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87話「開戦、最後の戦い」

「……上を見上げてごらんよ、イリーネ」

「空、ですか」


 満天の星空の下。俺は、少女に促されて夜空を眺めていた。


「素晴らしい、実に素晴らしい。雲ひとつ無い満点の夜空じゃないか。首都の空が、こんなにも綺麗だとは思わなかった」

「……そうですわね」

「太古の時代、星の並びから精霊使いは未来を予知したと言う。星と星とを線で繋げ星座を作り、その星座の位置や見え方から明日の天気を言い当てた」


 久しぶりに会ったユウリは、得意げな顔でうんちくを語ってくれた。


 学者は人に解説をするのが大好きな生き物、だったっけか。


「つまり夜空の下というのは、占い師にとっての聖域なのさ」

「成程」

「じゃ、話してごらん。君がボクと別れてから何があって、どんな経験をしたか」

「……ええ」


 ユウリの吸い込まれるような瞳に促され、気付けば俺は。


「貴女と別れた後なのですが────」


 自分より年下の少女に、吐き出すかのように今までの話をぶちまけたのだった。



















「────驚いた、あの勇者ユリィか。二次魔族戦役の英雄の」

「流石に、ご存じでしたので」

「夜空に映った彼女は『魔王ユリィ』と名乗ったのでもしやとは思ったが。……ご本人とは」


 ユウリは、勇者としてのユリィをよく知っている様子だった。流石、学術都市の天才少女。


 いや、俺がよく知らなかっただけで、彼女はかなり高名な人間なのかもしれない。


「そんなに凄い方ですの?」

「彼女自身に主だった戦果はない。彼女が支援術師という役職であるがゆえに、目立つ活躍は伝承されなかった」

「ふむ。では、それほど有名な勇者ではないのですね」

「バカを言いたまえ、超有名人さ」


 ユウリは少し文句を言いたげな顔で、俺に食って掛かった。


「彼女が活躍した2次魔族戦役は、戦争としての規模が他の戦役と比べて大きいのだよ。国中のありとあらゆる場所に魔族が現れ、ひっきりなしに大暴れしていた」

「……それは、考えたくない惨状ですわね」

「人類史上最大の戦争と言われている。戦死者数も、被害区域も、規模も、他の時代とは比べ物にならない」


 そしてユウリは、分かりやすく彼女────イリューが勇者ユリィとして活躍していた頃の解説をしてくれた。


 その時代は、人類と魔族の争いが最も苛烈な時期であり、人類は今よりはるかに強力無比な戦闘技法を身に着けていたという。


 魔法一つとっても、現代では人類最強の攻撃手段と呼ばれる『精霊砲』クラスの魔術もその辺の野良魔導士がガンガン使っていたそうだ。


「この時代の戦闘は、剣技も魔法も派手で見栄えが良い。なので、劇場で演目されるのは第二次戦役である事が多い。無論、二次戦役勇者の一人であるユリィの名も良く周知されているのさ」

