大雪警報が出たので学校はお休みです
どうやら大雪警報が出たらしい。
そう聞いた途端、ぼくは家の外に飛び出していた。
「ちょっと、どこ行くの!?」
「学校!」
「学校は今日休みでしょ!」
だから行くんだ。
母さんの声を振り切り真っ白な景色を駆ける。
持ち物は上着と手袋とマフラー、あと長靴。
いつもランドセルを背負って歩く道も今日は跳ねるように軽い。
「わっとっと」
赤信号で足を止める。
ぶぉおおんとトラックが雪をかき分け走っていく。
溶けた雪がタイヤから跳ね、ほっぺにくっついた。
冷たい!
思わずほっぺが持ち上がる。
めったに雪なんて降らないんだから、楽しくって仕方がない。
信号が青になったらすぐに走り出す。
「おはようございまーす!」
「おはよう、坊や。そこ凍ってるから走ると危ないよ」
「はーい!」
雪かきしてるおじさんに元気に挨拶。
言われた通り、目の前の道路はツルツルしていた。
そろぉりそろぉり、忍び足。
凍った道を抜けたら再びダッシュ!
「はぁ……はぁ……」
息が上がる。
白い息が絶え間なく口から漏れる。
でももうすぐ、もうすぐだ!
だって約束したんだから。
雪で学校が休みになったら、校庭に集合だって!
昨日大雪警報の話を先生から聞いたときから、ずっとずっと考えてたんだ!
そうしてぼくは校舎にたどり着く。
広々とした校庭の中、五人の見知った人影が見えた。
「はぁ、はぁ……ごめん、待った!?」
額に滲んだ汗を拭いながら問いかける。
みんなは待ってましたとばかりにニヤリと笑った。
「おせーよ!」
「早くやろうぜ!」
誰もいない校舎、一面の白い雪。
さぁ、雪合戦大会の始まりだ!