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風帝と雷帝の孫

 朝の食事は昨日の猪の残りのスープだった。

 全員で一緒に食事をしていると、3番がやってきた。


「ご主人様、今日も猪を狩りに行ってきたいんですけど」

「あぁ適当に何人か連れて頼むよ。あっ5番が元狩人らしいから一緒に行ってくるといい」


「わかりました」

「ついでに家畜になりそうな魔牛、魔豚、鬼鶏がいれば捕まえてきてくれ。捕まえて来た魔物は72番に柵を作るように言って、そこで面倒見させてくれ」


「わかりました。任せてください。必ずや私が期待に応えてみせます」

「結果はだしてもらいたいが、でも無理はさせるな。回復させはしたが、まだ本調子じゃない人もいるからな」

「もちろんです」


 狩りは3番と5番に任せておけばいいだろう

 あとは……72番に柵を作ってもらって、9番には家をこのまま作ってもらう。

 1番と2番は野菜などを作ってもらって……。

 そこに人数を割り振っていけばいいか。


 若い人から高齢者までいるので、できる範囲でやってもらえばいい。

 まずは自分たちの体調を整えながら、生活基盤を作ってもらうのが先決だ。


 いきなり、俺の奴隷商の腕輪が黄色く光り出した。

 これは奴隷の脱走を意味している。

 誰かが悪意を持ってここを離れているってことだ。

 見つけないと……首輪がしまり死んでしまう。

 

「ご主人様、狩りに連れて行くのに5番の狩人がいないんですけど、どこか知りませんか?」

 俺のところに3番が戻ってきて聞いてきた。

 とっさに腕輪を隠す。


「5番には…あれだ、あれ……」

「周辺の植物調査に行ってもらったのよ。沢山の人で行く必要もないから」


「そう。悪いな。依頼していたことを忘れてた。植物調査だ。だから別のメンバーで行ってくれ。俺は用があるから、みんな無理のない範囲で作業を進めててくれ」


 俺と0番はいったんその場を離れる。

「よくわかったな」

「私にも奴隷の腕輪があるからね」


「5番が逃げたっていう確信は?」

「さっきのペガサスの調査の時に彼女だけ姿が見えなかったのよ」


「えっ……全員の顔覚えているのか?」

「まだある程度よ。でも、最初の頃に連れて行った人たちは覚えているわ」


「ただの……ドジっ子じゃなかったんだな」

「私は……ご主人様が喜んでくれることをしているだけよ?」


「めっちゃ可愛い奴やな」

「へへっ」


「それでどこに行ったのかわかるのか?」

「彼女は優秀な狩人だからね。彼女が自分の村に帰りたいなら方角はわかるわ。ただ……私たち二人でいくと、ここで何かあった時に対応ができない」


「奴隷の中で信用できる奴……3番はダメか。彼女を使ったら全員にバレるな。とりあえず俺一人で追いかけてくるよ」

「街方面ならいいですが、あっちの森の中を一人でいかせるわけにはいきません」


「でも、ここで待っている間に彼女は死ぬぞ」

「ご主人様? 案内するよ?」

「ご主人様! 手伝うよ?」


「リリ、ララ、いつから聞いていたの?」 

「3番が5番を捜している時から。リリ、5番どっち行ったかわかるよ」

「ララもわかる。5番あっちだよー」


「ちょっと待て、二人はなんでそんなことわかるんだ?」

「リリはね、ビリビリさんが探したいもの教えてくれるの」

「ララはな、ヒューヒューさんが教えてくれるの」


 一瞬なにを言っているのか考える。

 いったいなんのことを言っているのだろう。

 その二人の言葉に反応したのは0番だった。

 

「ちょっと待って、二人は雷と風を扱えるってこと?」

「うん? ビリビリさんがねー知りたいこと教えてくれるよ」

「うん? ヒューヒューさんが教えてくれるの」


「風と雷……? それって雷帝と風帝の一族ってことか」

「数年前に雷帝の三男と風帝の次女が駆け落ちしたって噂が流れたけど……うん。考えたらダメ。もしこれがあの一族に知れ渡ったら、間違いなく私たち全員生きていけないわ。知らないのが一番よ。天使族の中でもあの二つの一族は関わってはいけないって言われているもの」


 俺は0番を顔を見合わせる。 

 なんか申し訳ないが5番どころの話ではなくなっている。


 雷帝の一族と風帝の一族は主に戦争を生業としている一族だ。

 多分……今のメンバーの中で一番強いのが3番だと思うが、あの3番でもどこまで戦えるのかわからない。イメージとしては彼女が集団でいるようなものだ。

 

 生物としての格が違うと言っても過言ではない。


「リリ、ララ……この力についてお父さんとお母さんからは何か言われてなかった?」

「うーん。信用できる人にしか言っちゃダメって」

「あれー? 誰にも言っちゃダメって言ってたっけ?」


 でしょうね。

 雷帝、風帝はもちろん強いが、そのぶん敵もかなり多い。

 もしあの一族たちの血縁だとわかった時点で争奪戦がおこり、この付近の街は壊滅する。

 いや、きっとあの家族とは関係ない。


 関係あったらこんなところに二人がいるはずがないのだ。


「二人を連れていくことできないだろ」

「いや……逆に連れて行った方がいいわ。ここで力を確認しておかないと、正直5番よりも問題が大きくなる気がする」


「じゃあ0番が二人を連れて……」

 俺の両手をリリとララがガシッと掴む。


「行ってくるねー」

「行ってくる―」


「二人ともご主人様をよろしくね」

 二人が元気に走り出すと、背中に追い風を受け、足が異様に軽くなる。

 これが二人の持っている能力ってことだろう。


 問答無用で進む二人に先行され、気を抜いた瞬間に引きずられる恐怖と戦いながら俺は5番を捕まえるために走る。


 5番め! 絶対に会ったら怒ってやるんだからな。 

リリ「ご主人様はやくー」

ララ「ご主人様いそいでー」

ゴル「いっそのこと殺してくれー」


森の中にはゴルの悲痛な叫び声が響きわたった

★★★★★

いよいよ明日発売! 本屋さんで購入お願いします↓

挿絵(By みてみん)

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