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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第五百二話 エグザスの病

入れ替わる様にヴィータが入って来た。

何故か分からないがユークリッドの

馬車には護衛の聖騎士が居ないのだ。


まぁいざとなれば緑のバッタ怪人になれるので

どんな護衛より強いのだから

自分のトコロより他所に優先的に回したのだろう。

ユークリッドらしい采配だ。

そのせいでこのように

入ろうと思えば入り放題だ。


でもノックぐらいしたらどうだ。


「ユークリッドは行ったのかしら。」


出て行ったのを確認してから入って来た。

このセリフは直ぐに戻って来るかを

返答から探ろうとしているのだろう。


ユークリッドの馬車に俺が居る事に

驚かずにそう言った。

もしかしたら入るトコロから見ていて

ユークリッドが居なくなるのを

じっと待っていたのかも知れない。


「あぁ会議の開催時間の決定を頼んだ。

突然だし調整は結構大変なんじゃないかな。

つか、ヴィータも探すんじゃないか。」


「それは無いわ。

私の方は24時間、いつでも構わないと

言ってあるのだわ。」


「・・・もしかして

ユークリッドと会うのを嫌がってないか。」


「嫌ではないのだけれども

正直、苦手なのだわ。」


それは嫌がっているって事だ。


そこでヴィータはハルバイストを見て言った。


「こちらの人はどなたなのかしら。」


ハルバイストより先に

俺が言わねばならないな。


「ああ、途中で拾った難民の子だ。

機械に詳しいので助手にする事にした。」


「そう・・・初めまして私はヴィータ。

12柱、豊穣を冠する女神にして

アモンが恋をした相手なのだわ。」


絵本効果を最大限利用するのはいいが

こんな子供に何を張り合ってらしゃるんでしょうか

豊穣が聞いて呆れる貧しい心だな。


ハルバイストを見て見ると

必死に平静を保とうとしている事が窺えた。

なんだ

そんなに天界での様子と違うのか。


「で、その豊穣神様は馬車の主の

居ない隙を狙って誰に何用なのかな。」


俺の煽りにちょっと拗ねた様子で

ヴィータは答えた。


「あなた以外に用など無いのだわ。

それに用が無くったって・・・

おかえりなさいくらい言いたいの。」


何だ。

かわいいじゃないか

ヴィータのクセに

それに何か綺麗度も増してやがるし

ハルバイストに感謝だ。

居なかったら

もう押し倒しているかも知れない。


「ただいまだ。」


「ふふ、おかえりなさい。」


そこでヴィータは一度

窓のカーテンを少しだけ開き

外の様子を確認してから話だした。


「でも隙を狙ったのはお察しの通りよ。

他者を交えず先に聞きたい事があったのだわ。」


やっぱり

お帰りより別な目的があったのか。


「あなた、一体何をしたの?」


「何って・・・何?」


色々あり過ぎて

どれの事やら。


「アホデルタ様の一件は全面的に

ユークリッドがいけないのだけれども

私もあなたから見れば加担した側で

強くは言えないわ。

一番悪いのはユークリッドだけれども。」


ユークリッドのトコロは

全面的に同意だ。


「アホ野郎がどうかしたのか。」


「不気味なのだわ。」


それは最初からだろう。


「窓辺で黄昏ながら

たまにあなたの名前を

呟いて隆起させていらっしゃるのだわ。」


やめろ

想像したくない。


「完全に恋する乙女なのだわ。」


ああ

肉体的な一部を除けばな。


「口説いたのかしら。」


「お前も見ていたから知っているとは思うが・・・。」


美の権能に当てられ

前後不覚のトリップ状態だ。

仮に行われたとしても

犯行時に責任能力を喪失していた。

と裁判で勝てる自信があるぞ。

裁きの神はもう居ないが


「それは知っているわ。

その後よ。

会って口説いたり・・・。」


「してません。」


後ろから襲われただけだ。

俺は強めにヴィータにそう言った。


「そ・・・そう。それは信じるのだわ。

でも次にアーテイム様よ。

神々は大騒ぎなのだわ。」


「アーテイムがどうかしたのか。」


「捧げる時来たりと言い出して・・・。」


ほーっ


「捧げるって何を?」


俺は真剣演技モードですっとぼけた。


「は・・・初めてを・・・。」


「初めてって言ってもピンキリ

色々あるなぁ。

おつかいから始まり果ては月面着陸とか

一体、何の始めてを捧げるって

ん?」


変態中年モードに入った俺に対し

期待したリアクションを

ヴィータは取ってくれる事無く

瞬間的に恥じらいを投げ捨てた。

