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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第八十九話 教えてクフィールちゃん

「お客に茶すら出さないのもアレだが

こんだけの事故で誰も来ないって

ココ本当にどうなっているんだ。」


俺は半ば呆れてそう言った。

クフィールは照れ笑いを浮かべ

ばつが悪そうに答えた。


「いやーみんな研究熱心って言うか

他人の事に構ってなんかいられないって言うか」


「要するに自分さえ良ければイイんだろ」


俺は相手の怒り覚悟で

皮肉を言ったのだが

クフィールは本気の笑顔だ。


「あはーそうっす。」


ダメだここ


「先程の衝撃位はしょっちゅうあるんで

気にする人も居ないっすよ。」


「・・・まぁ、そりゃ研究だから

失敗は当然あるだろうが」


あの規模って結構スゴいぞ。


「それを前提にした魔導院っす

外壁はビクともしてませんぜ」


本当だ。黒光りしているレンガ状の

材質で作られていて、それらは無事だ。

後付けの扉や家具などはともかく

建物そのものは全く何ともない


さすが魔導院だ。

なんともないぜ。


俺はその後クフィールに

疑問をぶつけてみた。

全く隠す気の無いクフィールは

むしろ話し相手に飢えていたのか

何でも答えてくれた。


1.立ち入り禁止だらけについて


「あー副長も全ての研究を理解して

いるわけじゃないっす。

なので質問されるのが怖いんすよ。

答えられないものプライドが許さないし

研究員に答えさせるのも

自分が分かって無いのがバレちゃうし」


俺の個人的評価だがマリーは

上に立つのに致命的に向いていない。

それでは下はついて来ないで

勝手に動くぞ。


2.昨夜の襲撃に出動しなかった件について


「戦力になる攻撃呪文の使い手は

みんなネルドに持ってかれて

ここに残ってるのは非戦闘員の

研究者だけっす。

出ても足手まといにしかならないっすよ」


「ん?じゃあストレガは・・・。」


「もうずっとネルドに居るっす

無事なのは定期連絡で分かって

はいるんすけど、みんなストレガ様に

会えなくてストレスがすごいっす。

特に副長が・・・。」


マリー。

お前最悪のタイミングで

俺と会ってしまったな。

どんな事情だろうが

初見で敵ならずっと敵だぞ。

俺は・・・そうでもないのか。


ミカリンの笑顔が思い浮かぶ

今だってココに居てくれれば

大惨事になる前に止めてくれたに

違いない。


まぁでもマリーは許さん。

嫌いだ。


3.主にどんな研究を


「今せかされているのは

魔力の回復手段の確立っすね。」


飲み薬タイプは

まだ手掛かりも無い状態

一部のクリスタルは魔力を

保つ事が分かっているので

装備品の更なる性能向上が

主だそうだ。


「魔力の切れた魔法使いなんて

空になった鍋以下っすからね」


ネルドで戦っている魔法使い

人員の育成は学園が

魔導院は今居る魔法使いの

補強を受け持っている形だ。


4.バングに魔法が有効、

これが周智されていない。


これは・・・

聞くまでも無いか

これが周智されてしまえば

魔法使いはネルドに行かず

自分の故郷など、大事な場所の

防衛に行くだろうし

また出身地の権力者も魔法使いを

外に出さない。

下手をすると我が身可愛さから

魔法使いの勧誘、エスカレートすれば

暴力を伴った強引な手段にまで

なってしまう恐れもある。


ネルド防衛どころでは無くなってしまう。


知らせない方がイイのだ。

教会は間違いなく情報操作を

行っているに違いない。


クロードやゲアの話っぷりから

察するに弱点は愚か

バングそのものですら

秘密扱いのようだ。


しかし、そうなると

今度は俺の安全が危うい

これまで「バングの弱点は魔法」を

喧伝しまわっていた。

昨夜なんぞはベレン目の前で

実践して見せてしまった。


んー

でもこれは考え過ぎか

当初は早急に始末する予定

だったのかも知れない。

それが今だに片付かない

俺が居なくともいずれは

バングの存在と

その弱点に関しては

露見してしまうだろう。


今も現役でいるとして

パウルならどうしてくるか。


魔族の戦線投入。

王にその命令を出させる為の

餌の準備と

説得役に俺を懐柔か・・・。

うーん、甘いかな。


「どうしたっすか?」


考え込み始めてしまった俺を

不審な目で見るクフィール。


後で考えるとして

今はコイツから聞けるだけ

聞かないとな。


5.仮面の何が「全然わからないっす」なのか


「何って・・・全部っすよ

これが骨なのか石なのか

何で出来ているのかすら

分からないっす。

生き物なのか、未知の魔法生物なのか」


ここで俺は反応した。


「魔法生物ってなんだ?」


魔法そのものが黎明期のこの世界で

魔法生物など、恐らく高度に当たる

技術になるのに、その概念だけは

もうあるのか。


「あーいわゆる生物で無い

モンスターの総称っすよ。

嘘か本当か知らないっすけど

勇者ガバガバが魔王の作り出した

巨大なハエを退治したとかしてないとか

それも、そう呼ばれてたっす」


ハエ?

何だそりゃ

ババァルが作ったものなんざ

何一つないぞ。

何にも出来ないぞ、あいつ。

メシひとつ作れない

食うだけ

甘い物好きな

餡子食う魔王だぞ。


『・・・・。』


幻聴に嫌味を言っても仕方が無いか。

それにお姫様だから

何にも出来なくても当然っちゃ当然だ。

炊事洗濯が得意な王族っつうのも変だ。

その辺は庶民的にならない方が

カリスマ的には良さそうな気がする。


また間が開いてしまう。

いかん

考えるのは後だ。


「ふーん。魔導院では

魔法生物の生成に成功してるの?」


「出来るワケないっすよ

きっかけになる手掛かりすら無いっす」


快活に笑うクフィール。

おい、関係者なら恥ずかしがる所だぞ。

何笑ってんだ。


「その前の段階に当たるんすかね

人形を魔法でひとりでに

動かす研究してる人

魔界から悪魔を呼び出す研究を

している人ならならいるっすよ」


前者はゴーレムとかリビングスタチュー

後者は普通に召喚か

確かに魔法生物の生成は

これらのハードルの先にありそうだ。


「その研究者とやらに会いたいな」


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