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問二 ここはどこですか?


「うぅ………………いぎっ!?し、尻が………」


柔らかい風に頬を撫でられて俺はゆっくりと目を覚ます__________なんて理想的な起き方ができると思っていた時期が俺にもありました。

恐らくそこそこの高さから放り出されたのだろう、尻が尋常じゃないほど痛い。

痛さに呻きながらも顔を上げる。


「おぉ…………!」


今度こそ優しい顔が俺の頬をふわりと撫でた。

突き抜けるような水色の空。本日のワグラデリアは晴天の空に覆われていた。

そして空に爛々と輝く2つの太陽を視界の端に捉える。


「なんか違和感しかないな、この状況。全て急に決まったような気がするけど気のせいかな」


ぶつぶつ文句を垂れながらゆっくりと立ち上がる。

うじうじしていても始まらない、気持ちを切り替えて状況確認でもしてみることにした。

まず最初に1つ不安な要素がある。それは地面が砂であることだ。

最悪なパターンは現在地が砂漠であること。方位磁石なんて持ってきているわけもないし、食べ物も当然ない。オアシスや街が見つからないとバッドエンドまっしぐらだ。


一旦悪い予想は頭の隅に追いやって、希望的な観測をしてみることにする。

1つ、実はここは砂浜。少し歩けば街や海が見える。

これはないと思う。というのも、俺が立っている場所から少し離れた場所に馬鹿でかい砂の山が見えるからだ。砂浜にあんなものがあるわけないので砂浜説は無し。

2つ、実は巨人族の世界で、ここは砂場。

いや、これが1番最悪だろ。外に出ても生きてけない。無理無理。というかもしこの予想あたってたら取り敢えずあの神様(クソジジイ)殴りにいく。

3つ、実はここは砂丘である。

これが希望的な可能性としては1番可能性が高い。

砂丘とは風によって運ばれてきた砂によって出来た「地形」。対して砂漠は雨が少なく気温が高い砂や岩石の多い「土地」。似ているようで実は全く違うのだ。

砂丘であれば近くにある海岸や河川が見える可能性が高い。そして海岸や河川が見えればそれを辿って歩いていけば高確率で街に着けるという作戦だ。



◇◆◇◆◇◆



と、いうことで砂の山登りなう。

遠目で見ても大したことはないとは思ってたけど、やっぱりそんな大したことはなく30分とかからず山頂まで辿り着くことができた。


「ん~~~~……………海!!!」


やはり俺の予想は当たっていた。

一面のエメラルドグリーン!

まるで南国のような透明度の高い水!

鼻腔をくすぐるほのかな潮の香り!

うーん、これが日本だったら間違いなく大人気観光スポットだろう。鳥取砂丘と沖縄が合体したみたいな感じかな?山を登って汗をかいた後はすぐ海水浴。ここを買い取って商売したら凄く儲かりそうだ。


そんな妄想はさておき。周りをぐるっと見渡してみても街や村らしきものは見当たらなかった。

砂丘はそこまで大きくなく、全ての面が海と密接していた。

そう、全ての面(・・・・)が密接していたのだ。

つまり。


「………………島?」


よく考えたらそんなものじゃない。

緑もなく、人もおらず…………というか、何も無い。

俺がワグラデリアで最初に足をつけた場所とは。

砂以外の自然が存在しないまさに「死の島」だった。



「………………………嘘ん」


俺は、呆然と海を見つめることしか出来なかった。


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