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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第九十二話 バゼル再び

「・・・魔神アモンでは無いの?」


呼び出した悪魔がバゼルと名乗った事に

困惑するマリー。


ちょっと見直した。

バゼルの一発目の咆哮で

横の二人、

マリオとクフィールは昏倒した。

悪魔オーラは恐怖や混乱、果ては

即死などバッドステータスオンパレードだ。

前回も非常に良く使用した。

使い勝手のいい技だ。


マリーは

それを食らって平静を保っているのだから

伊達に副院長の座に座っている訳では無い

実力者なのだ。


「女、我はそれ以上存在だ」


腕を組み、偉そうに上から

語るバゼル。


ほーぉう、アモンより偉いんだ。


「とという事は、成功を超えた

大成功という事よね。」


ちょっとどもったな。

平静という訳では無い様だ。


悪魔騎士デモナイトが開放されて

本格的なテストはまだだが

気が付いた事が有る。


半魔化状態のデビルアイで

レベルが見えるのだ。


バゼルのレベルは40だ。


バングに感謝だ。

ジャンプアップしていなければ

余裕の状態では居られなかった。


それにしても

そのレベルでアモン以上とか

見て無いと思って言いたい放題だな。


そもそも魔神クラスになると

降臨などの大規模なゲート開放でも

なければ現界出来ない。

来れてもダウングレード必須で

力としては下等レッサークラスにまで

その能力は落ちてしまう。


ただ、レベル40の悪魔を

降ろしたとなると

この召喚魔法自体は

褒めていいレベルだ。


俺は倒れた二人を壁際まで

引きずって横にしておいてやった。

意識を覚ましても

バゼルが居る内は

またすぐ気絶コースだろう。

ここで寝ててね。


そうだ

もう一人いたな。


俺は思い出して

マリーと呪文を唱えていた

なんだっけ

モナだ。


モナを見てみると

モナの様子が変だ。


フードは咆哮の余波で

脱げてしまい顔が見えた。

良く言えばつぶらな瞳

普通に言って小さめの目だ。

鼻も低くて丸っこい。

ただ個人的には癒される顔だ。

こっちの人の顔は濃くて

とんがってたり派手なのが多く

モナの控え目な顔は

日本人に近く

郷愁を誘ったのだ。


そのモナは目は開けているものの

意識が朦朧もうろうとしているのか

目の前の悪魔に視線が行く事も無く

フラフラとただ立っているだけの状態だ。


「どどどどうかしら。謝るなら

今のうちよ」


マリーは威勢を張って俺に言って来た。

ここで俺は瞬間湯沸かし器になった。


部下が倒れたのに

何言ってんだコイツは


「謝らないと何?その悪魔に

俺を襲わせるのか」


半魔化のせいか

その時は気が付かなかったが

大人声の俺になっていた。


「・・・そんなヒドイ事は」


支離滅裂だな。

俺はマリーの返事を遮る様に

被せて言った。


「謝ったら助かるのか?

