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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第九十八話 ベレン観光

降りたばっかりだそうで

ボロを纏っていたブリッペ。

更にスパオクリカインに

食い破られたせいでもっと

ヒドイ恰好だった。


ストレージにしまい込んでいた

適当な服を渡したトコロで

どうせならと

久々にアモンキャリア変形させ

風呂を焚いた


一番に入らせてもらった後は

女子軍団が交代で入る。

ミカリンはブリッペに

作法を手ほどきとすると言って

一緒に入っていた。


女子軍団はどうせ長いので

その間に俺は単独で悪魔騎士デモナイト

性能テストを行った。


飛行能力は下等レッサーに比べて格段に

上昇してはいるが、音速には程遠い

それでも300km程は出ているので

元の世界で言えばプロペラ機並みの

飛行性能がある。

ここまで性能が上がると

どんなモノで地上を移動するより

飛んだ方が速い。


金属粒子のボディだが

悪魔光線が出せる程には内圧を

上げられない。

だが、ストレガに伝授した金属弾の

射出は可能だった。


金属の生成は銅程度の融点が低い物に

限られたが、これでも有難い

部品一つ作るのに掛かる手間暇が

大幅に軽減されるだろう。

早く鉄を生成出来るようになりたい。


武器に関しては専用のスピアが出てきた。

どうも鉄より硬い

形を変えたりは出来ないが

出し入れ自在だ。

悪魔騎士デモナイトの専用装備だな。


そう言えばミカリンにも専用の剣が出ていた。


頃合いを見てテストを終え

キャリアまで戻ると

ミカリンが武装して飛び出して来た。


「なんだアモンかぁ」


やはり悪魔を感知する能力があるようだ。

悪魔側からは天使を感知する能力は

他と比べて特別高く無い

この差が気になるが

調べようも無ければ

聞く宛ても無い。


みんな風呂が終わったとの事で

ドーマに戻る事にした。


帰りの運転中、ミカリンはいつもの

俺の後ろに座り込む

夜の運転は半魔化する事を告げるが

馴れて来たとの事だ。

それよりも話がある様子だ。

そしてその予想通りだった。


「住む場所なんだけどさぁ・・・。」


魔族の祖先に悪魔がいる俗説だが

どうやら本当かもしれない。

ミカリンは教会や今の郊外と

比べ魔族の集落には居心地が悪いそうだ。


「パレードも終わったし、魔族と

また今後の話があるだろう」


いつまでも居てくれてイイと言ってくれては

いるが、ずっと居座るワケには

どうせいかない。


「そうだ。人間街はどうだ」


ベレンからドーマに入ったすぐの

魔族以外の人種が多く滞在している場所だ。


「教会の周辺だよね。あの辺りなら

大分・・・うん楽だよ。」


「そうか、じゃ候補にいれとこう

ベレンも見て回ってから考えよう」


「ゴメンね」


「謝る事じゃないさ」


本質が人間の俺と違い

天使が本質のミカリンには

不快感の質が違うのかもしれない。

俺の方は人化さえしていれば

教会内だってぐっすり眠れるのだ。


ドーマに戻って来た。

時刻としては随分経過してしまったが

念のため広場に回ってみると

俺は愕然とした。


死屍累々

広場を埋め尽くす倒れた人々・・・。


「毒か?」


一番最初に考え着いたのが

毒ガスの噴霧だ。


そんな俺の緊張感をいびきが、かき消す。

大量に酔いつぶれているだけだった。

もう放っておこうこの民族。


馬車置き場に車を停め

迎賓館まで歩く


「一人増えたけど、言った方が良いよな」


ブリッペは取り合えず女子部屋に

行くことになった。


あのー俺の性奴隷じゃ


女子部屋も広く

ベッドもデカイので問題はないそうだ。


いや、あのー俺の性奴隷って話じゃ


天使同士、積る話もあると

ミカリンは力づよく主張した。


はぁ、まぁいいいか。


ひっそりと静まった迎賓館に帰って来た。

俺達を確認すると留守番の娘が

駆け寄って来た。


なんと、もう読み終わり感想文まで

書き終えている。

本と一緒に手渡して来た。


すごいな

夏休み向きな奴だな。


何度も礼を言われ

調査に参加出来た事を誇りに思うなどと

言われて、なんかこっちが申し訳なくなる。


俺も礼を言い、早々に部屋に引き上げた。


部屋に戻りベッドに横たわり

感想文とやらに目を通すと

急激な眠気に襲われた。

そのまま意識を無くす。


翌朝、目を覚ますが

またも食事の用意が出来ていない。

職員も含め、まだ広場で

死屍累々状態だそうだ。


「本当に申し訳ございません」


謝りに来たのは留守番の娘だ。

えーっと名前が感想文に書いてあったっけな

