始まり
ビー ビー ビー
警告音が辺り一面に鳴り響く
そこを警護している武装した兵士たちが何やら慌ただしい様子で騒いでる 。
兵士たちの装備はかなりしっかりとしており一国の軍隊が使っているものとなんら変わらないレベルだ。
ここがどこなのかわからない
辺りは薄暗く、赤く光るランプがくるくると回っている。
そしてその部屋の、…いや部屋と言うにはあまりにも広すぎる。
そのドームらしき建物の中央に、ひときわ大きなの柱が一本そびえ立っている。
柱は、水色の蛍光色におびて光っており下から上へと水色の蛍光色におびた流動体が流れているように見える。
その柱は何なのかは分からない。
ただ何かしら重要な役割の柱であることは何となく予想ができる。
ドガァンッ‼︎ ドガァンッ‼︎ ドガァンッ‼︎
爆発音のようなものが三回連続して鳴った
柱の右上の部分から煙が出ている。
煙が出ているところから火がバチバチと燃え上がっていく。
急げ‼︎ 早く火を消せー!
兵士たちの声がいっそう慌ただしくなる
緊急用の消防車がすぐさま5台到着した
一般の消防車とは違いタイヤが3輪で狭い所でもすばやく動けるように小型に作られている。
すぐさま兵士たちは放水活動を開始する。
水は勢いよく火が出ているところへと集中して行く。
消防車に使われている放水機は基本二人一組で使うようになっている。
放水する際に反動が大きく、一人で抑えきることができないからだ。
ふと放水活動をしている一人の兵士の手が緩んだ
ホースから出る水が一気に上へと上がり
目標である火から大きく外れた。
「 お、おい!何してんだ!!」
相方の兵士が慌てながらホースを必死に抑え後ろの方に振り向いた。
そこには先端が尖ったかたちをしている薄い水色の色をした氷のようなものが地面から生え、串刺しになった仲間の兵士の姿がそこにあった。心臓を確実にえぐられ血が氷のようなものをつたって下に流れていく。
考えが停止した
なぜ仲間の兵士が死にかけているのか、、
そもそもなぜ地面から氷のようなものが生えてきたのか…
何が起こったのか分からない
この状況がわかる人がいるのならすぐにでも教えて欲しい。
驚きと同様のあまり、必死に抑えていた
放水機の手が緩んでしまった。
すぐさま放水機は兵士の手から離れ
打ち上げられた魚のように右往左往して宙を舞う。
上から落ちてくるいくつかの水滴に
その兵士の顔が映っていた。
目を極限まで見開いている。
この状況を一生懸命理解しようとしてるようだ
ジャキッッ!ジャキッッ!
突如、無数の鋭利に尖った氷の結晶体のようなものが辺り一面、地面から生えてくる。
そこにいた兵士たちの悲鳴がドーム中に響き渡った
先ほどの後ろにいた兵士と同様に周りの兵士たちも串刺しになり、警告音が聞こえなくなるくらいドーム中に苦しむ兵士たちの声が響く。
その様子はまさに針地獄そのものだ。
その光景を見た先ほど放水活動をしていた相方の兵士はその場から逃げたしたい衝動に襲われ、無意識のうちにその場から後ずさりしていた。
体中の震えがとまらず、自分の足に引っかかり大きく尻もちをついた
ジャキッッ‼︎
尻もちをついて広がった股の間から
氷の結晶体が生えてきた
間一髪かわすことができた
だが次かわせる保証はどこにも無い。
そう思うと心が締め付けられるような不安に襲われ 呼吸が荒くなり苦しくなっていく
脳の思考が完全に停止した。
そのせいで、いつのまにかただ笑うことしかできなくなっていた。
だんだん意識が遠のいていく。
何ぜだかお腹あたりが暖かく感じるのがわかった。
何だろ? 暖かい? いや熱い? まぁー何でもいいか、、
そうポツリと呟いた
兵士は二度と眼を覚ますことはなかった。
失礼します‼︎
ハキハキとした挨拶をしながら勢いおくドアを開け部屋の中に入っていく
すぐさま部屋の奥にある黒い椅子に座っている男が口を開いた
「 例の件はどうなった? 」
『 はい、第1フェーズ共に第2フェーズは
成功しましたがターゲットには逃げられ
てしまい今行方を捜索しています 』
そう聞くと、椅子に座っている男は
机の上に両肘を付け、手を組み、眉間にしわを寄せ
「 即急にだ!」
「 奴らよりも早く見つけ出しすぐさま捕獲しろ 、世界の未来が掛かってるぞ 」
怒鳴りつけるような声で扉の前にいる人物に強く言った。
『 はっ! 』
右拳を左胸に打ち付け、勢いよく返事をして部屋を後にした。
西暦2040年、東京
この町は今も昔も変わる事なく人や文化が入り混じり、今なお世界経済上位を担っている都市だ。
ただ一つ大きく変わったことがある。
東京魔法指定都市
それが今の東京のもう一つの呼び方となっている。
この世は魔法が誰でも使える世界になったのだ。
その中でも東京は世界でたった五つしか選ばれていない魔法政令都市の一つに任命されており魔法開発の中枢をになっている。
ほんの数十年前までは魔法という概念は否定され続けてきたが、今となっては社会常識の一部である。
きっかけは20年前に起きたある事件が原因だった。
魔法権利奪還事件
新聞ではそう大きく取り上げられていた。
何でも昔の人々は魔法を行使することができたらしく。その為、魔法を嫌う科学サイドと科学を嫌う魔法サイドでの争いが絶えなかったらしい、18世紀半ばに科学サイドは魔法サイドの魔法の一切を封印する装置を開発に成功し、この世から魔法というものを全て無くしてしまった、
魔法に必要な自然界にある魔力源を全て使えないように封印したのだ。
そして魔法サイドがいなくなったことにより急激な技術の進歩がもたらされ、産業革命へと繋がっていったらしい。
その事実を知っていた者たちが魔法を取り戻す為、ヨーロッパのどこかの地下室に封印してあった装置を破壊し、魔法の奪還に成功したのだ。
そしてこの世界にまた魔法というものをもたらした。
魔法とは一体なんなのか?
魔法はこの世の真理に触れる、すなわち魔法の詠唱や魔法陣を書くことがで行使することができる。
魔法の詠唱や魔法陣の書き方を覚えれば誰にでも魔法を発動することができる。
詠唱魔法でひとつ例を挙げよう
ハイル・ライトセク( 光点集結魔法 )
光を一つの箇所に集中させランプのようにあたりを照らすことのできる魔法である。
このような簡単な詠唱をすれば魔法を誰でも使うことが出来る。
ではなぜ、魔法は科学サイドから嫌われていたのか?
それは魔法に大きな問題点があるからだ。
使う人によって魔法の出せる出力が変わるのだ。
例えば先ほど例に挙げた
ハイル・ライトセク( 光点集結魔法 )は
光を集めてただ光らせるだけではなく、使う人の才能や特性で光の光線、つまりレーザービームも出せる者がいるということだ。
しかしその特性は生まれた時にほとんど決まってしまうのだ。
つまりどんなに魔法の勉強をして努力したとしても魔法のレベルは上がることがなく、使える魔法の種類かま増えるだけである。
はぁぁぁー
扇城 恍 (せんじょう・こう)は大きなため息をつく