表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぞくデビ  作者: Tetra1031
498/524

第四百九十七話 鍛冶談義

金髪と言うよりは

オレンジに近い髪でクセっ毛だ。

こんな所もミカリンを連想させた。


ストレージ内に子供ミカリン用の服

結局着なかった女の子女の子した服があったので

着せる事にした。


ハルバイストは嫌がったが

洗ってしまったオーバーオールが

乾くまでの間と説得し

渋々了承させた。


本当は水操作で

すぐ感想させる事が可能なのだが

イタズラ心が勝ってしまい

おめかしさせてみた。


神側の御多分に洩れず

ハルバイストも美形だ。

メイクなどを施さなくても

充分に綺麗になった。


「はぁ何か動きづれぇなぁ。」


そう言いつつも

やはり女の子なのか

ハルバイストは悪く無い様子で

そう言った。


お茶セットを出し

そのまま食事にする事にした。

何と風呂に入りながら

喉を潤そうとそのままお湯を飲むと言う

ワイルドな行為をしていたので

慌てて止めたのだ。

受肉に馴れていないと

身体の欲求、

その対処が分かって無い場合が

見受けられた。

ハルバイストもそうだったようで

もう

食う食う飲む飲む


「考えや動きが鈍るから

おかしいなとは思っていたんだがよ。

全く受肉って奴は不便だな。」


空腹をよく分かっていなかったようだ。

俺も一緒になって食った。

食後に例の錠剤を飲ませる事も忘れない。

腸内細菌強化用のアレだ。

当時にコレがあれば

ミカリンもあんなに苦労はしなかっただろうに

まぁ

でもその苦労故の産物だ。


食事の最中もハルバイストは

アベソーリについて熱く語っていた。

感動と同じだけの恐怖を

隠す事無く話していた。


「人に知恵を与えたのは

やっぱり間違いだと反対派の

良い材料になっちまう。」


ハルバイスト自身は人の知恵を嫌がっては居ない様子だ。

鍛冶の神だから人が無知で

鍛冶作業出来なければ信仰もなく

彼女自体の力が集まる事は無いワケだから

それはそうなのか。


俺はココで種明かしをした。

アベソーリの作成者が俺である事

この世界の人間の工業は

そこまで発展していない事を告げた。


「お前さん。噂に聞くアモンか。」


「おっと、よく分かったな。」


向こうの事情を知らない俺が

今度は正解に驚いた。


「うぉおお会いたかったぜぇ!!

