玉葱とヤモリ
窓際に干された玉葱
丸みに反射する光と
ガラスの壁を登るヤモリ
見えないことは
登りやすいことだと
教えてくれているようだった
ヤモリを狙う野良猫は
見えない窓をジッと見る
ヤモリの動きに合わせ
首と視線を動かす
人間はしない行動だ
五分経つと
諦めたように何処かへ行った
街灯が灯る頃
ヤモリは食事にありつき
口を忙しそうに動かす
とどまり続けたから
得られたご褒美のように
一つの愉悦感として
口を動かしている
朝方になると
ヤモリは何処かへ消えていた
その内
別のヤモリも来るだろう
生き物が欲しがる餌場だからだ
玉葱は変わらず
朝日を反射している
芯を隠すように