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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第四百四十九話 語るゲカイ

魔神13将軍、序列6位 解のゲカイ


能力は魔法、物理に関係無く

何でも解除してしまう能力だ。

前回も悪魔光線の直撃を

命中するソバから解除し

無傷でやり過ごした。


普段は自分自身の「存在の認識」を解除する事で

発見不可能な状態で居られる。


ただ認識を解除出来るだけで

存在そのものを解除しているワケでは無いので

罠や範囲攻撃には注意が必要だ。

今は洞窟の存在

その認識を解除することで隠れているのだ。

洞窟そのものは普通に存在していて

出入りは可能だが、してしまえば

解除に逆行する能動的な行動となり

解除が解除されてしまう。


まぁ出る時は万全の態勢を整えてからだが


「積もる話があるが、今はウリハル

この人間の治療を優先したい。」


前出の理由から出来るだけ声を潜めて俺はそう言った。

大声で解除が解除とかアホな行為だ。


「こちらへ。」


判断は正しかった様だ。

ゲカイも小さな声でそう言うと

足音を立てない様に洞窟の奥へと

俺達を先導してくれた。


洞窟は直ぐに屈折を繰り返す構造で

まるでクランクのようだった。

その構造のお陰で最奥の部屋の灯り

その他が外に漏れにくい作りだ。


最奥の部屋の扉を開けると

窓が無い以外は小洒落た部屋で

まるでヴァサーの技かと誤解する程だった。

光苔をふんだんに使っており

明るさは十分だった。


今も滴るウリハルの血で床を汚しては悪いので

俺はすかさずストレージから毛布を出し

その上にウリハルを横たえた。


「アモン様、人化するならば

ご自身の修復を先に・・・。」


言われて気が付いた。

そうだ。

俺の胸板にも風穴が空いたままだ。

このまま人状態なれば

なった瞬間、即死だ。

危ない危ない。


「普段なら勝手に修復するんだがなぁ。」


うっかりの主な原因がそれであった。

損傷しても大体自然に回復するのだ。


俺は修復を試みてすぐ分かった。

シロウの蹴りとはまた違った感じだが

あの古龍の攻撃には特殊な力が働いている。

麻痺と表現すれば近いか

体内の金属粒子を操作しても

傷口の周囲は非常に動かし難くなっていた。


古龍の攻撃

ほいほい受けるのは危険だ。

まぁ

どんな攻撃でもそうか。


自身の損傷を修復し終えると

俺は即座に人状態になり

ウリハルに回復呪文を施した。


ゲカイには念のため離れてもらっていた。

聖属性なのでダメージが行く可能性があるのだ。

それで解除が切れてしまっては洒落にならない。


大き目の呪文を複数回使用すると

ウリハルはすっかり元通りだ。

顔色も通常に戻り

呼吸も普通の寝息にしか聞こえない。


「間に合ったか・・・。」


死んでいても蘇生の呪文があるのだが

失敗した場合のリスクが怖い。


「プラチナでコレかよ。」


ホッとした俺は

古龍の攻撃について考察を開始した。


回復呪文で元通りになるのは肉体だけだ。

鎧には惨劇の跡が刻まれたままだった。


俺はウリハルの胸当てに

ポッカリ開いた穴

そのエッジ部分を指でなぞって確認した。

溶けて膨らんだ状態では無く

綺麗にカットされた状態だ。

知らないで見れば、こういうデザインで

作ったのかと誤解する程だった。


「切断面はどうだろう。」


俺はウリハルに添い寝する様に

横になると切断面を見るべく

胸プレートに顔を近づけた。


「・・・アモン様。」


いつの間にかゲカイが戻って来ていた。

集中していた俺はビックリしてしまった。


「やはり年端も行かぬ女性が・・・お好みなんですね。」


え?

