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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第四百九十五話 再びバロード前線基地へ

「いけないわ。

私には夫が

でも

この人は私を愛している。

この人の言葉に嘘は無い。

悪魔だというのに

穢れの無い瞳で真っ直ぐに

私を見つめて来る。

その視線に私は戸惑っている。

矮小な自分を見透かされそうで

怖い。

でもきっとそんな私の部分も

含めて全部を欲しているのね。

いやだ

どうしようドキドキが聞こえちゃう。

アーテイムやアホデルタ

手あたり次第にちょっかいを

出しているのも

求めているモノが手に入らないからなのね。

可哀想な人

どんなに沢山女の子を口説いても

埋める事の出来ない空虚を

抱えて戦い続けて来たんだわ。

この人を救えるのは私だけ?

私の関する慈愛

分け隔てなく愛を施す権能

これを放棄するワケにもいかないしね。

でも悪魔相手には流石にマズいんじゃないかしら

禁じられた事だわ

いけないわ

ううん

駄目、そんな都合の良い言い訳なんて

この人は

あらゆる禁を壊して

民を私達ですら救ってきた。

スゴイ

どうしてそんなに簡単に壁を壊せるの

これが破壊の力なのかしら

私も壊されちゃうのかな

怖いわ。

怖いのアモン。

いっけない

今日のパンツ、クタクタだったわ。

このままじゃいけない。」


そう言った後

ユノはとって付けたように

「お花を摘みにいって来ます」と

一時退場していった。


何だあのおばちゃんは

ビビビの上司か何かなのか。


「何を考えているんですか。」


ユノの退場に合わせて

ユークリッドが俺を責めた

珍しく慌てた様子だ。

俺は呑気に答えた。


「全くなぁ。」


「あなたですよ。

相手は人妻ですよ。」


何だかんだで司教なのか

真面目に怒っていた。

バカだな

俺相手に真面目になったら負けだぞ。


「ああ、でも女だ。」


「何と言う事だ。」


その時

ブリッペが慌ただしく入室して来た。


「何かあったの?

ユノ様、返したばっかりの

アホデルタ様呼んで来いとか

ドレスを用意しろとか。

様子がおかしいんだけど。」


美をチャージするつもりなのか

アホデルタもご苦労な事だ。

節約中の方が楽だったんじゃないだろうか。


「それだけじゃあないぞブリッペ

今しがた欲情の節制まで解除しようと

していっらっしゃる。」


続けて現れたレイノヒモが

そう言った。


「それ解除するとどうなるんだ。」


これだけの人数の難民で

喧嘩や婦女暴行

果ては暴動などの問題が

起きなかったのは

どうやらユノの権能のお陰らしい。


あれだけの難民が暴れ出したら

確かに聖騎士の人数では抑えきれないだろう。


「あああああ恐れていた事に!」


長目のクセッ毛を掻きむしるユークリッド

久々に見る推理に行き詰った探偵モードだ。


ユークリッドの懸念は

痴話でなく

そっちの方だったのか。

確かにそれは


「大変じゃあないか!」


俺の言葉に

今更感バリバリの目で

ユークリッド俺を見た。


「まぁでも安心しろ

そんな事はさせん。良い策がある。」


「・・・是非お聞かせ願いたいですねぇ。

どうするんですか。」


俺は逃げた。


工作員スキルを使用し

キャラバンを離れると

悪魔男爵バロン化し

一気に超音速加速で去った。


大体、遊んでいる暇は無かったのだ。


「なんじゃ、何かあったのか。」


ベレンまで来た。

黒い球体の大きさは前日よりも

見た目、2割増し程度まで大きくなっていた。

どこまで大きくなるのか分からないので

測っても無駄かもしれないが

一応、記録は残した。

そんな俺の作業を傍らで滞空しながら

ビルジバイツは見物していた。


「ん、何で?」


「ヒドく疲れて居る様に見えるぞ。」


正に神級のオチンオチンに敗北し

二度爆発し

性器以外はマッチョな巨漢に襲われた。

そら疲れもするわ。


「分かるか。

神連中と付き合うのは堪えるわ。」


戦う方が楽かも知れん

精神的には間違い無く負荷が無い。


「じゃろうな。

いくら人化出来るとはいえ

ようやるモンじゃと感心しておったが

やはりお主も何だかんだ言っても

悪魔じゃからのぉ。」


赤いロンゲ

紅の瞳

ナイスバディ

うん

イイ女だな。

何だろう

すごく安心する。


なんだろう神側は良くも悪くも超越者で

悪魔側は良くも悪くも人間らしい感じだ。


計測を終えると

公園まで降下し

今日のドタバタを話して聞かせた。

ビルジバイツはヒーヒー言いながら

腹を抱えて笑っていた。


「そう言えば部下連中はドコに行ったんだ。」


召喚状態であるダークとナナイ

正確な場所を探すとなれば

MAPを開いて出来るのだが

居る居ないは直ぐに分る。

この場には居ないのだ。


「皆、クリシアじゃ

この場は妾だけ良いが

あちらには戦力が足らんとかでな。」


シンアモンの指示だそうだ。

竜の王が現界するまでは

確かに危険は少ない

人の居ない場所には竜も現れない。

竜の王は一大都市上空に出現予定だったが

シンアモンの策で人っ子一人居ない状態になった。

出現まで時間が掛かる欠点を突いた見事な策だ。


出現まで時間の掛からない下等の竜は

今現在人の多く居る場所を目指すだろう

その対処に今一番戦力の乏しい場所は

確かにクリシアだ。


陽も落ちる頃にベレンを後にした

ビルジバイツに必要な物があれば

承ると言ったが

こうして来てくれるだけで良いと言われた。


バロードまでケムトレイル状態で飛行した。

この距離では時間が短すぎて

匂いが落ちたかどうか怪しいが

悪魔男爵バロン状態でなければ

問題はないので大丈夫だろう。


対策本部になっている館

その上空で冒険者ゼータにチェンジし

自由落下、地表寸前で重力操作の軟着陸だ。

音もなく着地した。

うん

パワーアップ後の体の使い方も

大分馴染んで来た感じだ。


先に教会の方に足を向けた。


「市民は希望者のみを半分の聖騎士に

護衛させキャラバンの後を追います。

残り半分は私とここに・・・。」


俺の話という事で

ハンスは疑う事無く

速やかに対応した。

教会関係者と敬謙な信者は

避難するが

成金系の非信者は避難の話に

聞く耳を持ってくれないそうだ。


「守らなくてもイイんじゃないか

大好きな金に埋もれて最後を迎えさせてやれば」


俺の皮肉にも笑顔でハンスは答えた。

それでも出来る限りは守りたいそうだ。

司教の鏡だ。


「勿論、ここに被害の及ばない様に

戦うつもりだが、如何せん大きさも

強さも分からん相手だからなぁ。」


「はい。私も自分に出来る事を

出来うる限りやるつもりです。」


三日後には出立する予定だそうだ。

ハンスとはそれで別れ

教会を出て館に向かった。


館には皆揃っていた。

夜に俺が来る約束だったので

集まったようだ。


ノアとマリオも居たので

Vバングのパーツをあるだけ

渡して置いた。

この二人、Vバングが無いと

一般市民と変わらない状態になってしまうからな。

本人達も重々承知のようで

すごく喜んでくれた。


魔導院関係は教会より身軽なので

明後日には出発するそうだ。


夕飯は館で頂き

夜になった。

俺は工作員スキルを使用し

あてがわれた自分の部屋から出て

目的の部屋に向かった。


前日、去り際にアリアと交わした約束があったからだ。


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