「劇……、ですか。ユウリさんもそういったものを見るのですね」

「父が父でね、たまに劇場に連れていかれたものだ。大概は父の公演のついでではあったが」


 そうか、ユリィではなくて第二次戦役そのものが有名なのか。


 どうやらヨウィンではその二次戦役の戦記本がヒットしていた関係で、ユリィがどのような勇者でどんな戦い方をしたかも細かく伝わっているという。


 前世での、三国志時代の武将だけ妙に知名度が高いようなもんだな。


「確かに勇者ユリィに、攻撃力はなかっただろう。死霊系の相手には無二の強さを発揮したそうだが、基本彼女は後方支援専門だ」

「はぁ」

「だが、彼女を戦果が乏しい無名勇者だなんて馬鹿にしちゃいけない、人類史上最も激しい戦争で『勇者』を名乗っていたのだよ、ユリィは」

「……」

「おまけに、今代の勇者の能力も吸収し弱点が無くなってしまった。勘違いするなイリーネ、君は彼女を倒していいか迷っていられる状況じゃない」


 ユウリは真剣な表情で俺を叱咤した。


「人類は今、死に物狂いで万に一つのチャンスをモノにして、僅かに勝てる可能性があるかどうかな状況なんだ。勝ってしまっていいか、なんて悩みをする贅沢がどこにある」


 ……甘く考えていた。彼女の言う通り、ユリィがそんな凄まじい魔術師であるなら『倒していいか』なんて迷っている余裕はない。


 俺は勝つために迷いを捨てて、全てをかけて戦わないと勝てないのだ。


「シンプルに考えるといいさ。君の守りたいものは何だい」

「……守りたいもの」

「イリーネが今思い浮かべたモノを、失いたくないなら。死に物狂いで気張りたまえ、それだけだよ」


 そのユウリの言葉に、俺は目を閉じて大事なものを思い浮かべ始める。


 にこり、と悪戯な笑みを浮かべる妹。くたびれた顔で、紅茶に付き合ってくれる父。それを見守る、サラを始めとした実家のメイド達。


 旅で出来た無二の親友、サクラ。気の置けない友人カール。共に賊と戦ったレヴ、マイカ。


 拳法の師匠レイ、いつも旨い飯を用意してくれるマスター。


 レッサルで助けてもらったサヨリ。ヨウィンで奇跡を運んできた中年、ユウマ。


 おしゃまな王族、リタ。その父にして王の弟ガリウス様。



 ────そして最後に、目の前に座っている眠たげな少女ユウリ。



 ああ、俺には失いたくないものがこんなに沢山あるじゃないか。



「……ありがとうございます。少し、悩みは吹っ切れましたわ」

「そうかい、それは上々」


 迷っている場合ではなかった。


 ユリィは、全てを懸けて俺達人類に勝負を挑んできた。


 彼女が勝てば、今俺が思い浮かべた人達はみんな死んでしまう。


 ────負けられない。負けたくない。


 彼女がカールの説得に応じない時は……、この俺が全てを以てイリューを討つ。


「それで。こっちからもお伺いしたいのですが、今回の決戦の結末はどう予知されてますか」

「む」


 覚悟の決まった俺はさっそく、ユウリに予知を聞いておくことにした。


 どうせ明日聞くことになるのだろうが、早めに知っておきたい。


「今の時点での占いは当てにならないよ。ボクの魔法は1日先を見通すのが限度だからね、3日も先の話は当たるも八卦当たらぬも八卦さ」

「それでも、やっていただけません?」

「まぁ、良いけど。どうせ今日はもう寝るし、魔力を温存する意味もないだろう」


 そういうと、ユウリはゴニョニョ呪文を唱え始めた。 


