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僕とギャルの攻防戦

作者: 土井バグ

誤字報告ありがとうございますm(_ _)m

 高校1年のゴールデンウィーク開け。

 朝、登校し教室に入ると僕の席の周りに女子が集まっていた。

 メンバーは月島、篝火、水口、森山、金子の五人で、派手ではないが、ちょいギャル的な感じの面々である。

 2人は自身の席で、一人は二人の間の机に座っていた。問題は残りの二人だ。一人は僕の椅子で、もう一人が僕の机に座っている。

 楽しそうに話してる所に邪魔しに入る感じになるので行きたくないが、自分も席に座りたいし、朝のHRまで寝てたい。だから少し勇気が要るけど声をかけなければ座れない。

 仕方なく五人の所に行き声をかけると、僕の席に座っていた二人は直ぐに退いてくれ、僕は席に着くことができた。



 このやり取りが後にあんなことになるなんて誰も予想できなかっただろう。



 時は過ぎ九月のある週明けの月曜日。僕が登校してくるといつもの五人がいつものように僕の席に陣を張っていた。

 今日の僕の机の上に座るギャルは月島であり、本日の対決相手だ。月島は机にしっかり腰掛け、机の表面はお尻の後ろのわずかなスペースしかない。

「おはよう」

『岩井おはよー』

挨拶を交わすと僕の椅子に座っていた水口は立ち上がり席を返してくれる。ここからが勝負の時間である。ついでに岩井とは僕の名前だ。

 ギャルたちは僕が席に着いても普通に話続けるが、話ながら月島は自身の脚をポンポンと軽く叩いた。軽い挑発だ。月島の奴はもう準備万端らしい。

 その誘いに乗り僕は月島の脚に頭を載せ、俗に言う膝枕の態勢となり、今朝の勝負開始だ。

 月島は僕の背中に手を乗せると、ポンポンと優しくゆっくりとしたリズムをとり、僕の眠りを誘う。これは月島のよく使う戦法であり、彼女の戦闘スタイルだ。まるで幼子を落ち着かせるような優しく母性的な攻め。それによって生まれる同世代にあやされる大きな子供の僕という図が出来上がるのだ。

 これを初めてやられた時、僕は抵抗する事なく眠ってしまい、月島が母性的な優しい面があるという評価を周りに与えたと同時に、僕は月島にとって子供や弟みたいなあやす対象であり、赤子のようだとネタにされ笑われ、大きな恥をかいてしまい惨敗だった。

 そこで僕がこれに対抗するため考え着いたのが、月島の腰に手を回し顔をお腹に近づけると言う戦法だ。

 結果、月島は慌てて敗北を認め席を降りてくれた。

 のだが、今日はそうはいかないらしい。と言うか頭の位置初期位置に戻されてしまった。冷静な対処だ。そして何故か触られる耳。

「私のポーチ取って」

「はいよー」

どうやら今日は何か使うつもりらしい。

「動いたら危ないからじっとしててね」

何かされるらしい。とりあえずじっとしてると耳の穴をいじられてる感じがする。


 耳掻きだ。


 月島め!まさか耳掻きを持ってるだなんて思ってなかったぞ!

 耳掻きとあれば暴れると本当に危ないので素直に身を任せ、反対側も耳掃除された。

 耳掻きが終わると予礼のチャイムがなり今朝の戦いが終わった。

 今回はいつもの基準ではどちらもチャイムがなるまで負けを認めず席を立たなかった為引き分けだろうが、以前同様月島の母性的な行為と、僕の子供のようなされるがまま状態を考えると判定負けである。

 月島め…奴はやはり強い!



 火曜日。また戦いが始まる。

 今日の相手は篝火である。篝火は椅子に背を向けるように机に座っている。この座り方をされると普通にやりあっても僕は寝る態勢に入れない。

 だが、やり方なら分かっている。

 腕を前に回し軽く抱きつくような体勢をとり、背中に頭を預ける。背中を枕にすれば問題解決なのだ!

 この体勢をとった初回は即退いてくれたのだが、やはり人は馴れるものである。もうこれで篝火は動じたりしない…!

 どうするか考えてると、篝火の手が僕の手を握ってきたのだ。しかもただ握って来たのではなく、手の甲側から指と指の間に指を絡ませてくる恋人繋ぎのような握り方だ。

 力ずくで抜けようと思えば抜けれるが、変に力ずくで抜けようとすれば負け扱いになりかねない。ならばここから形勢逆転の手を考えなければ…

 僕は勝つべく右手をゆっくりと持ち上げ、篝火のわき腹でありギリギリ下乳に触らない程度の位置まで上げ、退かなければ触ると言うような脅しをかけてみる。が、それはあえなく失敗。そりゃ手を握られてる以上篝火は僕の手の位置をそれなりに自由に動かせるわ。

 しかし、篝火が動かした先が僕に激しい動揺を与える。

 何故なら胸の上なのだ。

 確かに触るぞ的な脅しをかけたが、僕は本気で触るつもりはあまりなかった為、表には出さないが内心パニック状態である。

 耳に入ってくる心音も自分のか篝火のかもわからない位動揺している。もしかしてこれは僕の敗北コースなのか?

