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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第四百七十四話 他人から見れば簡単に見える

ウリハルの所に戻った。

ウリハルは心配していた様子も無く

普通に出迎えた。


結果は勝ったとだけ伝えた。


「お怪我でもなされているのですか。」


何だ

出迎えた時より

無事を確認した後の方が

心配している表情だ。


「いや、特には。」


「では、お疲れなのでしょうか。

お顔の色が優れない様に見えます。」


ああ

そうなのか。


「うん・・・敵が散り際にな・・。」


俺はクリスタルドラゴンとの

最後の会話の内容を説明した。


「竜の・・・王ですか。」


常に楽天的なウリハルも

神妙な面持ちだ。


「降ろす事に成功したと言っていた。

戦場はこちらの世界という事になる。」


どんな技なのか想像もつかないが

シンアモンを以てしても

討伐の叶わない状態になれたという事実は

俺を少なからず

いや

大いに動揺させていた。


シンアモンで出来ない事なのに

俺が出来るワケないからだ。


「魔勇者様なら勝てます。」


励ましてくれているのか

本当にそう思って居るのか

いずれにせよ悪感情からでは無いので

俺にはどっちだか判断がつかなかった。


「気軽に言ってくれる。」


恐らく何らかの手段で絶対防御みたいな

チート技だ。

気が重い。


折角励ましてくれていると言うのに

俺にしては捻くれた返事だ。

・・・それだけ俺に余裕が無いと言う事か。


俺の心情に構わずウリハルは明るく続けた。


「はい!これまでだって

どんな相手だって

魔勇者様は気軽に勝ってきました。

きっと大丈夫です!」


いや

気軽じゃなか・・・・だったのか

少なくともウリハルにはそう見えていたのか。

やれやれ


「そうだな・・・気軽に勝つか。」


どうせ今の時点では

情報が少なすぎて対策は無理だ。


考えても無駄な事は

考えるだけ無駄だ。


「はい!」


嬉しそうに返事をするウリハル。

それにしてもこいつに心配されるほどの

状態だったのだろうか

ダメージは無い

疲労も特にない

となれば

やはりクリスタルドラゴンとの最後の会話のせいだろうか

自分では共存と言いながら

滅ぼし続けているからなぁ俺は

・・・うーん、いいや

相手の方が悪いんだ。


俺は悪くねぇ。


行くか。


再出発して二日

途中でもそこそこ竜と遭遇

その都度討伐しながら進んだ。

この辺りはヴァサーの防空圏ではないので

ワイバーンも居た。


どっちが言い出したか覚えていないが

飛行出来る俺がワーバーンの担当

地竜はウリハル担当と分業化していった。


謎の敵感知能力を有するウリハルは

感知すると

「行って来ます。」か「お願いします。」で

特に会話をもなく自然に動く様になってしまった。


良く考えたら

コレ相当変だぞ。


敵を感知した時に見られる独特な表情。

個人的に感知顔と呼んでいる。

その感知顔になったのにウリハルは

「行って来ます。」も「お願いします。」も言わなかった。

感知顔に迷いの色が見えた。


何だ?

勘違いなのか

勘違い感知顔なのか賀来千香子なのか

アレも料理の出来ない女のクズだ。


お声が掛からない事で

不審に思った俺は自身の

走査系を上空に拡大させながら言った。


「どうした?」


上空に展開したのは

ウリハルの視線が空向きだったからだ


「・・・何でしょうか?敵・・かどうか

良く分かりません。強いて言えば

魔勇者様に似ているような・・・。」


俺に似ているだと?

魔神か

ベネットは遥か後方だから違う

残りの魔神で飛行する知り合いは居ないしな

まぁこれは俺が知らないだけで

もしかしたらダッソも飛べたりするかもだが

俺に似ては居ないな

8位とか9位辺りの

まだ未見の魔神の可能性が高いか


そう思っていると

俺の走査系がウリハルの感知した物体と

思しきモノを捉えた。

方向が限定されるだけでも

走査は各段に楽になる。

便利だぞウリハル。


「だから似てないって!」


物体が何なのか分かった俺は

つい大声を出してしまった。


「ひっ・・・も申し訳ありません。」


予想外だったのだろう

俺の反応にビクついたウリハルは

真偽も確かめる事無く謝罪した。


小さな罪悪感に捕らわれた俺は

自己弁護のようなフォローをした。


「いや、まぁ戦闘力とか

他への影響力とか、そういう面では

似ていると言えるモノだ。うん。」


ウリハルは凛々しい表情に戻ると

呟いた。


「やはり強大な力有しているのですね。

後、不思議なのですが

何か懐かしい感じも・・・。」


懐かしいか

確かに学園生活は遠い過去だった気がする。

ついこの間なのにな。


「まぁ見た目が大人になっちまったからなぁ」


その辺りの事情も俺と被るか

・・・似てんのか。


「私も知っている方なのですか?!」


ウリハルは記憶力の良い方だ。

特定出来ない事実に

自分自身信じられないと言った感想なのだろう。


「ああ、ミカリンだよ。」


「・・・成程です。」


俺の回答に

驚くと言うよりは納得した感じで

ウリハルは答えた。


うーん、超常現象目白押しだったコイツにしてみれば

驚くほどでは無いのか。


それこそ生きたままバラバラになって

異空間を行き来など

貴重な経験をしているからなぁ

昔の知り合いが突然大人になって

空を飛んでいるぐらいじゃ

インパクト薄いのか

ミカリンにも

そう助言しておくか


・・・何の為だ。


ミカリンは随分とゆっくり飛行していた。

何かを探しているのか偵察なのか

とにかく火急的用事ではなさそうだ。


向こうから来てもらおう。


そう思った俺は一瞬だけ悪魔男爵バロン化し

すぐ人状態に戻した。


思惑通り、俺を感知したミカリンは

速度上げ真っ直ぐ

こちらへと進路を変更して来た。


「休憩にするか。」


俺はそう言ってキャリアを停止させた。


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