 ……俺も習おうかな、これ。本来、精霊術師である俺が一番出来なきゃダメな奴だよね予知魔法。


「……うーむ、これはまた」

「何が見えますの? あ、その、良ければその呪文教えてくれません?」

「お、成程。精霊に好かれているイリーネの方が、予知魔法の適性は高いはずだね。君も唱えてみたまえ」


 ユウリは悩むそぶりもなく俺に予知魔法を教えてくれた。


 流石学者、太っ腹。普通、魔法を習おうとしたら結構な代金とられるのに。


「えっと。爆ぜろ世界、駆けろ時空、輝けサンシャインエレガント……?」

「そうそう」


 呪文の意味はよく分からんが、格好いい気がする。


 俺はそのまま、ユウリのいう通りに魔法を詠唱していくと────






 ────おもむろに。


 俺の目の前の景色が、暗転した────


















『びえええええええええええー!!!!』

『お、おーい、イリュー?』






 見ればカールの前に、全裸で号泣しているイリューがしゃがみ込んでいた。


 ……。


『裸? ああ、服は再生出来ないのか、魔王』

『皆ぁ!! 私の可愛い子供たちが焼け焦げて!! 魔族が全滅しちゃいました!!』

『首を垂れて降伏せよ。さもなくば、貴様を永劫の地獄に閉じ込めてやる』

『あ、ああああ!! あんまりです、あんまりです、こんな。私を理解してくれた、唯一の家族が……。う、うわあああああああ!!!』


 イリューの周囲は煤だらけで焼け焦げており、炭化した魔族の死体が大量に転がっている。


 どうやら、アルデバランの最大魔法がイリュー達に直撃したらしい。それで周囲の魔族は全滅、死ねないイリューだけが焼け残ったというところだろうか。


『お、お、おおおぉ、殺してください。もういっそ、殺して、殺してぇ』

『うぅ。罪悪感で胸が張り裂けそうに痛いのですが……』

『な、何とかならないかな、アル』

『阿呆、喧嘩を売ってきたのはその女よ。自業自得である』


 カールの背後から、俺やアルデバランなど今回の勇者パーティが続々と集ってきた。


 全員が、『殺してください』と慟哭している魔王様に同情の視線を向けている。


『……この女を再び封印する。術式を組むから、しばし魔王を抑えておれ』

『え、説得は? 今こそ、彼女の説得を』

『私とて、出来るのであればしたいさ』


 問答無用にイリューを封印しようとするアルデバランに、俺が食って掛かった。


 映像で他人視点で見る自分というのは、違和感しかないな。


『見よ』

『うっ、うっ。怨んでやる、人類。我が子の仇、私の夫の仇、家族の仇っ────』

『……説得は、無為である』


 アルデバランは、そう言って。


 悲しげな瞳のまま、怨嗟の眼差しを向けるユリィにゆっくりと杖を向けた。


『おのれ人類ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!』







 ────そして、世界が暗転する。













「────っ!!!」

「戻って来たかい」


 ……。ふぅ。


「どんな未来が見えた」

「人類が、勝ちましたわ。そして、ユリィが封印を」

「ふむ、ボクと見た景色は同じの様だ」


 今のが、3日後の世界。


 そうか、人類が勝つのか。それは、良かったが。



 ────やっぱり無茶苦茶辛いぞ、あの状況!!


 マジ泣きだったよ、本気で人類恨んでたよあの娘。そりゃそーだ、家族を皆殺しにされたんだもんな。


 ……。あの結末で、本当に良いのか?



