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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第四百九十四話 ユノの馬車

「いやぁ面白かったですねぇ。」


俺を真ん中に

三体究極合体ゴッデモッドが

完成しそうな直前で

ユークリッドが復活したばかりの

ユノを連れて現れ

強烈な「節制」が発動し

俺の貞操は守られたが

そのまま皆、ユノの馬車に連行。


大説教が開催された。


これもユノの権能なのか

アーテイムもアホデルタも

弁明の機会も与えられず

こっぴどく叱られ

あの時のイキりっぷりが嘘の様に

シュンとしていた。


俺には直接、雷は落ちなかったのだが

どう考えても俺が悪い事なので

ビクビクしっぱなしだった。

本当に

かぁちゃんみたいな神様だ。


「良く平気ですね。」


どこ吹く風のユークリッドに

俺はある意味尊敬の念を抱きつつ

そう言った。


神々共が各馬車に戻るとの事で

ユノも見送りに出て

今丁度二人だけだ。


「いえいえ、神の怒り

これは恐怖ですよぉ。」


笑ってやがる。

恐らく

ここまで全てユークリッドの策略だ。

したやったりと言いたげな笑顔を見て

俺はそう確信した。

本来なら俺も怒り爆発しそうなモノだが

助かった事の安堵と

説教食らう神の近くに居たせいで

疲れ切ってしまい

そんな気が起きなかった。


キャラバン内では完全悪魔化出来ない

このフィールドは安全に俺を

おちょくれるボーナスステージなのだろう。


「はぁ俺も解放してくれないか・・・。」


説教以外に話があるとかで

居残りさせられていたのだ。

まだ明るいが

俺はもう寝たいぞ。


「長い話ではないでしょう。

もう少しお願いします。」


ユークリッドのシナリオは

まだ終了していない様だ。

有無を言わせぬ感じで

そう言った。


ユノは直ぐに戻って来た。

思わずだらけた姿勢を正してしまう俺。


「それじゃあ、お願いね。」


ユノは送り出した二人とは

別の人物を連れて来ていた。


「はい。」


この声はブリッペか

それも二人だ。


もう一人はレイノヒモだった。

それにしても良く似ているな。


「ごめんなさいね。

お待たせしてしまって」


先程のおっかない説教モードが嘘の様に

おっとりとした

おばちゃんモードだ。

こっちが素なのかな。


「あぁ、あなたがアモンさんなのね。

お会いしたかったわ。」


おばちゃんは失礼か

受肉の肉体年齢は若い

しかし動かしてるOSが

なんか

おばちゃんなのだ。


「あ、はい。」


どう対応して良いか

よく分からん。

もしかして

今度はおばちゃんに襲われるのか。


「ささ、座って座って。」


ユノに促され

皆、席に着いた。


「まず、始めに・・・。」


今、着席したと言うのに

ユノは立ち

何と

深々を頭を下げた。


「魔神アモン。

不在の長に代わり礼を言います。

深い感謝を・・・。

本当にありがとう。」


俺は慌てて席から立つと

同じ様に頭を下げた。


「あ!いえ、こちらこそ!」


何がこちらこそなのか

聞かれると返答に困るが

突っ込みが入る事は無かった。


「あなたのお陰で

私を含めた神々が消滅の危機から

救われました。」


まぁ確かにミネバは助けた感があるが

神々は言い過ぎではないだろうか。

俺はそう思ったのたのだが

それからの話はその理解を助けた。


そこで再び着席し

ユノは今度はユークリッドに話しかけた。


「ユークリッド。

あなたを信じていないのでは無いの

ただ、あまりにも理解を

私の常識を超える内容だったものだから・・・

ごめんなさいね。」


「いえいえ、こればっかりは

実際にアモンさんに会った事の無い方には

分かって頂けない事ですから」


増えていく難民と

その膨大な絶望は神々に深刻なダメージを与えた。

ミネバに続きユノ自身も不稼働になる手前

