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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第四百七十一話 スクランブルは突然にって当たり前か

チャッキー達とは、ここで別れる事となった。

彼等はバリエアへ

俺達はベレンへ

何だかこの組み合わせは

いつもすれ違いの遭遇ばっかりな気がする。


足に使っていないアモン2000を渡しても良かったのだが

二人共に運転技能を有しているハズが無い

馬車すら操作出来ないというのだから

マニュアル車の操作などもっと無理だろう。

徒歩で良いとも言っていたので

そのまま行ってもらおう。


ウリハルの様子も

いつもと変わり無く感じた。

チャッキーの言う通りなのか

俺がそう言うのに鈍感なだけなのか

まぁウリハルが安定しているなら

どちらでも構わないと俺は思っていた。


キャリアを走らせながら

俺は不意に空を見上げた。


・・・・。

何も無い。


脳内センサーも反応していない。

敵かと思ったのだが勘違いか。

そう思いかけた俺だが

隣のウリハルを見て

判断を見送った。


ウリハルも空を見上げて

彼女にしては珍しく

悩むような表情になっていたのだ。


なにしろ

コイツの敵感知は絶品だ。


「何か感じたのか?」


判断が付かない様子のウリハルに

俺はそう尋ねた。


「いえ・・・きっと勘違いです・・ね。」


確かに感じたのだが

敵が居ない。


きっとこんなトコロだろう。

いずれにせよ危険が無いのならいいか。


「そうか。」


俺がそう言って終わらせようとした時

脳内に声が響き渡った。


『地上のアモン!私だヴァサーだ。』


「うぉあああ!!」


ビックリした。

ババァルだけでなくヴァサーまで

幻聴をして俺を襲うのか。


『幻聴などでは無い。これは魔王の権能だ』


テレパシーみたいなもんか

つか、こっちは声に出していないのに

筒抜けなのか。


聖刻の通信機能と同様だな。

なんか懐かしくなってしまう俺。


しかし、そんな便利な機能があるのに

なんで悪魔軍団は統率取れないんだ。


『全ての悪魔に届けるモノでは無いのだ

魔神クラスでも知性の高い者しか

受け取る事が出来ない。送る魔王側も同様だ。』


ババァルw


『・・・・。』


黙ったな。


「魔勇者様?どうかなさったのですか。」


俺の素っ頓狂な声に

ウリハルが驚いて隣から話しかけた。


俺は人差し指を立てて

自らの唇に当て

静かにする様にお願いした。


ヴァサー、ババァル、ウリハル。

これ等が互いの連携無しで

自由に発言してしまっては

俺の処理が追いつかない。

正確に言うと

処理は追いつくのだが

返事、リアクションが追いつかないのだ。


ここは緊急事態が発生していると思われる

ヴァサーを優先しよう。

火急的要件なのは間違い無い

そうでもなければ俺に話しかけては来ない奴だ。


「何かあったのか?」


思うだけで良いハズだが

声に出した方が無難だろう。

この方が思考と発言が連動する。

これが異なってしまうのは

ヴァサー相手には取り返しの付かない失態になると

俺は感じていたのだ。


ウリハル側の耳に指を突っ込み

斜め上あたりに視線をやり

そう言った。

ウリハルでは無い誰かと

魔法で話しているのだと

思わせる効果を期待してのアクションだ。


ウリハルの視線も俺の視線の先に誘導された。

何も無いのを確認するとウリハルは音を立てない様に

静かに背もたれに背を預けた。

どうやら期待通りに理解してくれた様だ。


『失態だ。一匹取り逃がした。』


はぁ何言ってんだ。


「逃がすも何もヴ・・・あんたなら

距離関係無いだろ。補足し直せ」


相手がヴァサーと言うのは

ウリハルには伏せた方が

余計な混乱を産まないだろう。


『速すぎる相手だ。補足しても

術式を展開する間にかなりの距離を移動する。

勘も良い・・・君みたいに避けるよ』


おいおい

お前が冠するのは何だ。


「時間止めれば良いだろう。」


どんなに速くても

これなら関係無い。


『・・・そうか、ババァルの技を見たんだね。』


暗黒と時間

あんまり関連性があるとは思えない。

ババァルのあの技はヴァサーが師匠だと

俺は予想していたのだ。

そしてそれは予想通りだった。


『確かに、あのお方に伝授したのは私だ。

当然、私にも可能なんだが・・・。』


じゃさっさとやれよ。

一瞬そう思ったがヴァサーが言い淀んだ事

俺に連絡して来ている事

この二つから

それが出来ない事情があるようだ。


『今の私の魔力量では止めるだけで精一杯で

更に自分も止まってしまうだろう。』


超意味無ェー。

俺は遠慮無く笑った。


まぁそうなるか。

前回、俺も一度だけ使用したが

ハンパ無い魔力量と悪魔力を消費したもんな。


そう思うと

涼しい顔でいつまでも止めていたババァルは

やはりスゴイ魔王だったんだな。


『・・・エッヘン。』


『ん?混線・・・か』


いや、今のエッヘンは俺の幻聴ババァルだから

まぁ説明しなくてもいいか。


「確かに今、俺も勇者も変な感触を感じてはいたんだが・・・。」


気のせいと判断出来る程

今は何も感知しないのだ。


「危険があるとは思えないぞ。」


脳内センサーは絶対だ。

危険は無いと断言出来た。


『君たちを狙っているのでは無いからね。

このままだと彼奴はものの数分で人間共の都に辿り着いてしまう。

時間が無い!』


数分だと!?

細かく計算する気は無いが

明らかに超音速で移動中だ。


「そいつはマズいな!」


俺が出るしかないだろう。

俺はそう叫ぶと悪魔男爵バロン化して

立ち上がった。

バリエアに入る前に追いつかないとならない

バリエア内では悪魔化をキープ出来ないのだ。


最初に訪れた時は完全人化を解けなくて苦労した。

ゲカイちゃんに解除してもらった後は

人状態でありながら視神経だけとか

かなり微細なレベルで半魔化し

悪感情を得ていた。

アラハを誤解せずに済んだのもゲカイちゃんのお陰だ。


て今はそんな事どうでもいいか。


『位置は私が誘導する。』


「おぉ助かる。」


相手も超音速となると

探し回る時間も致命的な遅れになってしまう

最短距離を最速で向かいたい。


「ウリハル、緊急事態だ。ちょっと行って来る!」


「はい!ご武運を。」


聞きたい事があるだろうに

おくびにも見せず

そう言って俺を送り出してくれるウリハル。


「おぅ!」


俺はそう言うと

翼を展開し急速上昇した。

MAP画面を開こうかと思ったのだが

その必要は無かった。

ヴァサーから送られてくる情報は

彼の音声だけではなかった。

補足している敵の位置を

感覚として俺に同期させて来ていたのだ。


正に空軍基地と戦闘機状態だ。


俺はすぐさま全開飛行に移った。


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