 そう思ったが、金子の「ルール違反」と言う声と「イタッ」と言う篝火の声で僕の手は最初の位置に戻った。なんとか助かったがこれで振り出しに戻り、勝つ方法を考えなければならないが、考えてる内に時間はあっという間に過ぎてしまい、予礼がなってしまい今回の戦いは引き分けに終わった。

 篝火の胸の感触が手にまだ残ってるが、授業に意識を切り替えなければ…



 水曜日。今日の戦いの相手は水口である。

 水口は机に浅く座っており、机には十分眠れるスペースがある。

 だがそれはフェイクである。

 素直に机に伏せ眠る態勢を取ると、水口は少しだけ深く座り直し、腕に水口のお尻が当たる。それが水口との戦闘開始の合図である。

 腕をくみ直すついでに水口の腰に手を回すと、さらに深く座り直し今度は後頭部に当たる。ここまではいつものやり取りと言っていいほど繰り返した。勝負はここからだ。意を決し、僕は顔の向きを尻の方へと向けた。当然この行動に水口はピクリと反応を示した。驚いただろう。僕だって驚いたからね。

 まさか鼻の位置がジャスト尻の割れ目だからね。本当にビックリだよ。

 僕の腕を握っていた水口の手に力が入り、動揺しているのが分かる。これならもしかすると勝てるかもしれない。勝利が見えて来たその時、事件が起きた。

 プス~~…

 小さくガスが漏れる音。まさかの攻撃に僕は無言で体を起こすと、水口は両手で顔を抑え、小さな声で「ごめんなさい」と言ったあと、「トイレ行ってくる」と席を立った。残りのギャル達も音が聞こえてたらしく気まずそうな空気だった。

 先に体を起こした僕の負けかと思ったが、水口の撤退によって今日は僕の勝ちのようだ。

 その後、「嫌わないで」と半泣き状態の水口を休み時間の度に膝に座らせる事になった。



 木曜日。今日の相手は森山なのだが…

 もう不戦敗でいいので机から降りて欲しい。何せ篝火の背中向きとは逆に体を僕の方へ向け座っており、脚と脚の間に僕が座ってる状態なのだ。森山は軽く脚を開いており、ここで寝るため伏せたら顔が森山の股に埋まってしまう。以前この挑発に乗ったら、まさかのスカートをめくり頭を中に入れられ一発で僕は撤収するはめになってしまったし、胸を枕にするぞと脅すつもりで胸に顔を近づけたらホールドされ本当に胸を枕にしてしまい、これまた即撤収するはめになった。

 そう、この森山には恥が無いようなのだ。

 だから勝ち目がなく勝負にならない。

 なので、僕が最も恥をかかないで済む態勢に持ち込み引き分けを狙うしかない。

 そこで編み出した僕の技…それはタックルスタイルである。

 頭はわき腹、肩をお腹の位置にセットし、腕でガッチリと腰をホールドする、まるでラグビー日本代表のタックルのようなフォームである。

 こうすれば森山も何も出来ないはずである。

 そしてこの態勢のまま時間は過ぎ、なんとか引き分けに持ち込む事ができた。

 いつか森山に勝つ方法をちゃんと編み出さないといけないな…



 そして迎えた今週最後である金曜日。金子との戦いである。

 こいつの戦い方は他の四人と違って僕を机に寝かせないと言う戦法であり、その方法が、椅子に座った僕を椅子にして座ると言う小柄な金子ならではの戦法だ。

 だが僕が寝るのを諦めたりしない。小柄ならではの戦法であると同時に、小柄ならではの対処法がある。それは…

 抱き枕戦法である。

 小柄の金子の肩の位置は丁度いい具合に頭をのせやすく抱きついて寝るには丁度いいのだ。なんとなくいい匂いもするし。ぶっちゃけ勝負関係なく普通にリラックスして寝れそうなのだが、少しだけ問題が起きる。

 それは金子が身動ぎするときだ。

 もちろんただ身動ぎされただけでは問題なんて無い。問題が起きるのはお尻のベストポジションを探すように何度も動かれる時だ。

 何故かと言うと詳しく言わなくても男なら何が起きるか分かるだろう。下の愚息が目を覚ますのだ。仕方ないだろう。膝の上で女子のヒップアタックをくらい続ければ嫌でも起きてしまう。

 半覚醒になる前に止まってくれるならいいのだが…

 最近ヒップアタック激し目じゃないですかね金子さん。

 今日も大分激しくて早い段階で半覚醒状態ですよ。金子も尻に当たるナニかに気が付きヒップアタックを止めた。ナニかから伝わる柔らかな尻の感覚に僕の負けでいいので体を起こそうとするが、腕を捕まれ体を離す事が出来ない。しかも椅子に座ってるため背もたれがある都合上体を起こしてもほとんど離れられない。

