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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第四百三十八話 再会ウリハル

「俺の修行は一体何だったんだろう。」


落ち込むディーン。

すまんね、持ち上げといてこの結果じゃなぁ。


「恐ろしい。」

「メタボの方がマシなんじゃないか。」

「・・・神よ。」


ライデン隊長以下もガクブルだ。

美味しい感情漏れまくりで

その

補給ありがとう。


喝采のないまま

俺はポーズを戻し

手持ち無沙汰のまま何となく地上に降りた。


その雰囲気をぶち壊す様に

拍手喝采が急速に接近して来た。


「流石です。魔勇者様ーっ」


変な声だ。


土煙が迫って来る。

発生源はすんごい速度で走る少女だ。


「ウリハルか?!」


俺は宮本たけし状態に戻るが

戻ってから気が付いた。


やべぇ

チンチクリン姿になれないんじゃ

俺だと分かってもらえないんじゃないか。


勇者に会わせろと

牢屋で散々叫んでおいて

いざ会ったら「どちら様ですか」では

レベルの低い嘘つき野郎になってしまう。


どうしよう


良い手段が思いつく間もなく

ウリハルは俺達の所まで

辿り着いてしまった。


こいつ・・・以前より速くなっているな。

走るだけなら全盛期のガバガバにも

負けないんじゃないか。

いや

ガバガバはハンスを背負っても70km/h巡行を叩き出す。

比較するにはウリハルにもハンスを負ぶってもらわにゃなんだが

身長差から、恐らくハンスの足が

負ぶった状態で地面に接触すると思われる。

これでは正確は比較は不可能だ。


どうするか


どうでも良いか。


「・・・あら?」


宮本たけし姿の俺を見た

ウリハルはそう言った。

俺が説明を始める前に

ウリハルは言葉を続けた。


「男子三日会わざればと言いますが

本当ですね。しばらくお会いしない間に

大きくなられましたね。リディ」


いや

そんなレベルじゃないだろう。

まぁでもココはこいつの天然に乗っておくか


「それはお互い様だな。

お前も成長しているようだ。」


「鍛錬は続けております。

常に昨日の自分を追い越せ

この教えを今も守っています。」


夜中の特訓中に

そんな事を言ったな。

言われて思い出した。


言った方より

言われた方の方が

言葉を良く覚えているのだなぁ。


何かホッとすると同時に

俺の中に嬉しさが込み上げて来た。

姿が変わっても変わらず認識してくれるなんて


「それにしても良く俺だと分かったな。」


「魂の色までは変わりませんから」


何ソレ?

ヤダ何を見てるのこの子は


「うーん。そう言えばエルフもそんな事言っていたっけな。」


プラプリに今度じっくり教わろう。


俺達のやり取りを眺めていた

ライデン隊長以下がザワつき始めた。


「おい・・・あれ姫様じゃないか?」

「本当に知り合いだったのか・・・。」

「魔勇者・・・聞いた事がある。」

「知っているのですかライデン隊長。」


勇者が到着した事と

俺が勇者の知り合いだった事から

美味しい感情は見る見る不味い感情に

変わって行った。


この事も俺をホッとさせた。

良かった。

大人の騎士には人気がるようだなウリハルは

学園ではやっかみと半分半分だったので

ちょっと心配だったのだ。


その時、ウリハルが現れた方向から

馬の駆ける音と共に声が響いて来た。


「姫様ーっ!!」

「1人で先行するな馬鹿者ーっ!!」


聞いた声だ。

テーンとクワンだ。


見れば騎士団を率いて

こちらに向かって来ていた。

伝令の姿も見える。

随分早いと思ったが

王城でなく丁度、近隣に滞在していたと

後から伝令に聞いた。


「ご無事か?!」


馬を巧みに操り

跳ね上げる土砂が掛からない距離で馬を止め

華麗な動作で飛ぶように馬から下りるテーン。

幼い頃から教育されているのだろう。

見とれる程の流れる動作だ。


「むぅ・・・もう終わっているか。」


クワンの動作も同様だ。

例の大剣を背負っているというのに

それを感じさせない自然な挙動だった。


あれ

馬に当たってケガさせたりとかしないのかな。


「はい。魔勇者様が片づけてしまったようです。」


テーンとクワンに明るくそう言ったウリハルだが

テーンとクワンは俺を見て首を傾げた。


「リディ・・・殿のご親戚の方か?」

「ふぅむ、ヒヨコは愛らしいが鶏はそうでもない。

この御仁もそうだな。」


はぁ

何かスイマセン。


「無礼ですよ。ご本人です。」


ウリハルにしては語気を荒げてそう言った。


「し失礼いたしました。」


瞬間的に緊張が走り

テーンとクワンは王家に対する騎士の態度になった。

それに連られて騎士団も

ライデン以下も鎧に音を立てさせ控えた。


「・・・本当に勇者と知り合いだったんだな。」


この場でダラけている二人。

俺とディーンだが

ディーンはダラけたままそう言って来た。


「信じてるんじゃ無かったのか。」


確かそう言ったような。


「いや、いざ目の当たりするとな・・・ははスマン。」


その後は警戒の為、数人の騎士が現場に残り

残りは詰め所までまで戻って

事件の説明となった。


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