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ぞくデビ  作者: Tetra1031
477/524

第四百七十六話 ドラゴンブレス

ミカリンの話は理解に苦しんだ。

俺が混乱したせいもあるかもだが

それを差し引いてもミカリンの言語能力は

何か低下していた。

支離滅裂でロレツも怪しい。

俺はイライラしてしまい

問いただし方が段々激しくなってしまい

遂にはウリハルが止めに入った。


そして俺とウリハルの言い合いになってしまい

何とミカリンはその最中にテーブルに突っ伏し

寝てしまった。


「何だそりゃ・・・。」


呆気に取られる俺を尻目に

ミカリンの様子を確認するウリハルは

単純にミカリンが居眠りしている事を確認すると

真面目な声で話し出した。


「重度に疲労しておられるご様子です。」


・・・天使って疲れるのか。


「魔勇者様の不在の間、気の休まる暇が無かったのですよ。」


確かにミカリンに丸投げした格好か

・・・いや

でも他にも単体でも規格外の強者

ヨハンやユークリッドも居たし

アベソーリと言う陸上兵器だって置いていったぞ。


俺の心を読んだかのように

ウリハルは続けた。


「魔勇者様が傍に居られない。

それだけでどれだけ負担が掛かってしまうのか

逆に居てくれさえすれば、どれ程心強いのか

私にはミカリンの気持ちが良く分かります。」


出だしは俺を責めているのかと思ったが

どうやら様子が違う。


「私が独占してしまったばっかりに・・・。」


ウリハルは自分を責めているようだ。


俺はすかさず否定した。


「いや、俺が勝手に動き回っただけだ。」


ビルジバイツが気になりキャラバンを離れた。

その後もベアーマンの集落や

湖のキャスタリア

クリシアやヒタイング

果てはバリエアまでだ。


バリエア入りではヘマして牢屋にまで入って

遊んでしまった。


その間、キャラバンはどんな状態だったんだろうか

ミカリンにはそこから聞くべきだった。


「いえ、勝手は私です。城を飛び出し

挙句、竜相手に死に掛けました・・・。」


「・・・目が覚めたら、二人で謝るか。」


「そう致しましょう。」


ミカリンを無理に起こす事はせず

キャリアのベッドに運んだ。

軽っ!

人状態なのに軽々お姫様抱っこ出来た。

普段から重力操作掛かってんのか

それとも発泡スチロールで出来てんか

その位、軽かった。


印度の首都だ。


事切れる前、ミカリンから

辛うじて理解出来た情報


・ベレンは廃都だが大量の死者は居ない。

・そのベレン市民までキャラバンに加わりもう大軍団

・キャラバンはベレン到達前に手前の町で避難民と合流

・なのでドーマの詳細は不明

・キャラバンはミカリンの来た方向に居る。


「キャラバンに合流するか。」


ミカリンは当分起きそうもない。

俺はウリハルにそう言った。


「はい、9大司教を締め上げましょう。」


いや

普通に事情を聞こうよ。


俺はキャリアをゆっくりとスタートさせた。

はやる気持ちを抑えつつ

寝ているミカリンを優先した格好だ。

ウリハルに指摘されて気が付いたが

ミカリンは近くで見ると薄汚れた状態だ。

清廉潔白、大天使状態なら

汚れは勿論、肉体の破損ですら

自動的に修復されるハズなのだ。

それが薄汚れている状態ということは

弱体化している事が予想された。

昏睡かと思える程の入眠も

それを裏付けていた。


俺を発見して泣いていた位だしなぁ

その時点で気遣うべきだった・・・。


でも弱体化なんかするのか?

大勢の信者と合流してるなら

パワーアップしそうなモンだが


「しかし、廃都の理由が・・・どういうことでしょうか。」


ウリハルは支離滅裂、ロレツも怪しかったミカリンの

先程の言葉を思い出している様だった。


「うーん、既に朦朧としていたからなぁ・・。」


死者がほとんど出ていないのに廃都の理由

ドーマに確認にも行けなかった理由

それが何と


臭 い か ら


だそうだ。

ふざけんな。

こちらの聞き間違いか

ミカリンの言い間違えか

とにかく何かの間違いだろ

この切羽詰まった状況に臭いごときで

都市を放棄するか。


「少なくと竜の襲撃では無いと考えて宜しいでしょうか。」


そう言うウリハルに俺はすかさず答えた。


「いや、すんごい臭い竜が来たのかもしれない。」


ウリハルは真剣な表情で俺を見て

緊迫した声で言った。


「それが・・・もしかして竜の王!!」


何て嫌な王だ。

戦いたくない。


つか冗談だ。

・・・だよな。

でも英語でドラゴンブレスって

確か臭い口臭って意味もあるんだよな。


俺は何とも表現のしにくい不安を抱え

キャラバンとの合流を急いだ。





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インドの首都 カルカッタはイギリス統治時代、

       現在はデリー。

       ニューデリーはデリーの中の

       一部地域で厳密には都市では

       無く2002年頃から地図の

       表記もデリーに改訂されたそうです。

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