・・・シャーリーだ。


「もしかしてシャーリー寝てないのか」


俺が名前を覚えてくれた事に

驚愕と恐縮で早送りのビデオみたいに

慌てるシャーリー。

睡眠は取っているとの事だが

当然、彼女の食事も無い。


「丁度良いや、ここに居る

みんなで食べようじゃないか」


俺はシャーリーを連れ女子軍団の

部屋まで行き事情を説明した。


厨房にブリッペと二人で入り込み

ストレージから素材を適当に

見繕うと調理に入る。


やはりブリッペは料理が上手い

作業も速いので俺が

待たせてしまう事がしばしばだった。


5人で朝食を囲む

魔族式で無い料理に

シャーリーは興味深々だった

恐る恐る口に運ぶが

気に入ってくれたようだ

ガツガツ食い始めた。


今日はルークスから

今後の打合せとやらだったハズだが

これでは今日は無理だろう。


「ベレンまで行ってみるか」


俺の提案に皆、賛成だった。

アルコは目をキラキラさせて喜んだ。

元々の目的がそれだったんだからな

待たせてごめんよ。


俺達がベレン観光に行く事を

ルークス達に伝えるよう

シャーリーに頼んで

出発した。


市内なので

そんなにスピードも必要無い

アモン2000を外し

キャリアだけで出発した。


ベレンの検閲はルークスの書状で

問題無かった。

ただ、やっぱりアモンキャリアの

注目度はスゴイ。

皆、二度見するわ

悲鳴を上げる者まで居る。


売ってくれと、たかって来る者が

居ないのは成り上がりの村バロードと

違って助かるが、ゆっくり観光なんて

出来ない状態だ。


俺はアモンキャリアを馬車置き場に

停車させ、観光は専用の馬車で

女子だけで行ってもらう事にした。


「アモンは行かないの?」


そう聞いて来るミカリンに

俺は昨日の疲れが抜けていない

キャリア内で寝かせてくれと言い

アルコとブリッペを頼むとも伝え

ミカリンに納得してもらった。


3人娘を観光用馬車に任せた

礼金も多めに弾んで置く


疲れは言い訳で

単純につまらなさそうだったからだ。

知っている街だ。

14年経過で変化している場所も

あるのだろうが

そんなに変わっているようには

見えなかった。


ただ前回と違い半魔化は戸惑う

正式に聖都となった事が影響しているのか

単純に在住している信者が増えたせいか


前回の聖都、バリエアは

訪れた時には既に悪魔の進行が

進んでいて信仰が歪んでいた。

そのせいか教会及びその周辺しか

不快感は無かったのだが

今のベレンはどこでも不快感を

感じそうだ。


常に人化でいれば

どこでも問題は無いのだが

丸腰の様な心細さは拭えない

しかし、前回と違い

素の人状態でも

そこそこの強さなので

ベレンに居住も問題なさそうだ。


馬車置き場から

ほど遠く無い場所に

冒険者協会がある。

それを思い出した俺は

散歩ついでに覗きにいく事にした。


街の様子は14年経過しているような

感じはしない

元の世界の日本が建てたり壊したりが

頻繁過ぎるのだ。

イギリスなどは築100年を超える

アパートメントなどもあるぐらいだ。


まぁ日本はそうやって無理やりにでも

経済を回していく国だ。


まだ使える物を買い替え

まだ住める家を壊し

まだ乗れる車を廃車にし

まだ食える物を毎日大量に廃棄している。


それも国がエコ減税などと煽り

誰も矛盾に思っていなかった。


一番ひどかったのは

割りばし騒動だ。

使い捨ての割りばしがエコの悪者にされ

散々叩かれた。


割りばしを作る為に木を伐採することなど無い

元が取れないのだ。


建築材料などで使いモノにならない端材など

どうせ捨てるならと

勿体ない思考で出来た発明品だ。


新聞はそこを説明せず

ただ悪者にした。


木の使用量で言えば

新聞の方が酷いのではないだろうか。


割りばしがやり玉に挙げられた理由は簡単だ。

大手じゃない零細企業だからだ

新聞に広告費を大量に出している

大事な大事なスポンサー様

それらに不利益な事など

新聞に出来るハズが無い


いじめと構造が似ている。


こいつなら叩いていいや


それに気が付いてからは

新聞を取るのを止めた。


アカが書き

ヤクザが売って

バカが読む


誰が言ったか知らないが

上手い事言う。


そんな事を考えながら

歩いていると協会前まで来た。

うん、何にも変わっていないな。


アイリはどうしているだろう。

もうおばさんだよな・・・。

ガウやゴンドはまだ居るのかな


そこで考えが止まる。

とんでもないモノを目撃した。

1人の冒険者が協会に入っていった。


そいつは俺だった。


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