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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第五十六話 危険人物


「悪魔の動きが一切無いんだろ」


根拠は多少ある。

リスタートから今まで

悪魔系に一切遭遇していない。


天使はこんなに頻繁に会っている。


天界側が魔界の動きを

知りたがっているのと同様に

魔界側だって天界の情報が

欲しいハズだ。


これだけ下級天使が巡回しているのに

一切動きが見られない。

人界を諦めたのかと思える程だ。


これは不気味だ。


異常事態

ウルはそう言っていたが

魔界側の動きも今までとは違うのだろう


純粋な悪魔ではないが

俺は悪魔人間だし

レベルアップにより

下級とはいえ悪魔に変化している。

なんらかの接触がありそうなものだ。


それが全く無い

兆候も見られない。


魔界側の情報が欲しい。

俺はその餌というか

パイプというか

今の所

恐らく唯一の可能性なのだろう。


それに天使がマンマークしているのだ

利用しない手は無い。


悪魔側の接触が無い事を伏せ

俺は上記をラハにぶっちゃけた。


「成程、それならばあなたの

存命を念押ししてくるのも納得です。」


この時のラハを見たブリ。

面白く無さそうな表情を浮かべた。


情報の為に賭けに出るより

安全を最優先するならば

俺の殺害、ミカリンの解放が

優先される。


揉めている天界

ブリに別の命令を出した

保守派でもいるんじゃないか


そう考えると

無理やりついて来て

問答無用で俺を討ちに来た

こいつの行動も納得だ。


ブリッペは実は

バカっぽく振舞っている

キレ者・・・・


「えーわかんなーい。

どうして納得なのー」


じゃないな。


「で情報は頂けるのですか」


ブリを無視して

半ば開き直った様な感じで

ラハは聞いて来た。


「天界の情報と交換で教えてやる」


これはあまり期待出来ない

ミカリンの権限を恐れて

大事な事は教えないまま

やるべき事だけ命令して

地上に降ろして来るだろう。


「つかミカリンが聞き出すか」


「ええ、それを恐れてか

詳しい事情を知らされないままです」


ガックリ来ているラハ。

もしかしたら曲者っぽく

見える正直者なのか


うーん

その判断はまだ早いな。


「まだ接触は無い。次までに

何かあれば教えよう。

俺も殺されたく無いからな」


俺は「殺されたく」のトコロで

ブリッペを睨む。

睨み返して来るブリッペ。

ただの馬鹿か曲者か

うーん分からん。


これで

何とか次までの命を繋げたいトコロだ。

今は戦っても勝てない

レベルアップの時間稼ぎが最優先だ。


その後は雑談になって行ってしまった。

ガールズトークの脇で

ラハは俺に言って来た。


「しかし、ウルの言っていた通りですね」


俺の事か


「あいつ、何て言ってたの」


「信頼できる人物だと、それが故に

長時間の会話は危険とも言っていました」


危険だと

魔法まで鍛えてやったのに

あの恩知らずが


「危険?俺の何が危ないんだ」


無害だろ

こんなチンチクリンだ。

今はな


「ええ、私もそう聞いたんですが

説明しうる言葉を持っていないのか

人に説明出来る程、自分の中で

整理が出来ていないのか

会えば分かると不機嫌そうに言うだけでした」


「で。ラハッチはどうだ

俺は危険なのか」


「・・・言った通りだと思いますね」


これは詳しく知りたい

不要に危険を感じさせても

俺にメリットは無い

むしろ油断して欲しい。


「どの辺が危険なんだ?」


俺の質問に頭を掻くラハ。


「お恥ずかしい話ですが

私もウルと同じ状態です。

うまく説明出来ません。

あえて言わせていただけるなら

あなたはハッキリと正直に真実を語る。

しかし、それに頷いてばかり

いると取り返しの付かない状況に

飲み込まれそうな不安と申しましょうか

うーん・・・やはり上手くいえませんね」


詐欺師の称号は無いぞ。


そろそろ帰るとの事なので

俺は最後に言っておいた。


「揉めてる連中には今の事態を収拾すれば

その問題も自然に片付く、関連性があるのだ

と嘘をついてまとめ上げろ。

早くしないとイクスの胃が心配だ。」


ガン無視されるかとも思ったが

ラハは予想外に喜んで答えた。


「成程、やってみます」


ブリッペは真顔で言ってきた。


「ねぇ本当に私を奴隷にしたいの?」


冗談だって言っただろうが

駄目だ

コイツとは意思の疎通は不可能だ。


「あぁ、受肉で人状態でないと無理だな

ああ残念だ」


「えーどうして」


「こうなるからだ」


俺は悪魔化してすぐに戻す。


「天使状態では一緒にはいられない」


不意打ちの嫌悪感だったようで

ラハもブリも目を丸くしている。


「・・・納得。」


二人は空へと戻って行った。

見送りに手を振る俺達。

横のミカリンがボソッと

俺に言ってきた。


「ブリが欲しいの?」


「そう聞こえたか?そうならない方向に

全力で舵を切ったつもりなんだが」


「だよね。」


どこか嬉しそうなミカリンであったが

大体、こういう前フリって


いや、考えるのは止めよう。



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