「イリーネ。3日前の時点での予知魔法の的中率は、1割以下なんだ」

「1割?」

「そう。だから今日見た未来は全く当てにならないと思っておきたまえ」


 ……そうか、ユウリも言ってたもんな。未来になればなるほど精度が下がるって。


 今のは確定した未来ではなく、可能性のある未来の一つと言ったところなのだろうか。


「だがしかし、人類に勝利の目はあると分かった。今日はそれを喜んでおこう」

「……喜べませんわよ、あんな」

「なら立場を入れ換えて考えてみるといい。君は一人生き残って、大事な人の死体に囲まれながら慟哭しているとしたら気分はどうさ? それよりはマシだろう」


 ユウリは、ふぅと一息ついて俺に背を向け立ち上がった。


 まぁ、それはその通りだが。


「もっと正確で、ある程度当てになる予知が出てから悩めばいい。現状でいろいろと考えても取り越し苦労さ」

「……そう、ですわね」


 ユウリはそう言って、少し考えこむ素振りを見せつつ俺に向かって小さく会釈した。


「そろそろ夜も深い。また明日、イリーネ」 

「ええ、おやすみ」


 つまり考えすぎるな、という事か。ユウリ自身、さっきの光景を見て少し悩みが生じているのかもしれないな。


 まぁ、確かにまだ不確定の要素が多すぎる。今日はゆっくりと休もう。





















 翌朝。


「ユウリか。久しいな」

「うん、君も相変わらず壮健で」


 ユウリはガリウス様から紹介を受け、屈指の予知魔術師として会議に参加する手筈となった。


 そんな訳で、会議前の朝食の場で俺達とユウリは顔合わせとなった。


「へぇ、アルデバラン。君、恋人でもできたかい?」

「は? 急に何を言い出す」

「ふふふ、こう見えて人を占い見透かすのが得意でね。君から恋の匂いがするんだ。でもまだ恋人……ではないみたいだね、好きな男でもできたってところか?」

「おいユウリ、妙な事を言うな」


 幼女は勇者相手に怖気づくことなく爆弾発言をかましていく。いい性格をしているぜ。


 にしてもアルデバラン、好きな相手が居るのか。


「えっ。アル、その、好きな人って!?」

「へぇ、それは私も興味ありますね」

「リーダーに春の予感!!」

「やかましい貴様ら、事実無根だ引っ込め」


 食いついた仲間たちを杖で撃退する紅の勇者。


 ……その顔には、微かな欺瞞と火照りが浮かんでいる。



「あら、本当に好きな人がいるのですわね。彼女、嘘をついていますわ」

「へー、イリーネが断言したなら確定ね」

「くっくっく。姉様の前で嘘はつけないんですよリーダー」

「あーもーこいつら!!」


 楽しい会話には、楽しく乗っておく。


 勇者とはいえ年頃の少女、恋に落ちても不思議はない。


「因みに、少し魔力を使えばお相手も当てて見せられるよ。えーっと、呪文は」

「やめろユウリ、私から近々告げる。妙にかき回すな」

「おっと、それは失礼。すまないねアルデバラン、君が恋するなんて意外過ぎてからかってしまった」

「迷惑な話だ。私が人を好いて何が悪い」


 まぁ、何も悪いことはないな。


「大丈夫ですわよアルデバランさん、勇者だって恋をするものです。ウチのカールも……ねぇ」

「あー、あれは酷かったわね」

「……割と、心の傷」

「その件は御免なさいって!」


 つい最近、自身の恋でパーティの輪を大いに乱した勇者だっているしな。


「え、何ですかそれ詳しく聞かしてください。姉様も関わってる感じですか」

「コイツ、公衆の面前でイリーネに告白してフラれてんの」

「何それ超面白い話じゃないですか、紅茶の肴になるので詳しく聞かせてください」

「イリア、人の失敗談を笑うものではありませんわ」

「あ、そうなのね。俺の告白、イリーネの中では失敗談扱いなのね」


 失敗談以外の何物でもないわ。告白相手すら間違えてるくせに。


「恋したものは仕方ないが、今の大事に色恋に囚われるわけにはいかない」

「ま、そうですわね」

「今日もこれから会議に訓練である。まぁつまり、今は私は動くつもりはないのだ。パーティの和を乱してもいかんしな」

「うっ……」


 ジトっと、カールを見て皮肉を言った後。


 アルデバランは、とんでもない発言を落とした。



「この戦いが終わったら、私は告白するのだ」

















 とまぁ、俺の前世ではこれ以上ない死亡フラグを立ててしまいやがったアルデバランだったが。


 周囲からはロマンチックだの素敵だの色々言われて、機嫌よく会議場へと向かっていった。



 まぁ、こちらの世界では特に死亡フラグでも何でもないセリフだ。


 あまり気にし過ぎないようにしよう。




 因みに、その日の会議もあんまり実りある結論は出なかった。


 とりあえず土魔術師を動員して堀を作ったり、首都の店から弓矢などの武具を徴収したり、破格の報酬で冒険者を集ったり。


 色々やれることはやったものの、魔王に対する決定的な一手は思いつかぬままだった。


「では、ユウリどの。本日の時点の、予知を」

「承りました」


