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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第八十一話 ドーマ祝賀会

トーマス

9大司教の一人で

建設関係の責任者だそうだ。


前回、会って無いな。

どこで何してたんだろう。


そうなると色々と納得だ。

ネルド防衛が第一で戦力を

そこに割いてしまっているなら。

他が手落ちになるのは道理だ。


万が一の時に自衛をしてもらうなら

ドーマの軍所有の許可も分かる


お前達を守る余裕は無い

でも武力は持つな。


これではあんまりだ。


ただその武力がベレンに一斉蜂起を起こす

それが怖いので監視だけしたい

特にどうこうするつもりは無いので

あんな

あんなって言っては失礼だが

シスターが常駐でも良い

というか人員に余裕が本当に無いのだろう。


「んーでも、そうなると武器がなぁ」


俺はドーマ軍の武装のナマクラ具合を

ゲアに説明した。

俺の新調したショートソードも見せる。


「これもなぁ・・・。」


ショートソードを渋い表情で

見ながらゲアは答えた。


腕利きの鍛冶職人も

ほとんどネルドに在住しているそうだ。


「復興の建材なら武器ほどの

腕前はいらねぇからなぁ」


ベレンに来ているドワーフの職人は

戦関係よりバリエア復興要員だそうだ。


「考え過ぎだったか・・・。」


「今回はタマタマよぉ、そういう

考えが正解の時もあらぁな。

大事なのは一人で決めつけない

ってこった。」


ガハハと笑いながら

ゲアは俺の肩を叩いた。


励ましてくれているのだと解釈した。


「ありがとう。また相談に乗ってくれ」


「おぅ。俺で良けりゃいつでも」


俺は礼を言うと自分の準備を

始める為に部屋まで戻った。


風呂に入り、汚れを落とすと

部屋に戻った。


部屋には既にメイドが待ち構えていて

なんか魔族の正装に着替えさせられた。


「やっぱり黒と赤なんだな・・・。」


なんだか、よそ行きのナリ君みたいになった。


「なんか、おめかしナリ君みたーい」


ノックも無く部屋に入って来て

俺を見るなり第一声でミカリンは

そう言った。


「お似合いです。マスター」


アルコとミカリンもドレスだ。

やっぱり赤と黒が基調の衣装だ。


「そういう二人も、良く似合ってるな」


二人を見て、俺はババァルを

思い出していた。


二人も綺麗だが

全然ドキドキしないのは

ババァルを先に見て

より上がある事を

知ってしまっているからだ。


美しさと可愛さ

怪しさと妖しさ

それらが絶妙に同居した人だった。


今更ながら思う

俺はババァルが

本当に好きだったんだなぁ


『・・・・。』


おいおい

これまでババァルの幻聴は

何度か聞こえていたが

とうとう

無言の幻聴が聞こえて来たヨ。

いよいよ俺もヤバいんじゃないか。


「どうかした?」


俺の様子を気にした

ミカリンが俺を覗き込んで

そう聞いて来た。


「ん。つい見とれてな」


喜ぶ二人。

俺も口が上手くなったな。


時間になると

会場まで案内され

ひな壇すぐ横のテーブルに

座らせられた。


救世主ご一行様

そう書かれた三角席札に笑いそうになる。


内々の祝賀会はスタートした。

豪勢に盛られたナリ君を見て

三人とも爆笑を必死で堪える。


「王子様かよ」

「王子様だよ」

「じゃいいのか」


スピーチは無いと聞いてホッと

胸を撫でおろす俺。

昼間でもう懲り懲りだ。


運ばれてきた料理は

何と言うか味が濃い

辛いのも多く

ミカリンは微妙な顔になった。

対照的にアルコは目を輝かせ

次から次へと平らげていく

ベアーマンの生息地と地理的にも

近い魔族だ。

採れる食材も似通るのかもしれない。


「マスター。」


盛り盛りナリ君がテーブルまで来た。

こっちを誰も見て無いので

遠慮なく笑う俺達。


「・・・自分でも笑いました。」


何と言うか

達観、いや諦めか

遠い目のナリ君だ。


「ご相談なんですが・・・。」


なんだ

教会側に何ら思惑の無い事は

祝賀会前にルークスに伝えた。

明日のパレード前に

グレアを教会に連れて行く

約束も取り付けてある。


「試練がありまして・・・。」


王になる為の試練。

いくつかあるらしい

これらを制覇して

初めて王と認められるそうだが

一体何が困るのか

聞いてい見ると


国を救う程の偉業


と言うモノがあるそうだ。


「そんなの形式的なモノじゃないのか」


そうそう国の存亡が掛かった事態が

王が変わる度に都合良く起こるか。


「それが、ガチなんですよ」


従来は、それがバルバリスとの

戦争だったらしい

最前線に立っては討たれたりして

代替わりしてたそうだ。


何してんの

この一族は


「バルバリスと戦争するか?」


ゲアの話が本当なら

今ならベレン堕とせるんじゃないかな。

俺はもちろん冗談でそう言った。


「無茶です。マスター」


そうだよね。

でも、これは俺に相談されても

どうにもならんぞ。


そんな考えを突然遮る大きな音。


鐘と笛・・・いやサイレンか

緊張感のある響きだ。

どう考えても不吉な音だ。

音の元はベレンの方角だ。


「ルークス何事だ!?」


ナリ君がすかさず大きな声を出す。

ルークスは首を振った。

周囲は慌ただしくなり

直ぐに衛兵が会場に駆け込んで来た。

衛兵はルークスを見つけると

駆け寄り何やら報告をしていた。


「ええい、何事だ」


ナリ君はもどかしそうだ。

衛兵に続いてゲアが会場に入ってきた。

首脳陣ではあるが魔族のお祝いという事で

遠慮したと言っていたが

単純に正装が嫌なだけだろう。

ちょっとしか話をしていないが

俺はそう確信していた。


ゲアは会場を見回し

俺を見つけると

こっちに走って来た。

相変わらずドワーフは遠近感が狂う

比率の体格だ。


「兄ちゃん!早速ですまねぇが

助けちゃくれ無ぇか?!」


「何事だい」


俺は残りの料理の中から

食い残したくない料理を

選んで口に放り込む


多分このままお開きだろう。


「例の魔物が出たんじゃ」


バングか

まさかネルドが墜ちたのか

まぁその辺は後で聞こうか


俺は口元を拭うと

ナリ君に話しかけた。


「ナリ君、やったな試練の方が

わざわざ、やって来てくれたぞ」


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