 金子が動かないと何も出来ない。これは良くない。良くないと言うのに金子はヒップアタックを再開し始めた。無心になれと気持ちを落ち着かせようと努力するが「ぁ…」と言うと声に頭が真っ白になった。

 その後、僕と金子の異変に気づいた四人が金子を強制的に立たせ今回の戦いは終わった…

 暴発はしなかったものの、四人にテント張ってるのはバレたと思う。死にたいほどの恥をかいた僕の惨敗である。


 今週の結果は勝ち1、引き分け2、負け2といった情けない成績だ。来週は全勝…いや、負けだけは無いように出来る限りの対策を考えていかなくては…







「これより、今週の断罪者を決めます」

金曜日の放課後。月島家の一室で五人のギャルが集まっていた。

メンバーは月島ハジメ、篝火雛子、水口いろは、森山夜空、金子鈴である。

「まず、断罪候補者をそれぞれ上げて下さい」

ハジメの進行に沿ってそれぞれ一人ずつ名前を上げていく。

 上がったのは鈴三票、雛子一票、ハジメ一票だった。

「今週は鈴が罰ゲームを受ける事が決定しました」

「異議あり!」

「却下です」「却下」「異議なし」

罰決定されたと同時に鈴が手を上げるも、ハジメ、雛子、夜空の三人にすぐさま却下された。

「なんでよ!」

「なんでも何もないでしょ!話ながらモゾモゾしてたのが、いきなり無言になったかと思ったら『あっ…』なんて変な声だして!ヤバイと思って引き離したら、岩井くんの大きくなってたじゃない!協定違反で即厳罰が必要!」

「そうだそうだ!チンコへの直接攻撃は既成事実作ろうとしてるのと同じだ!」

「チンチンは付き合い始めた人がしてから触るって約束だからわたしも触らないようにしてるのに!」

「不可抗力だし!あれは岩井のが大きくなったから当たっちゃって声出ちゃっただけだし!あたし一切悪くないし!」

「鈴がお尻でグリグリしたからでしょうが!いろはも黙ってないで文句の一つでも言ってやんなよ」

鈴との言い合いが激しくなっていく中、いろはが話し合いに参加してないのに気付きハジメは話をふるが…いろはは暗い重い空気を纏ってっふと鼻で笑った。

「私はね…岩井と毎回なんやかんやイチャイチャするハジメちゃんが一番ズルいと思うんすよ…」

「い、いろは…?」

「しかも今回はなんすか?耳掻きって。膝枕からの耳掻きなんて普通の恋人同士でも早々やらないでしょ?それこそ夫婦とか同棲カップルぐらいじゃないっすか?そんで本人落とすより周りから夫婦認定された方が岩井は落としやすくなりそうすよね」

いろはのボソボソとだがはっきり聞き取れる呟きに四人は反応に戸惑う中いろはは呟き続ける。

「それに比べ私はなんすか?意中の相手の顔面にまさかの放屁かまして、好感度駄々下がりだろうし…私はこのレースでの勝ち目ゼロになったも同然すよ…今さら方針変えてやってもハジメちゃんの真似でしかならないだろうし、それじゃハジメちゃんの周りからの評価を覆そうにないし…」

「なんか…ごめん…」

「いいっすよ…」

気まずい空気漂う中、とりあえず処刑者されるのは鈴に決まり、罰ゲーム執行に移る。

「ちくしょう……!あたしのとっておきの岩井画像をよくも…!」

「まったく…こんなのいつ撮ったのよ」

「けしからん!非常にけしからん!」

「しばらくいい夢見れそうね」

「あー…これは独占していたいっすね」

罰ゲームの内容はまず、スマホ内に保存してある秘蔵の岩井画像を一枚他メンバーに渡した後、その一枚を自分のスマホ内から削除するというものだ。

「ちくしょー!かかってこいやー!」

「いーち!」ベチンッ「イッ!」

「にー!」ベチンッ「ヒィ!」

「さんっ!」バチンッッ「イッターー」

「し~」ペチン「ヒャゥ」

二つ目はシンプルにお尻ペンペン。一人一撃ずつで計四発ではあるが痛いものは痛い。ちなみに一番威力があるのが夜空で、弱いのが雛子である。

 そして最後の罰ゲームは次週一度も岩井の椅子に座れないと言うもので、それの何処が罰ゲームなのか分からないかもしれないが、彼女らにとっては死活問題といってもいい事らしい。

 こうして彼女ら五人の女子会は普通のお泊まり会になり、全員寝間着姿の写真を撮り岩井へ「女子会中」というメッセージと写真を送りつけ、誰かが寝落ちするまでガールズトークは続くのであった。




 ギャル達から届いたメッセージに対し、僕は「ゲーム中」とプレイ画面を撮影しとりあえず返信した。

 義姉とその友達二人と義妹と一緒に何故か余計な脱衣ルール追加の対戦TVゲームに強制参加させられ中であったが、ゲームのプレイ画面だけを撮る事ができた。

 しかし大変である。学校だけではなく家でもギャルに絡まれる毎日…僕の安息の日々はいつ訪れるんだろうか…

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