この辺りの判断の良さはスゴイ。


「あなたの〇×◇を☆〒させて

アーテイムの★×◇に〇〇込んで

ズッコンバッコンあぁ!!」


「俺が悪かった、やめてくれ。」


折角の美人が台無しだぞ。


「とにかく権能が失われる一大事だわ。

口説いたのかしら。」


間違いだったんです。

タイムマシンがあるなら

あの時の俺に

全力で真実を告げに行きたいです。


「いやいやいや。

それはおかしいだろ。

アーテイムは受肉状態じゃないんだ。

その・・・そもそも出来るのか?」


そういう人の営みを愉しむ為に

わざわざ受肉で下りる、と言う事は

神の本体

今回は義体にそのまま宿した状態では

肉体的な快楽を得られないハズだ。

あのまま実行されていれば

リアル鋼鉄処女アイアンメイデン

食いちぎられてしまっていたかもしれない。

やっぱり禁止にすべきだな。

鋼鉄処女アイアンメイデン


「でき・・・どうなのかしら?」


この理由にはヴィータも

考える余地が十分だったようだ。

勢いが落ち

考え込み始めてしまった。


答えが出るとも思えない。


「ええい、考えても答えが出る気がしないのだわ。」


前の人もそうだが

ヴィータとは気が合う。


「ともかくアーテイム様は

絶対に口説いてはダメなのだわ。」


はい

誓います。


「誓おう!つか

神側の方でもアーテイムを止めてくれ!!」


俺の突然の態度の変更

語気の大きさ真剣さに

ヴィータは圧倒された。


「え・・・ええ、言わずもがなだわ。」


頼むぞ本当に

怖かったんだからね。


「出会う女性みんな手を出さないと

死んでしまう病気なのかしら

今も女の子連れて帰って来てるし

・・・・何かされてない?」


「裸に剥かれて風呂に」


そう言いかけたハルバイストの口を塞ぎ

こいつは純粋に助手だと強調した。

ハルバイストの性別もまだ

見た目で判定出来ない状態の成長ぶりから

ヴィータもそこまで不審には思っていなかった様で

納得してくれた。


「それにそんな病気は

お前のとこの最高神だろ。」


「そうね。それは否定しないのだわ」


これは

諦めの境地だ。

俺も面倒くさいのがイヤで

なお止めたくないなら

ここまで到達しなければいけないのか

いやや

そういう美味しい目には遭っていないぞ。


しかし一度落ち着くも

ヴィータは再び勢いを取り戻して言った。


「それと!!

ユノ様よ!!!」


逃げた後どうなったんだろう。

顔に出たか

ヴィータは俺の表情を見て

確信したようだ。


「やっぱり口説いたのだわね!!」


いやー

アレはなぁ。


「聞いてくれ。」


俺は人間界の常識

社交辞令というものを先に説明し

当時の状況、俺視点で説明した。


気が付くとヴィータは頭を抱えていた。

ふと振り返ると

ハルバイストまでも頭を抱えていた。


「あなたの立場や気持ちは理解したのだわ。

でも大変な事になっているのよ・・・。」


「上手く逃げたと思ったんだが。」


「根本の解決にはなっていないのだわ。

恋をした女が一人の時に

何を始めると思っているのかしら。」


知らんわ。

つか

知ってはイケナイ気がする。


何と準備の為

アホデルタがイクスファスの世話に成程

酷使されたそうだ。


「漏れた権能で私も綺麗になって

まぁ良い事もあったのだけれども。」


綺麗に見えたのは

気のせいではなかったのか

というか


「何の準備だ!?」


口から出た後で後悔した。

答えの聞きたくない案件だ。


そこでヴィータは何かを察知し

素早く窓まで行くと

先程のカーテン除けチラ見をした。


張り込みの刑事みたいだ。

・・・見た事ないけど


「って噂をすればなのだわ!!」


小さい声でヴィータは叫び

分身の術でも練習しているかのように

反復横跳び的な動作をし始めた。


「隠れるのだわ!!

バラしたら殺す!!」


豊穣を冠する女神のセリフとは思えんな。

それほど取っ散らかっているのか。


「おいらも隠れるぜ。」


ハルバイストもそう言って

ヴィータと奥の部屋に行ってしまった。

何か言う間もなく

人の気配とドアをノックする音が聞こえて来た。


おばちゃんが来た。


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― 新着の感想 ―
[一言] 500話ごえの大作おめでたい そこデビからのファンです ぞくデビ読み始め当初は「なんでミカがヒロインしてんだ、ムキー!」となっていましたが 今では「ええいはやくミカリンを出せ!」と一番大好き…
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