その悪魔、お前のコントロール下にいないぞ」


俺のセリフに瞬間的にマリーは

反応し、モナの方を向いて叫んだ。


「モナぁ。どうなっているの?」


無反応なモナにマリーは

詰め寄り、そこでやっと様子が

おかしい事に気が付いたのか

モナを激しく揺さぶるマリー。

しかし、されるがまま

無反応なモナはこんにゃくの様に

てろんてろんだ。


「おい、バゼル。モナをどうした?」


俺はバゼルに向き合い、そう言った。


「ん?小童。お前良く平気だな」


俺の存在にやっと気が付いたのか

バゼルは俺の質問に答えるより

俺が平気な事にまず驚いた。


「ふふ、魔力を食らい尽くしてしまったわ

我を呼び出すだけあって、中々の魔力量だったが

所詮は人間。ふーまだ、足りんのぅ

ハングリーハングリィ」


ここで納得した。

マリーは恰好だけで

実際に呼び出したのはモナだ。


まぁその研究者なんだから

そらそうだわ。

恐らくこのモナと言う女子

ココでは数少ないマリーの

いう事を聞く部下なのだろう

しかも優秀ときた

目を付けられこんな事になった訳だ。


「もモナを元通りにしなさい」


精一杯の威勢を張り

バゼルに向かうマリー。


ここでまた好感度が上がる。

うーん、俺の中で

この人の評価が安定しない。


「ぶはは、強がっているな女

恐怖が心地よいぞ」


バゼルは大きな手を伸ばし

長く鋭利な爪で

今にも突き刺すぞと言わんばかりに

マリーの体を指さした。


待てバゼル。

ここは

突き刺す前に服だけ切り裂け


「それにしても、小童

先程から全然恐怖していないな」


足りない。

バゼルそう言った。

事実その通りなのだろう

暴れるより脅す事ばかりをしている。

これは即ち弱い状態だという事だ。

叩くなら今だろう。

・・・・

マリーがヒドイ目に遭ってからにするか。


「そこのおばさんに比べれば

悪魔の一匹や二匹なんでもない」


俺とバゼルは快活に笑った。


「おばさん・・・存外若いぞ」


バゼルはそう言うと

爪でマリーの頬を軽く切り裂く


「ヒッ!!」


恐怖にすくんで動けないのか

バゼルの何等かの効果で

硬直してしまっているのか

マリーは避ける事も

逃げる事もしない。


頬を伝う血を爪ですくい

ペロリと舐めるバゼル。


「フム・・・27歳」











若いじゃないか。

しかし、すげぇな血舐めて年齢分かるのか

どんなスキルだ。

ソムリエみたいなモンか。


「に・・・逃げなさい」


結構、深く切られたのか

出血が多い、顔を半分血に染め

わなわな震えるばかりで

動けない状態で

言ったセリフがそれか

・・・・。

予定変更

助けよう。


「そいつを倒してから帰るよ」


俺は無警戒にズカズカと間合いを詰めた。

終始ニヤ気面だったバゼルは

初めて表情を変えた。

不機嫌そうな顔だ。


「ギルティ・・・・小童

ギルティですよー。」


そう言うとバゼルは錫杖を拾い上げ

大きく振りかぶり

俺を頭からカチ割ろうと勢い良く

振り下ろす。


「!!」


予想される惨劇にメリーは

たまらず目を閉じた。

あーここは目撃して欲しかったな。


「ん?なんだコイツ・・・んんん」


バゼルの表情が不機嫌から不審に変わった。

振り下ろされた錫杖は

前回と同じように俺が掴んで

止めていたのだ。


前回程レベル差が無いので

ここは全開だ。

俺は押さえていたオーラを完全開放し

バゼルから錫杖を取り上げた。


「なんか我、デジャビュ」


「気のせいじゃないから」


多分同じだろ。

前回と同じ場所の魔核目掛けて

全力の突きだ。

槍兵さん、ありがとう。

早速役に立ったよ。


レベル50の悪魔騎士デモナイト

渾身の突きだ。

半魔化と言っても表面の薄皮以外は

悪魔ボディの状態だ。

腕力そのものはそんなに差が無い。

キレイに突き刺さる。


日曜大工の釘も

変な風に斜めにならずに

こうキレイに真っすぐ刺さって欲しい。


「お・・ああ・・」


手ごたえから魔核の破壊を感じた。

ご退場願おう

俺は錫杖を振りかぶると

まだ光り輝いている魔法陣に

押し込める様にバゼルに

錫杖を叩き込んだ。


「はい。ボッシュートくんです」


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ー」


例の耳障りな叫び声をあげ

腰辺りまで魔法陣に沈む

俺はせっかちな人が

エレベーターのボタンを連打するかの如く

連続で打ち付けた。


「ボッシュートボッシュートボッシュート」


「あ゛っあ゛っあ゛っ」


じゃあなバゼル

続編でまた会おう。


バゼルが消えると

魔法陣の光も元のうすぼんやりした

灯りに戻った。


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