何言ってんだと思ったが

よくよく見て見れば

胸プレートの下のアンダーアーマーも

同様に消失していて

ウリハルのこれからが期待される胸部が

顕わになっていたのだ。

そこへ物凄く顔面を近づけ

手を伸ばしている男の図。


ああ

これはもう実行犯ですわ。

つかなんで、ソレより切断面の方が気になったのかな。

大して膨らんでないから気が付かなかったんだ。

きっとそうだ。


「ちっち違う、ちち治療の一環で・・・。」


ああ

駄目だ。

こう言うのは堂々と言わないと


「私も治療なさいますか。」


そう言ってドレスを脱ごうとするゲカイ。

やったあ

じゃない

俺はしどろもどろ差を加速させながら

ゲカイを止めた。


なんとかその場を治め

と言うか有耶無耶にした。


「起こさないのですか。」


ウリハルはもう

どう見ても睡眠モードだ。


「自然に起きるまで待とう。」


瀕死の重傷だったのだ

いくら魔法で元に戻ったとは言え

それは酷な気がした。

レーシングマシンでは無いのだ。

必要だから寝てるのであって

それを中断させる緊急の要件は無い。


「それに悪魔同士の会話には

寝ていてくれる方が好都合だ。」


「では、こちらへ。」


ゲカイはそう言って俺達を別室に案内した。

ゲカイがここで使用している寝室だった。

そこへウリハルを寝かせ

装備を外して寝間着に着替えさせた。

・・・寝間着への着替えは

ゲカイがやってくれた。

俺はコソコソと寝室から退散したのだった。


最初の部屋

応接間に1人戻ると

俺は汚れた毛布を回収した。

床その他に汚れが無い事を確認する。

そうしている内にゲカイが戻って来て

お茶を入れてくれた。


ゲカイのサイズに合わせたのか

小さめのテーブルセットに腰掛け

やっと俺は一息付く事が出来た。


「始めに謝罪をさせてください。」


突然、ゲカイがそう切り出した。

ゲカイが俺に何の謝罪があるのか

全く想像出来なかった。

内容が気になった俺は続きを促した。


「召喚の際、お答えする事が出来ず

申し訳ありませんでした。

魔界で外せない用事が立て込んでおりまして・・。」


呼んでないけど。


「ダークやナナイ等に譲るのも

私自身、不本意の極みでした。」


ああ

悪魔召喚の話だ。

俺を餌に召喚したので

俺と縁の深い悪魔が来る想定だった。

こちらから誰かを指定はしていない。

ガチャみたいな感じで行ったのだが

ゲカイに召喚が降りかかり

それを拒否った格好だったのか。


「いやいや、これ以上無い

ベストなタイミングで現れてくれたよ。

謝る必要は無いし

俺はすごく感謝している。

ありとう、助かった。」


固まるゲカイ。

一見、無表情だが

これは相当照れている反応だ。

アニメの設定原稿などで

喜怒哀楽の表情が全部同じ系のキャラなのだ。


「そのお陰で助けられた俺が言うのもアレだが

何で、こんな場所に居たんだ。」


周囲には何も無い

大自然が広がっているだけだ。

いくら消費の少ない子供ボディでも

これでは悪感情を補給出来ない場所だ。


その理由が想像出来ないので

俺は素直にそう聞いたのだ。

ゲカイも素直に答えてくれた。

その内容も想像が付かないモノだった。


「シンアモン様の指示です。

ここで地上のアモン様を救助せよと」


何だ何だ

シンアモンはオーベルをも超える予知能力でもあるのか

もう何でもアリ番長だな。


俺の驚きを解する事無くゲカイは話を続けた。


「先ほどの魔界での外せない用事

ここの作成もその一環です。」


この洞窟は自然のモノでは無く

シンアモン特製だそうだ。


言われてみれば自然の洞窟としては

不自然過ぎる構造だ。

クランク状の坑道。

飛行生物でも無い限り出入り不可能な

場所に出入口があり

あのバルコニーも俺の落下場所を

知っていたかの様な作りだった。

それにこの部屋の資材の運び込み方法も

通常の方法では無理だろう。


「一波二波は地上のアモン様に任せておけば良いと

仰っていましたが、第三波はそうもいかないと」


シンアモンはバング、メタボの襲来をも

予見していた。

そして今度のドラゴン種、確かに

先程の古龍、アレが大勢いるようなら

流石に俺だけではヤバいかも知れない。


支配種ドミネーター権を争う異世界の干渉

シンアモンは竜種に照準を定め

前もって準備していたのだ。

もしかしたら全降臨もシンアモンの仕業じゃないだろうな。


確か宇宙旅行の時に

「いずれまた我とお前は会う事になるが

その時はかなりの大ごとになっている。

その日までは力を蓄えよ。」とか

言ってたっけなぁ

その大事が竜種との戦いと言う事か。


いつ会えるのだろう。

シンアモンが一緒なら

もう何も怖く無いぞ。

でもコレいけないフラグだ。


俺はシンアモンの現在の居場所を尋ねてみた。

返って来た答えも

これまで同様、想定外の答えだった。


「シンアモン様は現在、ドラゴン種の世界に

討って出ておいでです。」


1人で特攻してんのか。


「伝言が御座います。ウッウン」


ガケイは咳払いをすると

シンアモンの口調を真似て語り出した。


「大き目のを優先に倒すが全滅とまではいかん。

下級中級は放置するので駄々洩れだ。何とかしろ

古龍も多少は漏れるだろうが

まぁガンバレ。」


そう言っておいて

実は何もしてないとか

そんなオチじゃないだろうな。

頼むぞホントに


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