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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第七十九話 止まるんじゃねぇぞ

「泣き声が聞こえましたが

何をしたんですか。」


アルコが怯えた表情で聞いて来たが

撤退を優先した。

車で話すとだけ言って

俺達は逃げる様に教会を

後にした。


あんだけ追い詰めて話させたのだ。


ゲッペの言葉に嘘は無いだろう

そうなると、今度は教会の

対応の甘さが気になる。


俺は終始視界から消える事の無い

ドーマの外壁を見てそう思った。


明らかに強固すぎる。


出入口も少なく

馬車が通れる大きさの門は

ベレン側の一か所だけだ

南側には通用門程度しか無く

大勢の出入りを制限している様な作りだ。


俺は窯を連想していた。


ベレン側から軍を出し

一番近い、その大門を封鎖すれば

市民の脱出は困難だ。

封鎖が容易に出来る作りだ。

後は中に火を放てば・・・


1人1人切り殺していくより

遥かに少ない労力で全滅させられる。


ここまで大掛かりな設備・施設を

設けて置きながら

教会の監視は緩すぎる。

それとも、逆に安心しているとも

考えられる。


いざとなったら燃やせばイイと

そう言う設計の街だ。


「次はドコいく?」


ミカリンがウキウキで俺の思考を

遮ってきた。

切り替え速いな、見習おう。


ここで考えても確証は得られないし

しかし、誰に聞けばイイんだ。

知っていたとしても

正直に「ハイ焼き殺すつもりです」

なんて言うワケ無い。


困ったな。

ええい切り替えだ。


「・・・修練場に行ってみようか」


これも妙といえば妙な話だ。

武器はもちろん、軍の所有まで

許可しているのだ。


まぁ見てみないとなんともだ。

俺はアモンキャリアを

軍の修練場に向けた。


着いてみてビックリだ。

なんていうの

スパルタ?

なんかスリーハンドレットみたいだ。


ナリ君が痩身だったせいか

魔族は細いという先入観が出来上がって

しまっていたが一瞬で覆る。

屈強な魔族が重装備で

ぶつかり稽古している。

結構、離れているのに

ここまで防具のぶつかり合う音

怒号が聞こえて来た。


「そう言えばロウやラングはいい体格だったな」


エルフの里はもちろん

ベレンやバリエアの軍でも

こんな過酷な訓練はしていなかった。


「すごい・・・ね」

「すごいですね」


二人とも初めて見る光景に

圧倒されていた。


警備の衛兵がこちらにやって来た。

俺はルークスから貰った

免状みたいな書状を差し出し

怪しい者で無い事

見学を希望している事

そして、ちょっと躊躇いながら

訓練を体験したい旨を伝えた。


「あ、やっぱり無理ですよねー。」


言ってすぐ自ら否定してしまった。

俺も圧倒されているのかな。


書状に目を通した衛兵は

超ビックリした顔になり

慌てて仲間の所に駆け出す。


免状を広げ何か叫び

俺達の方を指さしていた。


「何?どうなってるの」


「俺が知りたい。もうダメでいいから

免状だけ返してくんねぇかな」


不審に思ったミカリンに

俺はそう返事をした。


訓練を中断した集団は

衛兵の話を聞き

どよめき始める。


指揮官みたいなのが号令を掛けると

集団は見事な速さで整列し

衛兵は走って俺達の方まで戻って来た。


「大歓迎であります。こちらへどうぞ」


怒って無い様子なのでホッとし

衛兵に導かれるまま車で移動した。

整列した軍隊の前で

俺達は促されるまま車から降りて

整列の正面に並ぶ。


「救世主殿に敬礼ーーー!」


指揮官の号令に合わせ一斉に

敬礼をする。

なんか地面揺れたぞ。


前へどうぞみたいな

ジェスチャーをする衛兵

さっと後ろに一歩引く

アルコとミカリン。


あ、お前らズルいぞ。


衛兵も指揮官も

そして軍隊も

なんか期待の篭った眼差しで

俺に注目している。


一言言えって事だよね・・・。


「何話せばいいの?」


俺は超小声で衛兵に助けを求めた。


「何でもどうぞ。皆

救世主様に感謝を捧げております」


なんでもってハァー

何言えばいいんだ。

校長先生ってスゴかったんだな。

苦手だが、やらない訳にはいかなさそうだ。

俺は諦めて一歩まえでた。


「王は無事ご帰還なされたが

本当の試練はこれからだ。

バルバリス側が何を言ってくるのか

また、その流れ次第でドーマが

どうなってしまうのか

正直、予断を許さない状況である。」


やだ

真面目に聞いてる。

なんだ、このガキみたいな空気は無い。

良く訓練されているようだ。


「ただ、諸君らの命題は簡潔である。

昨日の自分を超えろ

最強たれ

いかなる事態になろうとも

不断の努力は決して無駄にならない。

・・・以上だ。」


恥ずかしい

さっさと後列に戻る俺。


指揮官の号令で再び敬礼だ。

さっきより揺れる。

お礼の言葉も

空気がビリビリいってるし


その後、指揮官と話して

稽古を付けてもらえる事になった。

一瞬でフルアーマーにチェンジした

アルコを見て指揮官は

腰を抜かしそうになった。


例によって「これが魔法だ」で

全て切り抜ける。


アルコに比べてミカリンは軽装だ。

買ったばかりのロングソードを

試したくてしようがない感じだ。


魔族側に油断は無かった

しかし、それでもミカリンの圧勝だった。


ぶつかり合いではミカリンに勝ち目は無いが

そもそもミカリンに触れる事が

出来る者は居なかった。

振り下ろした剣を足場に

一瞬で喉元に迫るわ

レベルの違いがまざまざと出ていた。

ミカリンもレベル39だ。

俺の名付補正と

魔法まで加えれば

もうクロードでもヤバいだろう。


「・・・スゴイ」


指揮官も息を飲みそう漏らした。


長かった。

登場から120話以上経て

やっとこのセリフが言える時が来た。

俺は満を持して取って置きのセリフを言った。


「ああ、ミカはスゲェよ」



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