 会議の最後に、ユウリは色々と今日動いた結果どう未来が変わったのかを知るために予知魔法を使った。


 その結果、





『びえええええええええええー!!!!』





 それは俺が見た景色と変わらない様子だった。


 ……やっぱり、人類が勝つ可能性の方が高いのかもしれない。













 そのまま、何も変わること無く決戦の前夜。


 俺は、結局悩み続けていた。



 あの後、俺は魔力にものを言わせて予知魔法を何度も使った。


 その全てで、イリューは号泣して封印されていた。



『24時間以内の未来であれば、予知の的中率は非常に高い。ほぼ100%当たる未来です』

『では、人類の勝利は確定だな!』


 ユウリは最後の会議の日も人類の勝利を予知し、貴族達は歓声を上げた。


 カールは苦虫を噛み潰したような顔だったが、大体の人間は喜色満面だった。


 まだ戦う前だと言うのに、祝杯を上げようとする者までいた。


『ですが、予知魔法も外れることはあります』

『100%ではないのか?』

『ほぼ100%です。現に』


 しかし、その気の抜けた貴族達をユウリは諌めた。


『ヨウィンでボクは、人類の敗北を予知しました。……その予知は、勇者の活躍によって覆された』

『む』

『精霊や勇者など超常の……大きすぎる力が絡む時。予知魔法は正確さを失っている可能性がある』


 自分の学説は絶対に正しいと、断言する筈の学者であるユウリ。


 しかし彼女は自らが間違っている可能性を明言し、そして牽制した。


『今まで、ボクの予知はほぼ100%の的中率を誇っております。しかし、今回の結果を決して盲信されませぬよう』


 ……ユウリの予知魔法が間違っている可能性がある。


 その言葉を、ほとんどの貴族は『気を抜くなという少女なりの発破』だと理解した。



 しかし、占ったユウリ本人だけは────




 ────おそらく、この予知は当てにならない。



 そう、確信していた。










 その日の会議は早く終わり、国軍や勇者は夜明けに備えた。


 3日後の夜明け。それが、魔王の指定した『攻撃時間』。


「襲撃の日時まで明言する辺り、よほどの間抜けなのか」

「それとも、余裕か」


 敵が全戦力を以て攻撃してくることは、予知魔法で確定している。


 これは奇策や陽動ではない、正真正銘の宣戦布告なのだ。


「どうするつもりだ、カール」

「どうもこうもない、俺はやるべきことをやるだけだ。ただアルデバラン、絶対に俺にイリューと話をさせろ」

「……」

「予知でお前は、問答無用にイリューを封印しやがったと聞く。それを本当にやったら、お前も切り捨てる」

「まったく、厄介な性分よな貴様」


 まだ暗い空を見上げ、勇者と元勇者は平原に立つ。


 そんな彼らを囲むように、俺達仲間が武器を構え。


 首都に急遽集った国軍が、いよいよ強力な布陣を以て平野に配備される。




「まもなく、夜明けです」

「……来るか」




 まばゆい白光が、草原を赤く染める。


 兵士の報告と同時に、夜闇が割け赤焼けに彩られる。


「決戦の時は来た」


 その陣頭で、ガリウス様は宣言した。


「今日この場に立つ貴様らは、一人残らず勇者である。魔族の暴威を防ぎ、退けることが出来れば我々は平和を守れる」

「おおっ!!」

「命を惜しむな、ここが人類の最終防衛線ぞ。既に予知にて我らの勝利は確定しておる、臆することはない!!」


 今回の『総司令官』として指揮を振るう事になったガリウス様。


 自らの総大将の鼓舞に士気は高揚し、兵士たちにやる気が充実している。




「我らの戦いは、後世に長く語り継がれる英雄譚となろう! 者ども、心して戦えぇ!!!」




 平原に光が満ちる頃。


 兵士たちの咆哮が、国全体に木霊したという。












 ────その、3時間後。





『人類どもよ、待たせましたね!!!』


 ついに、魔王は平原に姿を見せた。


 空にはすでに日が昇っており、兵士たちは小腹がすいてきたのでモグモグ食事をとり始めていた。


「あ、やっと来たぞ魔族ども」

『まぁ、何というかごめんなさい人類!!』


 魔王の周囲には、かつて見たえげつない数の魔族が群れを成して立っており。


 正真正銘、出し惜しみなしの全戦力でイリューが此処へ駆けつけてきたことを伺わせた。






『────めっちゃ寝坊しました!!!』





 その言葉を皮切りに、魔族と人類の決戦の幕は切って落とされた。

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― 新着の感想 ―
そんな言葉で決戦始まることあります!?
[良い点] こんなに人間らしい、ちょっと抜けた女の子を全力でボコって家族殲滅して封印するのが、人類の望みってまじ?
[一言] 最終決戦前っていうのに締まらないですね…
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