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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第九十五話 最近は若い娘がワークマンに

アルコが泣き止むまで待ち

落ちついたトコロで

組手を行おうとしたが


ステータス画面を見て

俺は仰天し

慌てて止めた。

アルコの状態を獣人に

すかさず戻す。


「どうかしたの」


キョトンとしているミカリン。

俺はアルコに尋ねた。


「アルコ。変な疲れ方をしていないか」


俺の言葉にアルコの方を向くミカリン。


「はい・・・なんだかボーっとします。」


「マインドダウン寸前の状態だ」


どうやらベアーマン化はなっているだけで

MPを連続消費するらしい

測っていなかったが3~5分程度で

MP切れを起こすようだ。


俺はアルコにMP譲渡をして満タンに

してやると、状態を聞き

問題ないようなので

今度は時間を測りながら

組手スタートだ。


ミカリンには制限を付けた

上空から魔法攻撃だけしていれば

ミカリンの勝ちだろうが

それでは訓練にならないので

アルコの背丈の倍くらいの

高さをリミットにした。


これならアルコの跳躍による

攻撃が届く、

ミカリンは気が抜けないはずだ。


「始めっ」


二人とも真剣だ。

そりゃ真面目に取り組むのイイんだが

何て言うの

もうこの世の戦いじゃないな

怪獣大決戦みたいになってる。

アルコの腕は空気を切り裂き

本当にボッッとか音を立ててるし

ミカリンは空力や慣性を無視した

動きで剣を振るっている。

逆さになって足を

切り払いに行けるんだからなぁ

おっと

もうリミットだ。

3分か

光の巨人からの伝統かな


「はいストーップ」


俺は止めてアルコを獣人に

戻しMPを譲渡する。

・・・・。

なんかセコンドみたいだな。


「凄いなアルコ。一度里に戻って

マイザー倒すか」


レベル50だ。

今のマイザーのレベルを知らないが

バングに匹敵する経験値の敵が

森のパトロールでそうそう出会えるとは

思えない。

恐らく今のアルコは若頭より強いだろう

3分だけだが・・・。


「はぁはぁ、そうですね。

いつかは一度立ち寄って

兄に見せたいです」


「アモンー僕もう疲れたよ

続けるなら替わってよー」


ミカリンがぐったりしている。

疲れたので人化に戻ってたのだろうが

先程の俺と同じだ。

人の方が苦痛を強く感じるつくりだ。

余計にグロッキーだ。


まぁでも確かに凄い戦闘だった。

レベル50同士のガチ戦闘だからな


「マスター。私も今日はここまでで

よろしいでしょうか」


疲労はアルコも同じだ。

更には消費と譲渡による

軽度の体調不良、昼間のモナと

同じ状態だろう。


「戦闘はここまで後は

アルコの任意変身の練習にするか」


うっかりベアーマンで建物内部から破壊

キチンとコントロール出来て

そんな心配が無い様なら状態変化を

許可しておいてやりたかった。


人、獣人は問題無かったが

ベアーマン状態でもMP消費が

体感で把握しにくい様子だ。

ましてや戦闘となれば意識出来ないだろう

後一歩というところで突然ぶっ倒れる

そんな事が起きそうだ。


「うーん。許可はしておくが

ベアーマン化は俺が居る時限定な」


アルコも同意見だった。

マインドダウン症状に

恐怖を感じている様子だ。


殴られたり斬られたり

そういうダメージとは

全く異なる感覚なので

馴れていないのだ

不安は大きい。


「2分経過したら赤く点滅する

タイマーを作るよ」


皆で休憩に入って

狩りはもういいかみたいな空気になった

俺も疲れた

今日は戻って休もう

開いている店があれば

そこで食事をしよう。


俺がそう提案すると

二人は待っていましたとばかりに

大賛成だった。

もう、何食べようか相談を

始めている。


事、食い物に関しては

男より女子の方が獣だ。


そう思っていると

遠くで悲鳴が聞こえた気がした。

それも知っている声だ。


「500m程離れたトコロで

誰か叫んでいます。」


アルコが耳をピクピクさせながら

そう言った。


すごいね。

距離まで分かるのか


「ちょっと見て来る

知り合いかもしれん」


俺がそう言うと

ミカリンもアルコも行くと言った。

それならばと俺はアモン2000に

乗り移り、このまま車で

駆け付ける事にした。


ヘッドライトが無いので

夜の運転はデビルアイの

暗視能力が必須だ。


俺は半魔化して悲鳴の

聞こえた方角に車を走らせた。


500mはあっという間だ。


直ぐに現場まで到着した。

俺は見えてきた光景に

悪寒を感じざるを得なかった。


スパイクリカオンが人を

羽交い締めに組伏せて

内臓を引っ張り出して食っていた。


うわーグロいわ。

肉食獣も虫も好んではらわたから頂く

肉を優先するのは人間だけだそうだ。


そんな惨状であるにも関わらず

組伏せられたその人は悲鳴を上げている。


頑丈なのか

悲劇にも急所が外れているのか

腹を切り裂かれ腸が露出してしまっても

人は即死しない

なので切腹時には介錯が必要だ。

無駄に苦しまず醜態を晒させず

楽になってもらう為だ。


この介錯も作法があり

完全に頭部を切り落とすのは失礼になる

正面の首の皮を残し頭部が落下しないように

斬るのだ。

「首の皮一枚繋がる」この語源だ。

即死させなければ駄目

振り切っても駄目

硬い首の骨を斬らねばならないが

その先の柔らかい食道、皮膚を

残さねばならない。


技術職だな。


もし現代でも切腹が残っていたら

介錯は国家資格が必要になってるだろうな


「俺、今度切腹なんだけどさぁ」


「あ、俺が介錯しようか。二級だけど持ってるよ」


「すげぇな。でも代金がな」


「収入印紙分だけでいいよ」


「悪いな」


「それより白装束持ってる」


「無い。買いに行かないとな」


「この前出来たワークマンで安いのあったよ」


「どこどこ」


「一緒に行くよ俺も刀、新調したいし」


すげぇ世の中だ。

でも昔の日本ってマジで切腹してたんだよな。


「アモン!!」


ミカリンの呼びかけで妄想から現実に戻る俺

いかんいかん

アホな事考えている場合じゃない。


「誰が、だずげでぇ!!」


その人は内臓もりもり食われているのに

元気に大声で助けを呼んでいた。


「丁度良いや。狩ってしまおう

肉補充しちゃおう」


疲れたので中止するつもりだったが

スパイクリカオンだ。

補充してしまおう。


「どちらの肉をですか」


流石、人外

恐ろしい事を確認してくるアルコ。


良く食うと表現されるが

食事の意味では無いからな。


「スパイクリカオンを倒し

人を助けるぞ。」


念押ししておく

この娘達にしてみれば

人間が最上位に優先されるべきモノではないのだ。


「「はいっ!」」


ブレーキを踏んで車を止めるが

停止しきらない内に

二人は飛び出した。


体格の大きいアルコが先行

すぐ後ろに隠れる様にミカリンが続く

アルコが吠えスパイクリカオンの

注意を引き付ける。

その瞬間を逃さずミカリンは

アルコの背後から

文字通り飛び出し

アルコを上から飛び越して

スパイクリカオンに襲い掛かった。


回転しながらミカリンは

スパイクリカオンの首根を

一発で叩き斬る。


俺の妄想を見ていたかのように

スパイクリカオンの首は落下せず

ぶら下がった状態で絶命させた。


「うん一級合格だ。」


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