第九十九話 俺との遭遇
金髪、碧眼、細マッチョの中背
正義感溢れるイケメン。
背中に天使の翼は生えていないし
恰好も軽装な剣士だが
その顔面は間違いなく
カルエルの顔
つまり、俺がキャラメイクしたとしか
考えられない人物。
それがベレンの冒険者協会に
入って行くのを目撃した。
思い出す
確かに前回俺は考えた。
もし、普通に製品版をプレイ出来るなら
人間の冒険者でまた来たいと
そう考えていたのだ。
それを思い出し
確信した。
あの人物の中身は
ログアウトして現実世界に戻った
オリジナルの俺
宮本たけしだ。
冒険者協会付近は信仰濃度が
比較的薄い様だ。
俺は半魔化してから
協会に入り
カルエル顔の男を探す。
居た。
呑気に受注ボードを眺めてやがる。
半魔化でレベルと名前が見えた。
ダブルゼータ
LV1
ずっこけそうになる俺
なんだよレベル1って
始めたばかりなのか
それにその名前・・・・
うーん、いかにも俺が付けそうだ。
俺はダブルゼータの真横まで近づくと
出来る限り普通に話した。
「いいクエストはあるかい」
「いやーまだE3のなり立て
冒険者ですからね・・・・え!?」
話しかけた俺の顔を見て
驚愕の表情に変わり固まるダブルゼータ
中学時代の自分の姿を目にして
驚いているのだ。
間違いない
こいつは俺だ。
「宮本たけし、なんだろ」
回りくどいのは嫌だろ
ダイレクトにガンガン行くぞ。
「誰だ?趣味が悪いにも程があるぞ。
俺の姿、それも子供時代の
姿でアバター作るなんて」
俺はオリジナル俺の言葉を遮る様に言った。
「知り合いが嫌がらせでINしてると
勘違いしているようだな」
俺だけに考えが直ぐに見当がつく
それに、もう俺の正体に見当がついているのに
認めたく無くて口にしたがらない様子だ。
それも分かる。
なので言ってやる。
「俺はお前が前回、懸念していた
NPC存続の為にコピーされた俺だよ」
「なんで子供の姿なんだ?」
「「まぁ座って茶でも飲みながら話すか」」
確かに子供の姿には疑問だろう
これは想像がつくはずは無い
俺達は席に着くとオリジナル俺の
プレート払いで同じものを注文した。
「まずは、俺の事情から説明しよう」
俺はそう切り出し
オリジナル俺のログアウト後
湖のほとりからのリスタートから
今までをダイジェストで話した。
オリジナル俺は所々怪しげな表情に
なりながらも黙って全部聞いてくれた。
「・・・・で、どうみても俺作成の
カルエル顔の冒険者を発見した次第だ」
俺の話が終わり、二人とも長いため息をついた。
「大変だったんだな。コピー俺」
同情した表情でそう言うオリジナル俺。
本人はそうでも無いが、客観的に
見れば、やっぱり大変だったのだろう
特にオリジナル俺は現代の便利な
文明の恩恵で食事を探す事も
雨に打たれず眠れる場所を探したりなど
そんな苦労はしないのだから。
「そうだな。今度は俺の方の
事情を説明せにゃだが
先に聞きたい事はあるか」
オリジナルの俺はそう言って来た。
「ある!!」
そうあるぞ!!
俺の言葉に仕草で俺を促す
オリジナル俺。
俺は多少、力が入りながら言った。
「魔導娘かまど☆ドウマの最終回は
どうなったんだ!!」
当時、一大ムーブメントを巻き起こしていた
魔法少女モノのヒット作だ。
大人の事情で最終回の放送が延期になり
見れてないままログインしてしまったのだ。
オリジナルの俺は腹を抱えて大笑いした。
「それか。確かに気になるよな
えーっとどうだったっけかな」
オリジナル俺は最終回の説明を
思い出しながらもなんとか
説明してくれた。
聞いた俺は唸る。
うーん
流石、鬱作品に一定の評価を持つ三年の
ニトロタス が関わっただけの事はある。
作る作品、作る作品
どれもこれも鬱だらけが故
冷たい人を非難する比喩に
「何てヒドイ奴だ。鬼!悪魔!ニトロタス!!」
というセリフが流行ったほどだ。
「ハッピーともデッドとも言い切れない
終わり方だがキチンと決着したな」
俺は何度も頷いてそう言ったが
オリジナルの俺は予想外の反撃に来た。
「つか俺もキレイに終わったハズだったんだが」
「スマン!みっともなく続いてしまった」
ここは素直に謝る。
オリジナル俺にしてみれば
続いてるなんて思わないよね。
「いや、コピーの責任じゃねぇだろ」
「そうだが、申し訳ない気持ちはある」
ホント、うまく終わったのにな。
「まぁ、お陰でこうして再会・・・
って言っていいのかな。
まぁ会えたワケだしな」
「だな」
「懐かしいなぁ・・・。」
なんか遠くを見るような目になる
オリジナル俺。
懐かしい?
そんな昔じゃあないだろ
・・・
まてよ、記憶力に多少の自信がある
俺が、かまドマを思い起こす様に
話していた。
「おいオリジナル。俺の時系列は
理解しているよな」
まさか
「あ、そうか。そっちは
時間跳躍してるから
そんな昔の事じゃないんだよな」
おいおい
「おい、オリジナル。
お前今いくつだ?」
「・・・・41だ。」
嘘だそんな事
俺が中年になるなんて
「ウソダドンドコドーン」
「今、誰も言わないぞ。
更に若いのは元ネタ知らん」
俺は床に両手両ひざを着いて
挫折ポーズを取り言った。
「OTL」
「あーその辺で止まっているのか
それも今言わないぞ」
オリジナル俺はニヤニヤして
俺を観察している。
そして追加攻撃をしてきた。
「こち亀も終わったぞ」
ふん
知らないと思って
「あーハメようたって
その手には乗らんぞ。
こち亀が終わるワケないだろ」
「いや、ホントだって」
イタズラ好きは信頼出来ない。
ましてや俺だからな。
騙されないぞ。




