樹海東部で〜クソ人間と臆病な蜘蛛〜
ここに住み始めて、1週間が経過した。
俺は今、10メートルぐらいの大きさで樹海の空を飛んでいた。
「まじで広すぎるだろコレ…」
100メートル上空を飛んでいるが、見える範囲のほとんどに木が生えている。いやまあ、樹海の西側は岩場が半分ないぐらいだし、北西部は湖っぽいし、木しかねぇ!っていうほどではないが………
広い。あまりにも広い。この世界で一番の大国の4分の3はあるって聞いたけど…父さん。嘘だと思ってごめん。
「ま、他の地域はもっと後でいいな。…ん?」
ちょうどここから600メートル先に、人間を見つけた。俺の父さんと母さんを殺した奴ではないが…
「様子を見てみるか」
人の姿に戻りつつ、俺は少しずつ近づいた。そうそう、俺は人の姿でもこうして翼や尾を発現する事が出来るようになったのだ!って言ってもまぁそうなるだろ?って思う人多いだろうけどな。ただ、新たに「気配遮断」、「気配察知」、「龍眼」、「フィッシュキラー」を獲得した。最後のは魚狩ってたらゲットしてた。魚系の魔物、魚に対してのダメージが2倍とのこと。気配察知と気配遮断は分かるだろう、多分。龍眼はすごい。熱を見分けることでどういった生物か分かるのだ。さらに、これを使いつつ睨みつけると、なんと10秒ぐらい相手の動きを止められるのだ!
「まあ基本一撃必殺だから使わんが…っと」
そうこうしている内に人間の近くに来た。すると―
「ほんと害虫共が…この俺の手を煩わせるんじゃねぇーよ」
男の周りには蜘蛛たちの死骸が散らばっていた。
こいつらは凶悪そうな見た目してるが、食い散らかされた死骸をきれいに食べてくれる掃除屋だ。どんな魔物もこいつらにに手を出さない。なのにこいつは―
「ん?生き残りがいるじゃねぇかよ」
視線を辿ると、掃除屋とは違う奴が震えていた。
「まあいい。魔物は全部殺すだけだからナァ!…あ?」
俺は気づけば男の剣を叩き割っていた。
「…おい、お前は何故こいつらを殺した?」
俺は男に聞いた。
「こいつらはな、この樹海を綺麗にしてくれてるんだ。こいつらがお前に何をしたっていうんだよ!?」
「何言ってんだ?魔物は全部殺す!それがこの世界のルールって奴だろ?」
「………………」
―あぁ。こいつも、か。
「よーくわかった。」「おう、分かってくれ―ッがはぁ!?」
俺はこいつにアイアンクローを決めながら―
「テメエはここで殺す」
剛撃を使わず、純粋な腕力だけで首を180度に回転させた。もちろん死んだが、トドメと火葬の意を込め、ブレスで焼いた。
「さてと。…大丈夫か?」
蜘蛛はまだ震えていた。俺はそいつを抱え―
「もう大丈夫だ。安心して寝ていろ」
蜘蛛は安心したのか、静かに寝始めた。しかしこいつをどうするか…放るわけには行かないし、だとするならば、こいつを持って帰って飼うしかねえな。
「こいつ魚食うのかな…ま、肉もあるし、大丈夫だろ」
この時は軽く考えていたが―こいつが俺の1番信頼する「腹心の部下」ってやつになるとは…思わなかったなぁ。
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エビルスパイダー・ワイズロード
<能力値>
物理攻撃:C
物理防御:A
特殊攻撃:S
特殊防御:S
機動力:A
<取得スキル>
「糸の支配者」「毒魔導の王」「闇魔導の王」「魔導の心得」「三次元的機動」「蟲の殺戮者」「叡智」「鋼鉄の精神」「樹海の掃除屋」「腐蝕完全耐性」
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ついに仲間誕生か…?
どうなる白?