ユノは一大決心をし

残る力、全てを注ぎ込んでの

竜に対する玉砕戦に出ようとしていたのだ。


誰が見ても無謀だった。

本拠地を攻めるというならまだしも

撤退戦で迎え撃っている状態なのだ。


その決定を覆す為

ユークリッドは脅し込みで賭けに出たのだ。


シロウに変身し結界を突破

神々を前に大見得を切った。


自分は既に敗北した勢力の者だ。

消える予定だったが救済された。

その者の救済を待て

待たぬというなら

俺が全員を葬る。

俺の言う通りにして

望む結果にならなかった時は

煮るなり焼くなりしてくれ。

ギリギリかも知れないが

必ず

必ずアモンは現れる。

そしてデタラメな力で

それまでが何だったのか

呆れる位

真面目にやるのがアホらしくなる位

問題を片づけてくれる。


「ケイシオンやヴィータ

アモンさんに関わった者が

皆、あなたの意見に強く賛同したわ。

そんなバカなと内心思っていたのですけれど

目覚めて見れば

本当に解決していて

もうびっくりだわ。

まさかアーテイムやアホデルタまで

あんなに生き生きとしているなんて・・・。」


薄っすら浮かぶ涙をハンカチで押さえながら

ユノはそう言った。


残り少ない力で酷使されたアーテイム。

本来、狩猟とは追い詰める戦いであり

逃げるには向いていない。

限界は近かったそうだ。


維持の為、極限まで落とされたアホデルタの権能。

美は神々の標準だ。

それが落とされる事は

マイナス方向に加速必至だった


そういえばミカリンも薄汚れていたっけな。


何の保証も無い俺の救済。

しかも先制攻撃を加えた後だ。

助けを信じろと言われても

それは無理だ。

それをユークリッドは

神々と刺し違える覚悟で

強引に説得したのだ。


脅して金品を奪う輩は強盗と呼ばれるが

脅して説得する輩は何と呼べば良いのだろう。


俺はユノに聞こえない様に

ユークリッドに言った。


「来るなんて約束してなかったよな。」


なんでそんな救済なんて

嘘を言えたのだ。


「そんなもの必要ではありません。

ミカリンを含めたあなたの家族が

ここにいるのですから

100%来ますよ。」


その後ユークリッドは

更に声を落として呟いた。


「私を救済した事だって

約束された事ではありませんでしたしね。」


神々の結界をも破る

正体不明の力を駆使する

緑のバッタ怪人に脅され

半ば強制的に救済待機モードになった。

そして、その約束が果たされた事が

今日、確定したのだった。


「まぁアホデルタ様と

アーテイム様は私の予想外でしたがね。」


嘘付け

そここそ一番力入れたんじゃねぇか。

綿密に練っただろう絶対。


そこでワゴンを押しながら

レイノヒモとブリッペが再度現れた。


「お待たせ致しました。」


紅茶の良い香りが馬車の室内を満たしてく


「さぁさぁ、堅い話はお終いにして

お茶に致しましょう。」


ユノはウキウキになってそう言った。

毎日お茶会してるとウルが言ってたっけな。

すごく嬉しそうだ。


頂くとするか


「でアモンさんは

アーテイムとアホデルタ

どっちがご所望なのかしら。」


一口目で噴きそうになった。


「うふふ、それともやっぱり

ヴィータなのかしら

あの子もあなたにはぞっこんですものね。」


ぞっこんって

今言わないんじゃないか。

それにしてもユノ

おばちゃんだ。

噂好きのただのおばちゃんだ。


はぁ勘弁してくれ

俺は社交辞令も社交辞令

超定番の返しをした。


「いえ、若い子は苦手なんです。

落ち着いた大人の女性に

甘えたいですね。

そう、あなたのような・・・。」


おばちゃんの瞳孔が開き

見る見る赤面していった。


「え?・・・・えぇ?」


おいおい

そこは「もうお上手ね」って返せよ。

何赤面してんの


気が付けばユークリッドが

凄い表情になっていた。

これは本当に想定外だったようだ。


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