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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第五百十一話 魔王集合(予定)

スガソーリの進行速度が予想外に

順調で速かったせいで


決して

決して改造に熱中し過ぎて

忘れていたのではない。


とにかく速かったせいで

ベレンまで後少しの所まで来てしまっていた。


俺は慌てて用事を済ませるべく

単身スガソーリから飛び立った。


ビルジバイツにあの異臭を

止めてもらうのだ。


辿り着いてもあの匂いでは

戦闘どころではないのだろう。

人払いが目的ならば

もう十分なはずだ。


俺はセンサー系に集中しながら飛行したが

以前よりも反応は少なくなっていた。

ただ匂いが無くなったワケでは無いので

人化は止めておいた方が良いだろう。


それよりも驚いた事があった。


黒い球体は予想よりも

大きくなっていた。

それも既に直径20mを超えていたのだ。

相変わらずセンサー系に反応は無いが

ここまでデカイと流石に昼間では

異様に目立った。


ベレン上空まで来ると

より鮮明に球体を視認する事が出来たが

大きくなっただけで

他に変化は見られなかった。


センサー系、完全膝カックン耐性が

接近する飛行物体を感知した。

俺に気が付いたビルジバイツが迎えに

出て来たのかと思ったが

聞こえて来る羽音が異なる気がした。


ヴヴヴヴヴッヴ


接近する物体を見て俺は悲鳴を上げた。

迎えに出て来たのはベブちゃんだったのだ。


「こんなに他人に懐くのは珍しいのじゃぞ。」


全長十メートルの蠅に好かれても

全く嬉しくないどころか

恐怖だ。

もうこのエピソードだけでも

恐怖映画一本作れる。


「好き嫌いがあるのか。」


ベブちゃんは生き物では無く

ビルジバイツの権能で作られた

疑似魔法生命体だ。


「仮初でも命は命じゃからの。」


ベブちゃんから逃げる様に

噴水公園まで全力降下した俺は

ビルジバイツと再会を果たし

今も複眼や手足をキレイキレイしている

ベブちゃんを眺めながら

そんな話をしていた。


「で今日は何をして遊んでくれるんじゃ。」


「いや、今日はな」


俺はこれまでの事を説明した。


「そんなワケで異臭はストップして欲しいんだが」


「それならば、もう散布は中止しておる。

まぁ染みついた匂いが残っておるが

直に消えよう。」


「ストップしたって事は・・・。」


俺は気になる事を聞いた。

止める時期、或いは条件は最初から決まっていたのか。

それとも止める指示が出たのか。


時空を超えての連絡手段。

恐らくオーベルの予知以外は無いと考えられる。

後者の場合はシン・アモンが

こちらに来ている事になるのだ。


そして前者・後者いずれにしても

竜王の出現は間近だと推測されるのだ。


「爺がこの間やってきての

もう止めて良いと言われたのじゃ。」


前者でも後者でも無かった。


「フクロウに移動出来る距離じゃない気がするが」


「ダークが陰にしまって連れて来たんじゃ。」


成程

あいつの行動範囲

飛行出来ない事を含めて考えれば

俺以上と言っても良いだろう。


シン・アモンはまだ向こうって事か。


「しかし中止命令が出たって事は」


「ああ、近いのじゃろうな・・・。」


そう言って頭上の球体を見上げるビルジバイツ。

顎から胸元のラインがキレイだ。

って

なんか若くなってないか。

以前の熟れ切った悪魔の実だった

妖艶過ぎる体が

今は18位のストライクゾーンで

妖艶さが少し影を潜め

健全な色気が醸し出されている気がした。


「ん、ああ力を大分使ったからのぅ。」


俺の視線の意味に気が付いたビルジバイツは

自身の体を観察する様に確かめながら

そう言った。


「人が居ないんじゃ補給も無いからなぁ。」


「正直、中止はホッとしておるのじゃ

これ以上若くなると最大顕現は出来んからのぉ

・・・お主の好み的には申し訳ないが」


「いや、今ぐらいが丁度良い

って

俺の好みはどんな風に聞いているんだ。」


「幼女が良いのじゃろう」


悪魔側で吹聴している犯人は誰なんだ。

頭を抱える俺は

次の疑問に気が付いた。


「ん?散布が終了したんなら

ベブちゃん、もう良いんじゃないのか。」


「うむ、既に力の供給は止めておる。

ただこれまでの分を使い切るまでは

消えんのじゃ。」


こたつを切っても直ぐに冷えない感じか。


「そうか。

それでビルジバイツはここに残っているワケか。」


勝手に暴れても迷惑になる事は無いが

放置は気が引けるだろう。


「それは単純に面倒くさいからじゃ

どうせココに集合じゃからの。」


「集合?」


「なんじゃ・・・知らんのか

竜の王を倒す。

動ける魔王は全員集まる予定じゃぞ。」


魔王集合。

何かすげぇ言葉の響きだ。

壮大な雰囲気の中に

ちょっとバカっぽさを感じる。


「何か失礼な事を考えてはおらぬか。」


原因の一つである

目の前の魔王が俺を訝しがった。


「いや、魔王って今何人いるんだ?」


「それがワシにもよく分らんのじゃ。」


この報連相のグダグダさは

相変わらずだ。


ババァルは行方不明だ。

ビルジバイツは目の前

ヴァサーとアイギスは会った。

俺の知らないのが後8名は居るハズだ。


移動スライドしてなきゃだがな。」


ん?

仮に移動スライドが発生していても

神側の12柱の様に補充されるのかも知れないな。


「まぁ集まったメンツで全員じゃ

考えても変わらん。」


考える気が無い。

でもそれもそうか。


ギッ


不意にベブちゃんから

そう言う音が響いた。


「時間じゃ。」


振り返る俺にビルジバイツはそう言った。

見ればベブちゃんは形を崩し

砂というか灰になって行く最中だった。


「・・・お疲れ。」


疑似生命体と知っていても

俺はそう声を掛けずにはいられなかった。

使命を果たして去る者に

もっと良い言葉があっても良いのにとも思うが

俺の語彙では無理だ。


俺から漏れた哀愁を感じたのか

ビルジバイツが嬉しそうに言った。


「会いたいならまた出すが」


「いえ、いいです。」


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