっさんが遅せーんだよ」


 「くそっ、魔法か。なめるなよ、小僧ー!」


ラウルスは再びアレンに向け突進してきた。その瞬間、また動きがゆっくりになった。


 (なるほど、なんとなくわかってきたぜ)


アレンは、またラウルスの背後に回った。


 「また後ろか!ちょこまか逃げ周りやがって!」


 (こいつが遅いんじゃない。じっちゃんが早過ぎたんだ。俺の目はその速さに慣れちまって、こいつの速さを感じなくなっている)


 「ガキめ。逃げてばかりじゃ勝ち目はないぜ」


 「その通りだな。じゃ、今度は俺からいかしてもらうぜ」


アレンは、右足に体重を乗せ、はぁ!という掛け声でラウルスに向け飛んだ。

そう、走ってるのではなく、飛んでいた。その速さは、まるで弾丸のようだった。


 ガシーーーーン!


次の瞬間、ラウルスはコロセウムの壁に叩きつけられていた。


審判は、ラウルスの様子を見て告げた。


 「ラウルス戦闘不能。よって、勝者アレン!」


ラウルスは、壁に激突して失神していた。

身に着けた鎧には、アレンの刀で殴打されたようなキズが、ラウルスの左肩から右下脇腹に向け走っていた。

しかし、そこから出血はしておらず、強く打たれ、衝撃で吹き飛ばされたような状況だった。


 「あれ、斬れてない?」


アレンは、剣に目を近づけてよく見てみると、刃が平になっていて、そもそも切れるようになっていなかった。


 「なんだこれ! 修行用?・・・もしかして、じっちゃん、わざと修行用の剣を俺に・・・」




頭を抱えてうずくまっているアレンの姿を、ある青年がコロセウムの隅で見てた。


 「やるな。あのスピード異常だ」


青年は、苦笑いした。

そして、壁に貼られた武闘大会の組み合わせ表を見て、呟いた。


 「どうやら決勝はあいつとやることになりそうだ」


いよいよ戦いが始まりました。

アレンの運命やいかに!(笑)

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