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激流の中で  作者: 清水京太郎
第3章 インドラの塔
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20 4つの神器と5冊の古文書

 サリヤはギルを宿屋に連れてきた。部屋に行くと、アレンはベッドに座っていた。


 「もう大丈夫なの?」


 「ああ、心配かけたな。たっぷり寝たらからバッチリだぜ」


 その時、ギルは部屋の隅に置いてある剣と杖に目を付けた。

 その気配をアレンは逃さない。


 「サリヤ、そいつは?」


 「この子はギル。ドラゴンオーブのことを知っているらしいわよ」


 「ほう、」


 マーラーじゃなかったのかとアレンは思ったが、自分が寝ている間にいろいろあったのだろうと推測した。

 サリヤは部屋のドアを閉めた。


 「さあギル、話して。ドラゴンオーブのことを」


 「その前に、」


 ギルはアレンとサリヤを見た。


 「どうしてお二人はドラゴンオーブを探しているのですか?」


 「ウォルタ王に頼まれたんだよ、探してくれってな」


 (ウォルタ王が・・・)


 「なんでも、あの城に1000年も眠っている姫がいるらしい。きっと、その姫を目覚めさせられるものじゃないの?」


 「なるほどー。1000年姫の噂は本当だったのか」


 「本当かどうか、まだわかんないぜ。俺は姫を見たわけじゃないからな。ただ俺がその姫の話をしたときに、城の奴が誰にも言うなって言ってたから、たぶん本当なんだろうけど」


 「あんた今余裕で喋ったわよ」


 「わかりました。ではお話しましょう。様々な文献や歴史書から得た僕が知っているドラゴンオーブのことを」


 アレンとサリヤは注目した。

 ギルによると、ドラゴンオーブは誰も近づけない神の島にあり、その島の場所を記した地、水、光、闇、天空の5冊の古文書がある。

 ドラゴンオーブは片手で持てるくらいの大きさで、透き通った青色をしていて、中心に黒い傷のような模様があり、見る角度によってそれがドラゴンのように見える、ということだった。


 「で、その古文書ってのはどこにあるんだ」


 「それはわかりません。しかし歴史書によると神に選ばれた5人の賢者が1冊ずつ持っているらしいです」


 「うわー、なんかめんどくさくなってきたじゃねえか」



 「ねえ、もしかしてマーラーって、その賢者の一人なんじゃない?」


 「ギル、そうなのか?」


 「その可能性はあると思いますが、マーラー様が持っていた本の中に、ドラゴンオーブの古文書らしきものはありません」


 「なんだよ、結局前に進まないのか・・・」

 


 ~ここまでドラゴンオーブについて、分かったことを整理しよう~

  ・ドラゴンオーブは神の島にある

  ・神の島の場所は、地、水、光、闇、天空の5冊の古文書に記されている

  ・5冊の古文書は5人の賢者がそれぞれ1冊ずつ持っている


 

 「ただ・・・」


 「ん?なんだよ、ギル」


 「マーラー様は10日程前に手紙を受け取ったのですが、その翌日に出かけ、それから帰ってこなくなりました」


 「手紙?」


 「ええ、その日一羽のセキレイがやってきて、足に手紙というか丸められた紙がついてました。マーラー様はその紙を広げて読むなり顔色が悪くなって・・・」


 「それにはなんて書いてあったんだ?」


 「僕には何も言わずに、紙はマーラー様が燃やしました」


 「・・・」


 「でも、その次の日にインドラの塔へ行くから後のことは頼む、と言って塔に向かわれました」


 「紙に書いてあったことで、インドラの塔ってところへ行ったということ?」


 「そう考えるのが自然ですね」


 「つまり、どういうことなんだ?」


 「こう考えられませんか。紙にはドラゴンオーブのことが書かれてあり、インドラの塔にドラゴンオーブの古文書があることをマーラー様は知っていた」


 サリヤはアレンの顔を見た。


 「手紙がきたってことは、私達がドラゴンオーブのことで訪ねてくることを知っていた人がいるってことになるのかな」


 「ステラじゃないのか?」


 「おばあちゃんだったら、鳥なんて使わずに手紙を私達に持たせるはずよ」


 「それもそうだな・・・」


 アレンとサリヤは考え込んだが結論は出ない。

 アレンは話題をマーラーのことに戻した。


 「どうしてマーラーが塔に古文書を取りに行ったかわかんねえが、塔から帰って来なくなったということは、塔でなにかあったか・・・もしかして、古文書を持って逃げた?」


 「マーラー様はそのようなマネをする方ではありません!」


 ギルはアレンに食って掛かった。


 「わかった、わかった、悪かったよ」



 ギルは、この今の状況を疑問に思っていた。


 手紙がきたこと、その後マーラーが急に塔に行くと言ったこと。

 マーラーがいなくなった後すぐにドラゴンオーブを求める者が現れたこと。

 これらは全て繋がっている。


 そして、部屋の隅にある剣と杖、

 あれは間違いなく、オセアオン・ブロンシュとクレセント・カルマンだ。

 

 この世界にあるといわれる神々の闘神器、その中で現存するものは世界に4つしかない。

 それは、聖剣オセアオン・ブロンシュ、聖杖クレセント・カルマン、闘杖サージュ・グローク、戦斧アッシュ・ノワール。

 

 そのうちの2つがこの部屋の隅に置いてあり、3つ目のサージュ・グロークは、マーラー様から授かって僕が持っている。

 つまり、今世界に4つしかない神器の3つがここモダリントに集まっていることになる。

 これが偶然なんて有り得ない。

 目的を持った何かが起こした仕業としか思えない・・・


 もし、4つ全てが集まったとしたら、その4人に一体何をさせようというのか。

 それに聖剣オセアオン・ブロンシュは、持つ者を選ぶ神の剣、この人が神に選ばれたというのか・・・



 「おい、ギル、どうしたんだ、俺の顔に何かついてるのか?」


 「あ、いえ、ちょっと考え事を」


 「お前、マーラーが帰って来ないって言ったよな。それって死んだわけじゃないんじゃないの?」


 「マーラー様と僕はテレパシーのような見えない糸で繋がっていました」


 「蜘蛛みたいだな」


 「あんた、もうちょっとマシな例えないの?」


 「それがマーラー様が塔に行くといった3日後に、切れたというのが感覚で分かったんです」


 「だから死んだと?」


 「そんなこと今まで一度も無かったことですから。こんな事ありませんか、例えばとても大切な人がいて、その人が大きな事故とかに遭った瞬間、頭を貫かれるようなピクンとなる感覚」


 「わかるような気がするわね」


 アレンはベッドから立ち上がった。窓を開け、日の光を浴びた。

 そして、外の景色を見ながら言った。


 「要するに、そのインドラの塔とやらに行けばいいわけだよな」


 「話を纏めるのが好きね、アレン」


 「めんどくさいだろ。ごちゃごちゃ言っても始まらねえし」


 ギルはアレンを見て言った。


 「アレンっていう名前なんですね」


 「あ、言うの忘れてたぜ」


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