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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第五十五話 生殺与奪


ミカリンは質問

というよりは尋問になるのか

天使長権限でラハから

ひたすら情報を聞き出す。


主に天界の現状と

バングに対する天界の

今後の対応についてだ。


ウルの時よりも進展が

あったはずなのだ。


「ええ~そんなぁ~」


情けない声を出して

ミカリンはしゃがんでしまう

脱力してしまった様だ。


ラハは申し訳なさそうにしていた。


大体は俺の予想の範疇だったが

身内だと見通しが甘くなるのか

ミカリンはショックを受けている。


天界の現状は

相変わらず前回降臨の

責任追及問題で揉めていた。


医療の神イクスファスが

現在進行形の問題に対して

指揮を執っているが

上手くいっていない。


当たり前だ

上手く行くわけがない


動かない人間相手に

手の器用さや知識で

薬屋ら手術やらで処置を

施していくのが真骨頂の

医者だ。


千変万化する事態に

確証の無い見切り状態でも

指示を出さねばならない

それも責任をもってだ

それが指揮官だ。


そんな大雑把かつ楽天家な

俺が正義だバカ野郎タイプ

が最適の指揮官など

向いているハズが無い。


俺はイクスの胃が心配だ。


生真面目で丁寧

自分よりも他人を気遣う

決して仕事に手を抜かない


こういうタイプが

その成果を評価され

上役に抜擢され

中間管理職になると

十中八九、胃に穴が開くのだ。


向いてないのだ。


まぁ医術の神なら

自分の胃ぐらいなんとするだろう。


本題に戻すと


バングに対して天界は静観

情報だけは随時、下級天使を

地上に派遣し状況報告をさせる。


「放置すれば余計に悪化するのは

分かり切っているのに」


怒り気味のミカリンだ。

もっともなご意見だが


大きければ大きいほど

腰は重くなる。

現状、放置して悪化しても

天界自体には直接被害が無い

で、あるならば

わざわざ動いたりしない

推移を見守る。

人間が滅ぶ寸前まで減らないと

その腰は動かないであろう


奇跡なんていつもそうだ。


「人界がバングで埋め尽くされたら

祈りを捧げる人間も居なくなるぞ」


それは天界にとって

よろしくないはずだ。


俺はラハにそう聞いた。


「・・・・。」


ガン無視

こいつもかよ。


「アモンの質問は僕と同等ね」


ミカリンが権限を発動させる。

ラハはほっとしたような表情で

返事をし始めた。


ウルの時もそうだったが

人間と口を聞いては

いけないルールでも

あるのか。


「そうなる前に強制的に

ゲートが展開します」


数は分からないが

これ以上人間が減ったらマズい

そんなリミットが設定してあり、

それを下回ると

スプリンクラーよろしく

全員強制出動のようだ。


逆に言うと

その警報が鳴るまでは

なにもしようとしなくなる。

今が丁度そういう状態だ。


「魔界はどうする

これを機に進軍してくるんじゃないか」


俺の言葉にラハが身を乗り出す。


「それです。魔界が何を

仕掛けて来るかご存じありませんか」


そうだ。

こいつらの本来の敵は魔界の悪魔だ。

バングと悪魔の関係を

はっきりさせないといけない。


バングが悪魔にとっても敵だった場合

率先してバング退治に消耗すれば

漁夫の利を悪魔に与えてしまう事になる。


そのケースの場合は

悪魔が対バングで消耗するまで

待つのが最適だ。


今のラハの言葉で

俺はやっと納得が言った。

なぜ俺達は見逃されているのか。


俺は手を伸ばし

ミカリンを優しく撫でた。


「うぇ・・・何何??」


突然の俺の行為に驚くミカリン。


「許せない」


権限が発動しているので

攻撃に移る事ができないブリッペは

奥歯をギリギリ鳴らし始める。


「安心したよ。やっと安心した

生きた心地がしなかったんだよ

ずっとな。」


質問とは関係の無い俺の言葉だが

ラハは用心深く聞き取ろうとしている。

俺は続けた。


「なんでミカリンを生かしておくのか

天使長権限を持った者が奴隷だ。

なんで生かしておく?俺とまとめて

殺してしまえば呪いとやらも終了だろ」


「・・・。」


ラハの口元が少し吊り上がる。


「そーだよー地上で

どーなるが本体は平気なんだし

早くぶっコロそーよー」


捲し立てるブリ。


「・・・あ」


ミカリンはなんとなく分かったようだ。


「まずミカリンの権限だが、目の前に

いる天使に限る。行使するに当たって

対象の前に姿を晒す必要がある。」


「うん。言って無かったっけ」


ミカリンの言葉にコケそうになるラハ。

ブリは殺そうと言い続けていた。


「うん、やり取りから

想像はついた。

出来るなら天界に

待機してる軍団に救助を

要請出来るハズだ。

その位の危機は何度もあった

なのにしなかった

つまり単純に出来ないんだ」


俺は3天使に対して続けた。


「これは、慌てて始末しなくても

大丈夫な理由だ。目の前に

行かなければイイ

現状行けるのは下級天使だけだし

大した事は出来ない」


これは殺さなくても良い理由だ。

殺すとよろしくない理由が他にある。

俺は続ける。


「殺してしまった場合のデメリットが

不確定ながら大きい。害が軽微なら

生かしておく、危なくなりそうなら

改めて殺せばよいのだからな」


「僕がアモンの奴隷でいる事の

天界のメリット・・・・」


なんだミカリン

考えて無かったのか

良く平気で生きてこれたな

まぁ本体が絶対無事だから

俺と違い完全に遊び

感覚なんだろうな。


「メ・・・めりっとってなあに」


そこからか

つか

ブリッペはもう黙ってて



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