第四十八話 その名はガルド学園
宴は盛大に行われ
俺達は十分に楽しむ事が出来た。
タムラさんとはお互い
新しい体同士で初対面なのに
再会というなんとも奇妙な
コミュニケーションになった。
「若いけどアモンさんだね」
「そっちこそタムラさんだ」
翌日はゆっくり目に起床。
食事は俺達だけ別メニューで
起床に合わせると言う特別待遇だ。
申し訳ない気持ちがしたが
里の人々はそれこそ喜んで尽力して
くれた、プラプリの指示が無くても
彼等なりに功労者に恩返しがしたくて
仕方ない状態で
それこそ先を争う事態だ。
冗談でなく、誰が俺達のシーツを
洗濯するのかで喧嘩になりかけたらしい。
下手に口をはさむと
余計混乱を招きそうだったので
それとなくプラプリに上手く
采配するよう頼んだ。
食後はそのままプラプリに連れられて
里の案内を受ける。
以前は火を禁忌としていたが
厨房や鍛冶場なども普通に見受けられる。
ここにも移住してきた
鍛冶師のドワーフが居た。
夕食は里長の執務室で
里のみんなとは別で頂く
ちょっとした重要会議だ。
「はい、ガルド学園出身です」
プルは予想通りベレンの学校を出ていた。
ガルド学園ていうのか
初めて会う卒業生だ。
貴重な情報の宝庫だ。
俺は色々聞いて見た。
アルコの入学に関しては種族的問題は無いそうだ。
エラシア大陸の各地方から集合している為
もの凄い人種のるつぼで
プルも全種を把握しきれなかったそうだ。
ただ筆記試験もあると聞いて
アルコは青ざめた。
「マスター。私、字が書けません」
絵本のお陰で読む事は多少出来るが
文字を書く習慣がベアーマンには無い
それは仕方無しだ。
「丁度良い。覚えよう」
「ぐぅ・・・はい」
嫌がってるのが丸わかりだ。
やっぱり脳筋体育会系だ。
「ミカリンは書けるのか?」
ミカリンは返事の変わりに
俺の皿のオムレツみたいな料理に
掛かっていたソースを
チャチャとこねくり回す。
ソースは文字状に「書けるよ」と
見事な筆記体で変化していた。
やだ達筆
なんか敗北感
「まぁ読み書きが出来なくても
入れるんですけどね」
プルが補足してきた。
筆記試験があるのに?
その疑問も続けて説明してくれた。
学園は大きく二つに分かれている。
基本科
読み書き、言語、簡単な計算
基本的な常識などを教える
主に幼い子や教育を
受けてこれなかった大人が主流で
ここは誰でも無料で入学出来るそうだ。
俗称では学校と言われている。
通いのみだ。
専科
試験制で全寮。
有望と判断されたものは後に無償
一期はごちゃ混ぜで、クラス制
成績によって
より部門別に分かれた二期に昇格。
二期はクラスが無く
専門の事しか学ばない。
入学時の試験結果によっては
ここからスタートする者もいるそうだ。
好きな授業を選んで受けていき
好きなタイミングで審査を受け
合格すれば三期だ。
三期は実は学校に居ない。
インターンがメインになり
各々それぞれ部署に実戦配備だ。
行った先の担当のお墨付きを
貰えれば、晴れて卒業だ。
プルはインターン先がこの里で
担当がプラプリだそうだ。
「来て三日でお墨付きを出したよ」
笑いながらそう言うプラプリ。
魔法ではアレだったが
弓や剣は申し分ないそうだ。
プルは二期で魔法を選択していない。
一期の基本授業で習得した魔法だそうだ。
良かった。
魔法を選択した卒業生なら
もっと強いのね。
俺は風の攻撃魔法を
里の者に伝授すよう提案したが
プルの顔色は悪い。
「魔法の使用や伝授・研究に関しては
厳しく制限されていまして・・・。」
破れば厳しい罰が待っているそうだ。
「そこは私の方からベレンに
断りを入れて置くよ、プルに害が
及ばないと約束しよう。」
プラプリ
頼もしいイケメンだ。
「だな。規則を守って里が滅びたんじゃ
本末転倒だ。それにその制限は
ここには当てはまらないだろうな」
厳密に分けるなら
縄張りの範疇はエルフの国で
バルバリス帝国領では無い。
互いがそこまで目くじらを立てていないので
なんとなく放置な状態だ。
「はぁ・・・でも私じゃ」
威力を気にしているようだな。
プラプリがチラりと俺を見た。
分かってるよ。
「明日辺りから俺が見直して
人に教える方法を俺が教えるよ。
威力ももっと上がる。
その辺は心配いらん」
「おお願いします」
「重ね重ね済まない」
頭を下げる二人に手で挨拶する俺。
偉そうに言ってしまったが
出来るのかな・・・俺。
そうだ。
レベル上がってんだよな。
俺はメニューを開いてチェックを始める。
風の攻撃魔法を目の当たりにした
これが開放条件とかで
使える様になったりしていないか。
あんな偉そうに言ったが
自分が使えない魔法をどうやって
指導するんだ。
「あーアモンは今ちょっと魔法関係の
集中作業に入っちゃった。ゴメン
変わりに僕が聞くよ。」
俺の仕草から察したミカリンが
気を利かせてフォローを
入れて来た。
話が出来なくも無いのだが
失礼っちゃあ失礼だよな。
それに何も無い空間を
真剣に見つめ、手を動かす
この状態はやはり周囲には
奇妙に見えるのだろう。
助かる。
話はミカリンに任せよう。
俺は使える魔法が増えていたが
水と火で風は無かった。
俺の属性は土なので
どれも効果は低い
使える様になった原因も
思い当たらない
単純にレベルアップのせいか
ミカリンはと
・・・ヒートアロー?
なんだこりゃ
ファイアーボールより消費が大きく
威力はそれ以下だ。
ファイアボールには無い別の
効果でもない限りお蔵入りだぞ。
「明日・・・俺らも色々試そう」
気がつけば
すっかり雑談が盛り上がっている。
俺はメニューを閉じて
ミカリンにそう言った。
「え、あ、うん。分かった」
なんか楽しそうだな。
「ゴメンね。話の最中に作業して」
後で見ればよかったよな。
やっぱり失礼だ。
反省しよう。
「いいって、アモンのする事を
邪魔しないのが最適だよ。
いつだってそうさ」
一瞬、嫌味を言われたのかと
思ったのだが、プラプリは良い笑顔だ。
「そう言ってもらえると助かるが」
「で、なんか新しいのあるの」
ミカリンはワクワクだ。
「ああ、ちなみに風は二人とも無い
プルに教わらないとな」
こうして食事は終了となった。




