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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第四百九十九話 強者の驕り

「正義~!!」

「チャンチャン」

「正義~!!」

「ダダッダン」

「俺は正義~!!」


聞こえないとでも思って居るのか

ウルとジェミスは歌いながら

飛行していた。


ちょっと同情していた自分が情けない。


「ふざけるなぁーーー!!」


瞬間湯沸かしになった俺は

怒りのまま悪魔光線を撃った。


爆発が起きない。


望遠モードで確認すると

壮大に煙を噴き上げる

大地ガイアスシールドの盾を構え

滞空しているウルが確認出来た。


返して貰ったのか。


「良いぞ!ウル。」


「勝手知ったる宿敵に御座います。

我が創造主よ

ご命令を」


ウルはやる気満々だな。


「空は不利だ。

地上まで奴をおびき寄せるのだ!」


「ハッ!」


「大気圏外まで連れ出され負けた天使がいるそうだぞ!

その間抜けに会ってみたい」


「同意でございます。」


お前だろ。

言うまい

これも情けって奴か。


それにしても

パワーアップ版悪魔光線の直撃

良く耐えたな。

物体である以上耐えきれるハズは無いんだが

アレも恐らくハルバイストシリーズの一品だろう。

引き返してカラクリを教えてもらった方が良いか。


その必要は無かった。

望遠モードで捉えているウルの姿。

ウルを通して金属粒子と聖属性が

流れ込んでいるのが見えた。


蒸発する傍から再生している。


胃酸で胃に穴が開かない理屈と同じだ。

じゃあ

開ける方法も同じで良いだろう。


俺は連続で悪魔光線を

敢えて盾を狙って打ち始めた。

反動で地上方向に行く様にする気配りも忘れない。


もう油断しまくりだ。

ラハが居ない上

この高度でこの距離

ウルには攻撃手段が無い。


目論見通りなのか

ひたすら攻撃を受け流し続けるウル。


遠距離攻撃の手段があり

俺の油断を誘う作戦なら

もう油断してるんだから

撃てばイイのに

それが無い

予想通りだな。


大体、盾役だけ居ても

何も始まらないのだ。


どんな先の敵にも命中するメイセラティ

一撃で村程度の集落を吹き飛ばす光の弓

盾役はそいつらが攻撃出来る様に

敵の攻撃から守る為に居るのだ。

まぁ

背中には大事な大事なご主人様が

いらっしゃる様だが

これからどうする気だ。

地上戦に持ち込む

ほーっそりゃ結構だ。

ただ

俺の方に地上に下りる理由が無いぞ。


アーテイム戦の鬱憤晴らし

俺はただただ

遠距離攻撃を撃ち続けた。


ウルは着弾の度

おはじきのように弾かれる様に

下降していき

とうとう地上に降り立った。


何と

安堵の表情を浮かべていやがる。

それもその筈で

地上から大地の精霊の力を

どんどん吸い上げているのが確認出来た。


そうだった。

地に足を着けている限り

無敵だったな。

前回はそれで上で勝負を仕掛けた。


ただ今回の俺は前回とは違うぞ。


俺はスパイクを発動

補給を優先しているウルは

魔法の先制を許さざるを得ない。


足元に光る魔法陣に気が付き

咄嗟に範囲外に離脱するウル

大天使の能力から見れば

スパイクの発動速度など

欠伸が出る程遅い

食らう事は無いだろう。


だがこれでいい

これでゆっくりと足を地に着けては

いられまい。


そして遅れて生えたスパイクを

目にしたウルは

瞬間的に呆気に取られ

直ぐに怒りの表情になった。


生えたのは最下級の軽石みたいな硬度の棘だ。

あれでは食らってもダメーシなど

入らないのだ。


からかわれた。

そう思ったのだろう。


そうではないのだが

そう思ってくれれば

こっちの目論見通りだ。


ダメージの入らないスパイク

一見無駄に見えるが

俺の目的はウルにダメージを与える事では無い。


一度発動したスパイクは

効果時間が終わるまで

他の土形系の魔法が発動しない。

地面の広範囲を自分の陣地にし

相手の土系魔法を使わせない為だ。

ならば

より速く詠唱可能で

消費MPの少ない

最下級のスパイクが最適なのだ。


怒りの表情

もしかしたら

コレを理解していないかもしれないと

判断した俺は

飛び退いた先へのスパイク

ちょっと変えて見た。


ウルの逃げた先

再び魔法陣が光り出すが

今度は退避しようとしなかった。


「ウル!!」


「避けるまでもございません!」


ジェミスの方が分かっているな。


「先刻とは異なるぞ!!」


ジェミスの言葉に

すぐさま反応し効果範囲外に

退避するウル。

間一髪で鋼鉄のスパイク群から

逃れる事に成功した。


「おのれ!」


いや

魔法陣をよく見れば

生える棘ごとに文字が異なるんだが

俺はウルが

そこまで細かく見るワケ無いと踏んでいた。

手足を動かす様に魔法が使える大天使

そんな細かいトロコに注意が行くはずは無いのだ。


そしてその通りだった。


更にもう一つの狙いも

上手く行っている様子だ。


「グホッ!!」


「ジェミス様!!」


大天使ならなんでもない急な加減速。

しかし

生身の肉体では耐えきれる負荷ではない。

プリンを崩さない様に

カラテの試合に挑む様なモノだ。


なんで背負ったままなんだ。


対峙してしまっては

もう降ろす隙はないぞ。

降ろせばジェミスに攻撃が行く

背負ったままでは最大戦速が出せない。


「歌ってる間に降ろせば良かったんだよ。」


俺は再びスパイクの発動に入った。

ウルは緩めの速度で上昇した。


そうそう

同じ場所に生えないのだから

それが良いよな。

そして今回も魔法陣の文字を見ていない。

俺はニヤニヤが止まらない。


今回のスパイク

長さが現時点での俺の

最高全長サイズに設定したのだ。


そのせいで

発動まで今までよりも時間が掛かってしまい

それでウルに気が付かれたが

今から横方向だと

またジェミスに負荷が掛かるぞ。


ウルは咄嗟に大地の盾を下方向に構えた。


「ぐぉおおおお!!」


伸びて来る巨大で長い棘は

まるでキューの様にウルを弾き

そしてビリヤードの玉の様に

ウル達は上空に打ち上げられた。


はい

補給も満足に出来ないまま

空中に来たね。


俺は悪魔光線を放つ為

内圧を上げ始めた。


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