樹海東部で〜一人目の仲間。〜
「んむぅ…んう?」
やけに可愛い感じの声を上げながら、そいつは起きた。
「おう、起きたか?」「へ?…?!」
いきなり距離を取った。俺より少し早いかもしれぬ。
「お、お兄さん…誰?」「俺?俺は…ドレイクなんだぜ?」「…!?」
めっちゃ驚いてる。まあそらそうだろう、いきなり言われたら信じられないはず―
「うん。信じるよ」「アレ!?あっさり信じてくれた!?」
「だってお兄さん、すごく強かったから。だからドレイクって言われても納得出来るよ。」
うーむ、まさかこんなあっさり信じてもらえるとは…
「えっと…どうして僕を助けてくれたの?」「…俺もあんな奴らに両親を殺されたんだ。だからなのか…気づいたら自然と体が動いていた。そんな感じかな」「………お兄さんって、お人好し?」
俺はそう言われたことに驚きつつも、
「そうかもな。見ず知らずの奴を助けるぐらいには、な。」
そう、答えるのだった。
「―それで、お兄さんにお願いがあるんだけど…」
「なんだ?とりあえず聞かせてくれ」
俺がそう聞くと、蜘蛛は一拍おいて、こう言った。
「僕に、名前をつけてほしいんだ。」
「…へ?名前…無いのか?」
一匹だけ違う種だったので、つけられてると思ったが…
「一応、エビルスパイダー・ワイズロードっていう種族名だけど」「長え」
俺を超える長さだった。流石に名前がないとキツイので、考えることにした。
(蜘蛛で、エビルなんて言葉が入ってるし…そうだ、あれを捩ろう)
「よし決めた。お前の名前は…」「…うん」
1拍おいて、言った。
「ビオラだ。…どうだ?気に入ってくれればそのままそれでいこうと思うが…」
「ビオラ…うん!今日から僕の名前はビオラ!」
蜘蛛―ビオラがそう言うと―
<ー条件を満たしました。エビルスパイダー・ワイズロードのビオラが、テイムモンスターとなります。>
<新たにスキル「テイマーの心得」を入手しました。>
<スキル「慈愛の心」が発動しました。ビオラが進化し、キングデーモン・スパイダーとなりました。>
<ビオラが進化した事で、新たにスキル「悪魔の誘惑」「賢王」「堅忍不抜」「魔導王」「ソロモンの一柱」を獲得、又はスキルが進化しました。>
<条件の1つを満たしました。あと71です。>
「なんか色々言われたが…進化?なんでいきなり…って!?」
ビオラに目を向けると、そこには―
「んう…?あれ?どうしたんですか?」
可愛らしい少年がいた。
ーーーーーーー
「男の娘って、ああいう子の事を言うのだろうな…」
後々確認すると、左手首に蜘蛛の紋章、右手首に王冠の紋章が描かれていた。名前を変えてもそうなるのだと、遅ればせながらそう思った。
「しかし、すげー能力値だったな…」
本人に頼んで見させてもらったが、
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名前:ビオラ
種族名:キングデーモン・スパイダー
<能力値>
物理攻撃:A
物理防御:S+
特殊攻撃:SS
特殊防御:S+
機動力:S+
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うん、俺でも勝てん。悪魔強すぎるだろ…
と思っていたが、テイマーの心得の効果で、俺も賢王と堅忍不抜を獲得していた。
「お兄さん!獲ってきたよ!」「よし、じゃあ血抜きの方法を教えよう。」
強いし俺を慕ってくれるし、これはこれでよし。
ついに一人目、「バエル」をモチーフとした仲間、ビオラの加入です!
次は、一体どんな魔物が仲間になるのか…?