ひゃあ受肉万歳だ!!」


神の体そのものならば

こうして身近にはお互い居られないだろう。

先程、呪った受肉を

手の平返しで喜ぶハルバイスト。


「何俺有名なの?」


ユノも会いたかったとか言っていたしな。


「前回の降臨は異例づくしだ。

その最たる根本たる原因

13番目の新たなる魔神将にして

いきなり序列一位。」


他の神々は単純に四大天使の敗北と

受け止めたがハルバイストだけは

俺の駆使したカラクリに興味を抱いていた。


「おいらに言わせれば力というより

知恵の魔神だぜ。」


「鍛冶の神にそう言われると

流石に照れるなぁ・・・。」


勇者シリーズを始め

ヴィータのじょうろなど

ハルバイスト製の武具は

どれ一つ解析し切れたモノは無いのだ。

これはモノ作りにおいて

ハルバイストは俺より遥か高みに居ると言う事だ。

ハルバイストは

むしろ俺の方が会いたかった相手だ。

鍛冶の神ということで

勝手にドワーフみたいな

髭の職人をイメージしてしまっていて

今目の前の餓鬼に尊敬の念を

今一抱きにくいが

話が進む内に修正されて来たようだ。

俺の中のハルバイストリスペクトが活性化して来た。


俺は正直にそう話すと

ハルバイストは照れまくった。

褒められる事に馴れていないのか

取っ散らかるハルバイスト。


その様子を見て

俺は他の神々に少し不満を抱いた。

こんなスゴイ奴なのに

何で褒めないのだ。


「で初めて参考にして作成したのが

コレなんだが・・・。」


俺はそう言ってネルエッダバイスを

その場で生成した。

装飾などを簡易化してあるが

ハンスに渡したネルエッダと基本部分は

同一のモノだ。

そう言う意味で初めてと表現しても

問題無いと判断したのだ。


テーブルの上に横たえられた

ネルエッダバイスを見るハルバイストの

瞳は薄っすらと緑色に輝き

初の不快感を俺に与えた。


ゴッドアイとでも言おうか

神の解析系の能力を使用しているのだろう。


「たまげた。よく出来ているぜコイツは」


「いや、肝心の神聖属性が

持ち手に完全依存だ。」


バイクを作るつもりが

自転車が限界だった。

そんな感じだ。

性能差もその位ありそうだ。


「そこはしょうがないんじゃねぇか

悪魔には存在しない力だ。

理解、その最初の切り口すら無ぇんだ。

理解出来ないモノが作れるワケ無ぇ

逆に言えばおいらだって

悪魔の武具は作れ無ぇぞ。」


試しに創業祭を出して見たのだが

ハルバイストは

ダメージが入りそうだと言って

ゴッドアイの発動を嫌がった。


なんか納得だ。


それからしばらくは武器談義で盛り上がった。

ハルバイストの方も

そう言う話し相手に飢えていたのか

大喜びだった。


その中で

ふと突然ハルバイストは

後ろを振り返り言った。


「あの乗り物・・・魔界のモノじゃ無ぇな。」


創業祭を見て分かったのだろう

アベソーリには神聖は勿論

魔聖も含まれていないのだ。


「全部がお前さんのアイデアとも

考えにくい、あらゆる分野の知恵の頂点

その総合芸術だぜぇアレは・・・。」


その通りだ。

鉄鋼業・ガラス・火薬・オイル

ゴム・電気・レンズ・家具などなど

幾つもの専門分野の集大成だ。


「ああ、その通りだ。

俺の正体なんだがな・・・。」


俺は自分が異界の人間で

魔神アモンの義体を乗っ取った存在ある事を

話て聞かせた。

アベソーリと言う証拠を先に知っているからか

ハルバイストは疑う事無く理解してくれた様だ。


「合点がいったぜぇ。

するってぇと今回の降臨

魔界と争っている場合じゃねぇな。」


これは嬉しい

隙あらば敵を減らせないかと

思って居る神や悪魔が多い中で

この戦いの重要なポイントを

キチンと理解している人だ。


「その通りだ。

今現在、魔界も天界も

皆、人間界と融合してひとつの状態だ。

人間を支配種ドミネーターのまま

次世界に移行出来るかどうかの戦いなんだ。

だから首を差し出す必要は無いぞ。」


「他の悪魔もそう思っててくれりゃ良いんだが

その辺はどうなんだぃ」


「・・・釘は刺してあるが

正直、隙あらばと考えている連中も多い。」


「まぁこっちも同じようなモンなんだろうな。

特にミネバやジェミス辺りは

絶対理解出来っこねぇや。」


来たばかりで

会っても居ないと言うのに

よく分かるな。


思い出した。

会える時が来たら頼もうと思っていた事があった。

俺は突然話を切り出した。


「てなワケだから

そのミカリンにも武器作ってやってはくれないか。」


レイバーンはハルバイスト製では無いのだ。

前回の最終決戦時

頼んでも作ってくれなかったと

ボヤいていた。

弟子か何かの作品なのだろう。

それでも十分な威力ではあるが

少しでも戦力を上げたい。

俺はハルバイストにそうお願いして見た。


「あぁ・・・そいつは無理な相談だ。」


「なんでだよ。

ミカリ・・・ミカに作ってやらない理由は

知らないが今はそんな事に拘っている場合じゃねぇだろ。」


ハルバイストは人差し指で

頬をポリポリしながら

恥ずかしそうに答えた。


「ぃや違うんだょ・・・

レイバーンはな

ありゃぁ俺の最高傑作なんだよ。」


「・・・え?」


「照れくさくてな、おいらじゃないって

つい嘘を言っちまったんだ。

そうかミカの奴、分かって無かったのか・・・。」


似てるのも道理だ。

ミカはミネバとハルバイストをベースに

作成された天使だった。

言わば生みの親みたいなモンだ。

天と戦闘のセンスはミネバ譲り

性格と炎の力はハルバイスト譲りだ。


「だってよぉ他から見たら

明らかに依怙贔屓してるみたいに

どうしたって見えちまぅじゃねぇか。」


自身の特性が炎なのだから

炎の武具は飛びぬけて

優秀になるのは道理ではあるのだが

ミカに

自分の娘に最高傑作を授ければ

他からそう揶揄されるのは

当然の流れだ。


ハルバイストはそれを嫌がり

そんな嘘を言ってしまったのだ。


「それにアレは奇跡の一振りだ。」


何百にも及ぶ試作を経て

明らかに秀でた偶然の産物

イレギュラーな一振りだそうだ。


「実は作ったおいらにも

正直、良く分かってねぇんだ。

なワケで同じ物、予備をくれっていわれても

出来る自信は無ぇ」


作ってもらえなかった。

そうボヤいたミカリンに対し

嫌われていると言ってしまったが

愛されまくりだった。

今度、謝っておこう。


「そうだったのか。」


膨大なチャージに破損する事無く

大陸の半分を焼土とした剣だ。

それでもハルバイストの作品で無いと

言う事実が

今までの俺を絶望に落としていた。

作っても作っても

裾野にすら届かないと


このハルバイストの告白は

正直、俺をホッとさせた。


気分が良くなった俺は

ついウキウキしてレフバーンを出してしまった。

ミカリンに渡したのは一番良く出来た

「真打ち」でこれは破損時の予備だ。


「ちなみにコレは俺製レイバーンだ。」


威力は当然劣るし

神聖属性の帯性も無いが

炎系での俺の最高傑作だ。

ハルバイストの評価が是非聞きたかったのだ。


ハルバイストはゴッドアイで走査をすると

呆れた口調でボヤいた。


「お前さん。何で悪魔なんだ

そうでなきゃ弟子に取りてぇよ。

威力はともかく

部分的、特に素材の結合性に関しては

オリジナル以上の出来もあるぜ。

どうやって打ったんだ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